東京電力ホールディングス(東電HD)は11月21日、東京・世田谷区内の配電用変電所でMR(Mixed Reality=複合現実)技術を使った業務支援システム「QuantuMR(クァンタムアール)」のデモを実施し報道陣に公開した。

「QuantuMR」を使ったデモの様子。奥の作業員が点検作業を、手前の管理者が画面で確認している

 MRは、AR(Augmented Reality=拡張現実)とVR(Virtual Reality=仮想現実)を複合した、現実の空間にデジタル空間を統合して描画する技術。QuantuMRは、5月に東電HDと、3Dゲームなどを開発するポケット・クエリーズが、MRを活用した共同研究により開発したシステムだ。

 東京電力パワーグリッドが管理する世田谷区内の変電所で遠隔操作の実証実験などを行った結果、2人かかっていた点検作業が1人でできるようになるなどの有効性が確認されたことから、両社は11月20日に契約を結び販売を開始。まずは年間2億円の売り上げを目指す。

 システムのパッケージ料は、PC用、ゴーグル用、タブレット用、VR用の四つのアプリが使えて、1ユーザー当たり年間100万円(税別)を想定。対応するPCやホロレンズ、導入コンサルなどの費用は別途。すでに電気やガスなどのエネルギー関係の企業や通信会社などから、点検作業や点検教育ツールとして問い合わせがあるという。

 デモではQuantuMRを使った点検作業を実施。ゴーグルの画面に実際の変電設備までの点検ルートを映し出してナビゲートしたり、マニュアルの操作手順書を重ねて表示したりした。デモを実施した変電所は東京電力管内に約1600カ所あるうち、世田谷区内の19カ所のうちの一つ。セキュリティーの関係から場所は明らかにしていない。配電用変電所は、送電用変電所から送られてきた6万6000Vの電圧を、6600Vに変圧して送電する役割を担う。
 
世田谷区の変電所内の6万6000Vを6000Vに変圧する設備

 QuantuMRはリアルタイムの遠隔コミュニケーション機能を搭載しているので、管理者が離れた場所から音声や動画、ホノグラムを共有しながら作業を指示したり、監視したりすることができる。例えるなら、同じゲーム空間で管理者と作業者が共同で操作できるようなイメージだ。
 
QuantuMRの主な機能

 QuantuMRのシステム構成は対応OSがWindows 10、ホロレンズ、iOS、Windows MR(VR)。両社は基本機能をパッケージ化して、電気設備だけに限らずメーカーの製造現場など多様な業務への応用を目指す。