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本体価格が安くても、結局、あれも、これもで高くなってる?

売るヒント

2019/02/27 18:00

【家電コンサルのリテールマーケティング Vol.17】 家電製品を購入する際は、ネットなどに載っている本体価格の安さだけで判断すると痛い目にあう。商品以外にかかるサービス価格も認識した上で決めよう。家電量販にとっても、顧客満足度を低下させないための工夫が必要だ。


 家電製品を購入する場合、商品以外にざっと上げるだけでも次の4項目のサービス関係費用が掛かる。1.延長保証料金、2.工事料金、3.配達・特殊搬入料金、4.リサイクル料金・引取処分料金などだ。

 4のリサイクル料金は主要製品は家電リサイクル法という法律で決められているが、引取処分や収集・運搬費用は家電量販ごとに異なる。それ以外の項目でも、プライス表示の異なるケースが多い。そのため、顧客が商品の本体価格を見ただけで商品を選んで販売員に会計をお願いしても、総額で高くなるケースのほうが多い。

 例えば、売価20万円の500リットルの冷蔵庫を購入するケースで考えてみよう。キッチンが2階にあって、通路幅が狭かったり、折り返し階段があったりする場合、ユニック車を利用して冷蔵庫を吊り上げて窓から搬入する必要がある。

 このユニック代だけでも高額になるが、これにリサイクル料金や延長保証料金を加えれば、ざっと3万円前後の追加費用になる。こうなると、いざ会計のときになって「もう一度考え直す」といったケースも出てくる。顧客からすれば「これも追加、あれも追加…」と言われれば不安になるのは当然で、予算から1~2割以上も高くなれば考え直したくもなるだろう。

 サービス関係の費用は家電量販によって異なり、前述のユニックならそれだけで2000~3000円の開きが生じる場合もある。さらに、基本的にサービス関連費用は値引きできないので、商品の価格だけを見て即決するのは注意したい。せっかくネットで商品価格をあれこれ比較して、安い家電量販を探しても、結局、サービス関連費用が高くつき、支払い総額では損した気分になることも考えられるからである。

 顧客からすれば支払い総額を安く抑えられるに越したことはないだろうが、賢い買い物をするには商品価格だけではなく、家電量販のサイトに設置や配送、工事等の料金がおおまかに記載されているので、ある程度の情報は事前に仕入れておきたい。

 逆に家電量販からすれば、せっかく丁寧に説明して接客しても最後に断られてしまっては販売効率が著しく低下してしまう。顧客の期待感を削がず、店舗に対する信頼と顧客満足度を向上させながら成約率を上げるために、サービス関係を含めた「目安としての総額」を分かりやすく表示することが望まれる。

 また、サービス関連費用をキャンペーン時の特典に打ち出す際は、それを積極的にアピールすることで、商品価格の不要な値引き防止にもつながるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。