11月11日に注文したノートPCがまだ届かない。正確には10月27日に事前注文し、1割を前入金して11日に残金を決済したPCだ。日本のサイトではない。中国の阿里巴巴集団(アリババグループ)が運営するサイトでのこと。主に中国国外向けで、ITからファッションまでさまざまなモノを売る楽天のようなネットモール「AliExpress」だ。

 中国では、毎年11月11日を独身の日と呼び、アリババグループをはじめ、ネットを挙げて大々的なセールを開催する。なぜ独身の日にセールなのかはよく分からないが、1年で最大の売上を記録する特異日。今年はアリババグループだけで過去最高の3.5兆円もの売り上げがあったという。物流もさぞ大混乱していることだろう。この大繁忙期に注文したとあれば、到着が遅くなるのも無理はない。

 中国の通販サイトの魅力は、その豊富な品揃え。特にIT系の製品では、日本では買えないニッチなスペックの製品も手に入る。アパレル製品では日本では見かけない妙な商品も多くそれもまた魅力だ。価格も安く、海外からの発送なのに送料が無料の場合も珍しくない。しかし、時間はかかる。モノによっては1週間もせずに届くこともあるが、注文から出荷まで4~5日かかるのはあたりまえ。その後、空輸、通関、国内輸送と、日本の通販よりも経路が長く複雑。時間がかかるのはやむを得ない。

 ニセモノも多い、メモリーカードなどを購入する際には特に注意が必要だ。粗悪品を掴まされることもある。商品に不具合があれば、交換や返金のためにショップとの粘り強い交渉が必要。これがとても面倒だ。昨年買った格安PCではキーボード不良に遭遇。良品との交換が完了するまで交渉などで約2か月を要した。意外に早く着いたり、気が遠くなるほど遅く着いたり、超お買い得品があったり偽物や不良品にあたったりとカオスなところが、中国の通販サイト最大の魅力。少なくとも、商品到着までの間、やきもきしながらも待ち望む気分を楽しめることは確かだ。
 
中国の通販サイトで購入したタブレット端末。PC発注の翌日11月12日に発注したが、PCを追い越して17日には届いた。速く届く場合もある

 海外通販と言えばその昔、時間がかかるのは当たり前だった。初めてネットを使って海外から買ったのは本だった。買ったのは「The Internet Yellow Pages」。1994年のことだ。もちろん紙に印刷された本で、その名の通りインターネット上のアドレスがたくさん記された電話帳みたいな本だ。94年と言えばアメリカでAmazonやYahooが立ち上がった年。Webブラウザの先祖モザイクが登場した翌年でもある。

 Yellow Pagesにはまだウェブのアドレスはなく、ファイル転送のアノニマスFTPや情報検索のためのGoPherのアドレスが並んでいた。それを見ながらキーボードからアドレスを手入力して情報を取りに行くわけだ。メールでアメリカの書店に注文し、クレジットカード情報はメールで送るのは危険ということで、別途ファックスで送った記憶がある。船便だったこともあり、発注から到着まで3か月はかかった。まさに大航海を経て日本までやってきたわけだ。「本当に届くのか」という問いの答えを待つような気分で、長い間ワクワクしながら待っていたのを思い出す。
 
Web普及前のインターネットの黎明期にアメリカから買った「The Internet Yellow Pages」。1994年版。27.95ドル

 日本国内とはいえ、日本の通販サイトのスピードは驚異的だ。ふと未明に思いついて発注した商品がその日の午前中には届いたりする。しかも送料は無料。大変便利でありがたいサービスだが、業者側で負担しているコストを考えると、自分が相応の負担をしているとは言い難い場面もある。このあたりは時間をかけてサービスと料金のバランスを取っていくことになるのだろう。

 いずれにせよ、こうした極めて高水準のサービスが受けられるのは日本ならではだ。とはいえ、あまりにもサービスの品質が高すぎて、買い物を楽しむという余裕もないという感はある。さて。注文したPCは、追跡データによると、すでに中国は出て、現在シンガポールあたりにいるようだ。特に急ぐ買い物でもない。もう少し気長に待ってみることにしよう。(BCN・道越一郎)