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【子持ち視点のデジタル評】ホームボタン廃止は必定 ストレスたまるiPhoneの指紋認証

オピニオン

2018/10/08 18:00

 【子持ち視点のデジタル評・2】 子どもは2014年生まれの3歳。もうすぐ4歳になる。手のかかる乳幼児の世話を初めて経験して以降、意識が変わった家電・デジタル製品に対する評価を連載形式で紹介していく。第2回は、前回に続き、iPhoneを取り上げる。


・第1回<乳児が舐めると壊れるLightningケーブルは失敗作だ>はこちら
https://www.bcnretail.com/market/detail/20180922_86540.html

子育てにスマホは有効 情報収集・共有からストレス発散まで

 子どもが生まれた直後は、何度もスマートフォンに助けられた。当時、使用していた機種は、2013年11月に購入して2年目に突入していた4インチの「iPhone 5s」。分からないこと、疑問に思うことがあればインターネット検索で調べ、その情報を参考に試行錯誤した。子どもを寝かしつける時も、飲まないミルクを飲まそうとする時も、スマホがあったからこそスキマ時間を有効活用でき、ストレスを最小限に抑えることができた。

 実際にスマホ普及前に第1子、普及後に第2子を出産した女性は、ここ数年、スマホのおかげで、ネット上で育児に関する情報共有が目まぐるしく進んだと語っていた。連日、朝から夜まで一人で子どもの世話をする「ワンオペ」でも乗り切れるのは、Twitter、InstagramなどのSNSがあってこそといったツイートも頻繁に見た。今やスマホは最大にして不可欠の「育児アイテム」だ。
 
辛い時に助けられたiPhone 5s(左)とiPhone 6s。いつでもどこでもインターネットにつながるスマホは、いまや育児には欠かせない

 とはいえ、子どもが成長し、部屋の中を自在に歩き回わるようになると、自宅内ではスマホに触れる時間が減っていった。スマホの画面を見ていると子どもに奪われたり、「遊び」以外の育児に非協力的な夫が不満げな顔をしたりするからだ。

子どもは勝手にタッチ操作を覚えて遊び出す

 不思議なもので、何も教えていないのに、子どもは2歳を過ぎた頃にはスワイプやタップといった基本的な操作を身につけ、数字をタップして画面ロックを解除しようと試みるようになった。3歳10カ月時点では、簡単なゲームを楽しんだり、撮りためた写真を眺めたりといったこともできる。カメラに関しては、どうやったら、どのように写るという認識がないため、単にシャッターボタンを押した(連打した)だけの残念な写真しか撮れないが、親が撮った後は「見せて」とせがむ。

 スマホ選びのポイントは、文字入力のしやすさ、画面の見やすさ、そしてPCとの連携。以前は、フリック入力の反応が速いiPhoneが最も優れていると思っていたが、今は総合的にみて、Androidのほうが使いやすいかもしれないと思い始めている。

 そう考える理由の一つは、当初使っていた「iPhone 5s」も、機種変更した「iPhone 6s」も、ホームボタンを使った指紋認証「Touch ID」が正常に認識されず、画面ロック解除も、Webサイトのログイン、新たなアプリダウンロードなど、本来なら指一本で認証できる場面で、「パスコード」や「Apple ID」の長いパスワードを入力しなければならないからだ。

セキュリティー強化で指紋認証必須に――使えないと致命的に不便

 画面ロックの解除に関しては、子どもが生まれた直後は自宅にいる時間が長かったためパスコードを設定せず、その後、自宅外に持ち出す時間が増えたため、やむを得ず、復活させたという経緯がある。さらに困ったことに、iOSはアップデートのたびに、セキュリティー強化の方針から「Touch ID」の認証を求める場面が増え、「Touch ID」が使えないと非常に使い勝手が悪くなった。

 「何度新しい指紋を登録し直しても、指紋が認識されない」と、Appleのサポート窓口に電話で相談すると、ホームボタンの物理的故障の可能性が高く、持ち込み修理になるという返答だった。乾燥肌のため、指紋が認識されにくいという可能性も考えられた。一方、Androidスマートフォンでは、同様の不具合は発生せず、iPhone以外の端末を使ってみて初めて指紋認証は便利だと感じた。

 仮に端末本体の不具合だとしても、「iPhone 6s」に関しては購入後しばらく「Touch ID」を全く使用しておらず、初めて使おうとした時から正常に動作しなかったわけで、iPhoneのホームボタンは丁寧に扱わないと壊れやすいと判断せざるを得ない。

ホームボタン廃止は故障のクレーム対策か

 今年の新iPhoneのラインアップでは、おなじみのホームボタンは消えた。有機ELディスプレイを搭載した「iPhone XS Max/XS」も、液晶ディスプレイを搭載した「iPhone XR」も、顔認証の「Face ID」オンリーだ。旧機種としてはホームボタン搭載モデルも残っており、今なら選ぶ余地がある。
 
2013年発売の「iPhone 5s」で満を持して投入された「Touch ID」は、レガシーシステムになりつつある

 口コミによると、「Face ID」も他社の同様の機能に比べ、精度は高くないという評判だが、「画面を叩く」「ホームボタンを連打する」といった子どものいたずらや、高い場所から落としたり、故意に投げたりするといった状況が発生しがちな子育て世帯には、ホームボタンのないX系のiPhoneはまだマシな選択肢だと思われる。いっそ、機能や使い勝手を妥協し、壊されても構わない程度の金額の端末に買い替えるのも手。育児アイテムになりうるデジタル製品には、さらなる耐水性や堅牢性を求めたい。(BCN・嵯峨野 芙美)

■プロフィール
育児休業などで中断を挟みつつ、ライター歴10年超。自身の体験をもとに、オリジナルのコンテンツを発信します。