【なぐもんGO・22】 宮城・仙台にあるスタジアム「楽天生命パーク宮城」が、プロ野球の2019シーズンから完全キャッシュレス化した。スタジアム内では、現金を使った買い物ができない代わりに、電子マネー「楽天Edy」やスマートフォン(スマホ)決済サービス「楽天ペイ」、各種クレジットカード・デビットカードなどのキャッシュレス決済が利用しやすい環境になっている。キャッシュレス化に踏ん切りがつかない人でも、楽天生命パーク宮城に行けば意識が変わりそうだ。

完全キャッシュレス化した「楽天生命パーク宮城」

スタジアム全体でサポート

 スタジアムと言えば、老若男女問わずに人が集まる場所。「現金を使った買い物が一切できない」と聞いて、困る人が増えたり、客足が遠のいたりするのではないかと心配したが、楽天野球団 経営企画室 江副翠室長は、「事前に大々的に告知していたこともあり、今のところ、大きな混乱は起きていません」という。
 
楽天野球団 経営企画室 江副翠室長

 「大きな混乱」が避けられているのは、スタジアム全体で手厚いサポート体制が敷かれているからだ。記者が実際にスタジアムを訪れると、スタッフが「今シーズンから現金は使えません。お買いものの際は、楽天Edyや楽天ペイ、クレジットカードなどをご利用ください」などと声をかけられた。迷っていそうな来場者を見つけると丁寧に説明したり、各所に設置された相談デスク「楽天キャッシュレスデスク」でも、アプリの使い方などを説明したりしていた。
 
各所にキャッシュレスに関するお悩み相談デスク
「楽天キャッシュレスデスク」が設置されている
 
スタッフに尋ねれば、Edyの残高をいつでも確認できる

 チケットを購入する際は、記者も「楽天ペイ」の使い方を丁寧に教えてもらいながら購入した。手順は簡単。まず、窓口に設置しているQRコードをスマホで読み込んで、目的の席の値段をスマホに入力し、スタッフと値段を確認し合って決済完了だ。お土産を購入する際は、スマホで提示したバーコードを読み取ってもらう方式。こちらでも丁寧に案内してもらったので、スムーズに買い物をすることができた。
 
初めての楽天ペイ体験はチケット購入だった
 
お土産を購入する際も丁寧に説明してもらいながら買い物ができた

 楽天ペイを使うのは初めてだったが、至れり尽くせりで、入場してから1時間ほどですっかり使い方をマスターした。売り子からビールを購入する際も、率先して「楽天ペイで」と言い、提示されたQRを読み取り、無事に決済できた。
 
座席でビールを購入する際もキャッシュレス決済

 江副室長は、「完全キャッシュレス化に際して、スタッフを相当数増員し、楽天Edyのチャージ端末は約100台用意致しました」と話す。「4月以降は徐々にスタッフの数を減らしていく予定です」というが、他球団との試合を重ねれば、スタジアムに初めて訪れる観戦客は増えるはずだ。

 この点も抜かりなく、「1か月で集めた声をもとに、効率的な人員配置や施策を打つ。また、長く続けたスタッフのスキルも向上しているはず。新規の方が増えても、対応できるように準備を進めている」と話す。
 
各所で現金が使えないことを呼びかけている

顧客の声に素早く対処

 集まっている声は、「ご意見とご好評で半々くらい」だという。例えば、スタッフの対応への不満やスマホ決済ばかりで充電がなくなった、などの意見があった。充電の課題については設置している充電器を案内したり、充電できる場所を地図に落としたり、ニュースアップするなど素早く対処した。スタッフについては、集まった声を共有するなどして対策を練る。

 一方で、「現金を触った手で食品を扱わないので衛生的」「決済がスムーズ」など満足する声も多かった。特に、グッズ売り場の行列は「改善されてきている」という。もっとも、「決済がスムーズになってきても料理の提供スピード自体の改善も必要」など、キャッシュレス決済ならではの新たな課題も出てきたそうだ。

キャッシュレス決済を使いたくなる施策とは?

 記者が訪れた日には、東北楽天ゴールデンイーグルス15周年記念デザインの楽天Edyカードを来場者に配布していた。記者も当日の観戦チケットを提示して、受け取ってきた。
 
キャンペーンでもらった15周年記念の楽天Edyカード

 また、今シーズン中は、楽天ペイでドリンクを購入すると100円割引になるキャンペーンも実施するほか、中学生以下の子どもには通年で、1人1枚「イーグルスキッズEdyカード」を無料で配っている。こうしたサポートや特典があると、「これを機にキャッシュレス決済を使い始めてみよう」という気になる。

 同日は「東北楽天ゴールデンイーグルス 対 福岡ソフトバンクホークス」の対戦カードで、さながら「楽天ペイVS PayPay」で張りつめた空気になるかと思いきや、ソフトバンクファンは「楽天Edyを使わせてもらっているが、便利。聞けばなんでも教えてくれるので、困ったこともない」とやわらかい雰囲気だった。ビジターファンに対しては、楽天Edyカードを販売するほか、レンタルもしている。
 
スマイルグリコパークの観覧車から撮影した楽天生命パーク宮城

 「楽天グループは常に最先端のサービスを提供してきたという自負があり、今後もその姿勢を貫きたいと考えています。キャッシュレス決済は今後、必ず発展するので、その先駆けとして頑張ります。ご来場されたお客様には、キャッシュレス決済の便利さやお得さを体験していただきたい」と江副室長は語る。今後進むキャッシュレス社会に向けて、楽天生命パーク宮城の取り組みは、一つのモデルケースになりそうだ。(BCN・南雲 亮平)