日本で唯一の流通業の産業別労働組合であるUAゼンセン(流通部門)の組合員のアンケート調査によると、業務中に来店客から迷惑行為に遭遇したことのある人は、百貨店の86.4%に次いで家電量販店が84.9%と多いことが明らかになった。

設問:あなたは、業務中に来店客からの迷惑行為に遭遇したことがありますか?
(UAゼンセン 「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査結果」より)

 UAゼンセンには、家電量販店ではヤマダ電機上新電機デンコードーケーズデンキワンダーオートバックスセブンビックカメラキタムラエディオンギガスベスト電器などの組合が加盟している。

 調査は2017年6~7月に実施したもので、168組合、5万878件の回答があった。調査対象は、流通部門所属の組合員で接客対応を主な業務とする販売やレジ業務、クレーム対応スタッフなど。

 全体でも73.9%が客からの迷惑行為に遭遇したと回答。迷惑行為の内訳(複数回答)では「暴言」が27.5%、「何回も同じ内容を繰り返す」が16.3%、「権威的(説教)態度」が15.2%、「威嚇・脅迫」が14.8%などとなっている。
 

 迷惑行為に対するストレスは、「強いストレスを感じた」(53.2%)と「軽いストレスを感じた」(36.1%)を合わせて約9割に達した。

 また、迷惑行為にあった時の対応として、「上司に引き継いだ」(30.1%)と「毅然と対応した」(20.2%)と約半数が答える一方で、「謝りつづけた」(37.8%)と「何もできなかった」(5.8%)は4割を超えており、適切な対応が取れずに販売現場のスタッフだけが問題を抱える実態も明らかにしている。UAゼンセンでは、「企業側の対策にも課題がある」とする。

 流通業に限らず、顧客からのクレームは新しい製品開発やサービスの向上・改善のヒントにつながるとして、重視する企業が増えている。一方で、「モンスターカスタマー」など過度な謝罪を要求したり、店員が謝る様子をSNSなどにアップするなど、社会通念上許される範囲を越えて行われる悪質クレーム(迷惑行為)の存在が問題になっている。

 UAゼンセンでは「私たちの産業は、顧客第一主義を大原則に掲げ、消費者の行動は常に正しいとの認識が強く、消費者からの意見に対しては不当なものであっても耐えなくてはいけない風潮がある。そのことが社会的にモンスター化する消費者を助長させ、接客応対の難しさから退職者の増加や働く仕事として敬遠される傾向にある」とし、小売業の人材不足の要因の一つにもつながっているとし、企業や政府に実態を直視した対策を講じるよう求めている。