ドライブレコーダーを月額レンタル制で貸与し、走行記録データをもとに、迅速に事故対応などを行う特約付き自動車保険が登場している。今年1月に2社が新たに投入し、現在、東京海上日動火災、三井住友海上火災など、3グループ計4社が提供。ドライブレコーダーが事故の衝撃を検知すると自動で受付センターに通報する、「安心・安全」と「時短」を兼ね備えた新しいタイプの損害保険だ。


 結婚や子どもの誕生、持ち家の購入を機に、新規契約や見直しを始めるケースが多い生命保険でも、スマートフォンやウェアラブル端末と連携するタイプが登場。健康診断・人間ドックの診断結果や、アプリを通じて収集した歩数データなどをもとに被保険者の健康状態改善への取り組みを評価し、保険料の割引や特典の付与を行うため、「健康増進型保険」と呼ばれている。

 今回は、そうした健康増進型保険の一つで、特約付きの生命保険または医療保険と、大手企業と提携した健康増進プログラム(Vitality利用料・月額864円)がセットになった「Vitality」を紹介しよう。

 筆者の持論として、さまざまな生命保険商品の中で、ケガや病気に備える「医療保険」の優先順位は低く、加入している健康保険(組合健保)が充実している場合や、医療費用の貯蓄(目安:15歳以上1人につき80万円以上)があれば加入しなくても全く問題ないと考えている。だからこそ、「Vitality」のような、「楽しい」「おトク」を打ち出した保険は、健康に興味・関心を持つきっかけや、健康増進に励むモチベーションとなる「エンタメ」として一考の価値があると判断した。

全世界で展開中のVitality ウェアラブル端末が割引で買える!

 Vitalityは、もともとは海外のサービスだ。南アフリカの金融サービス会社・Discoveryが1国1社の生命保険会社と提携して展開しており、日本では住友生命保険の独占提供となる。特徴は、従来の生命保険とは一線を画す、「加入後、毎年の健康診断や日々の運動など、継続的な健康増進活動を評価し、保険料が変動する」仕組みと、さまざまな「特典(リワード)」の二つ。日本の加入者向けの「特典(リワード)」には、ソフトバンクやアディダス、ローソン、スターバックス コーヒーといった、誰でも知っている有名企業が並ぶ。
 
「健康増進プログラム」と銘打つ住友生命「Vitality」
 


 公式サイトでは、通常保険料からの割引率・割増率が分かる「ステータス判定・ポイント獲得シミュレーション」や「特典(リワード)利用時に得られるVitalityコイン獲得シミュレーション」ができる。加入者は、提携するフィットネスクラブを特別割引価格で利用でき、Vitality会員専用オンラインストアで、ガーミン、ポラールのウェアラブルデバイスを最大40%オフの特別価格で購入できるなど、サービスの説明を見る限り、ほとんど特典(リワード)がメインのように見える。
 
「Vitality」の提携企業・プログラム

 さらに、健康増進を目指す「アクティブチャレンジ」に参加すると、1週間の目標達成ごとに、コンビニエンスストア「ローソン」のコーヒーまたはスムージー、スターバックス コーヒーのドリンクチケットがもらえる。また、特典を利用するともらえるVitalityコインは、2019年1月から電子マネーギフト(Amazonギフト券、Edy、nanaco)に交換できるようになった。ここまでオトクなメニューが提示されると、ポイント好き、クーポン好きは、割と心が動くはずだ。

ITリテラシーの差が健康状態に影響? 増える「健康増進」サービス

 一定の歩数以上歩ければ、保険料が下がり、最大月額1000円分の電子マネーに交換できるコインが得られるとなれば、一つ前の駅から歩く、休日は積極的に歩くなど、健康増進のインセンティブになる。多くの人は「動機づけ」がないと続かないので、Vitalityに限らず、歩くとポイントがゲットできる歩数アプリや、そうしたアプリと連携するサービス・プログラムは打ってつけだ。
 
ステータスによる保険料の変動イメージ
(「Vitality」のプレスリリースより)

 こうした健康増進型保険の登場の背景には、IT・IoT技術の進化とモバイル通信の高速化といった技術的な側面と、「平均寿命と健康寿命の乖離による社会保障費の増大」という課題がある。健康寿命を延ばすには、「適度な運動・十分な睡眠・バランスのとれた食生活」が重要といわれ、いずれもデジタル・IoTの力で可視化できるようになってきた。しかも、ファーウェイ、Apple、Googleなどがスマホに採用したAIのおかげで解析速度は速く、ユーザーは意識せずにデータが蓄積されていく。
 
「特典利用シミュレーター」の結果と内訳。
お得な割引と電子マネーギフトに交換可能なVitality コインで、行動変化を促す

 運動と並び、健康寿命を大きく左右するといわれる「歯」をケアする、IoT電動歯ブラシもすでに多数、製品化されている。将来、ITリテラシーの差、ヘルスケアに投じた費用の差が健康状態の差になるかもしれない。(BCN・嵯峨野 芙美/ファイナンシャルプランナー)