トレンドマイクロ、コンシューマ向けサポート事業を推進

 セキュリティを必要とするデバイスが、驚異的なスピードで増えている。2020年には200億個以上のデバイスがインターネットにつながるといわれており、トレンドマイクロのエバ・チェン代表取締役社長 兼 CEOは、「家庭や企業にスマートデバイスが増えれば、悪質なクラッカーの攻撃の踏み台が増えることになる」と指摘する。


トレンドマイクロのエバ・チェン代表取締役社長 兼 CEO

 トレンドマイクロの調査では、ホームネットワーク内のデバイスに対する不正ログインの試みは17年だけで、世界で3000万件以上発生している。今後、IoTデバイスが増えれば、脅威はさらに増えることになる。
 

ネットワークにつながるデバイスは増え続けている

 IoTデバイスが抱えるセキュリティの課題に対し、トレンドマイクロが展開している製品のひとつが「ウイルスバスター for Home Network」。セキュリティソフトをインストールできない機器を外部からの攻撃や、有害コンテンツへのアクセスから守ることができる。

 家電量販店での存在感が増している。従来のPC関連売り場に加え、2月からは、スマートスピーカーなどスマート家電の棚にも進出し始めたからだ。今後は、スマートフォンタブレットの購入時にセキュリティ対策を意識しやすいよう、携帯販売代理店がサービスのひとつとしてトレンドマイクロのモバイル向けセキュリティを販売する予定だ。ネットワーク機器ベンダーへのセキュリティモジュールのOEM提供や、通信事業者経由での訴求も続けるという。

 また、利用者の不安感を取り除くことは、IoTデバイス普及の一助になる。脅威への予防と早期発見・対処を実現するため、トレンドマイクロは各家庭のセキュリティ診断や脅威のモニタリング、緊急通知、セキュリティ事故の復旧支援を含むトータルサービスの提供を7月以降に開始する方針を固めている。診断やモニタリングでは、同社の製品やサービスからのフィードバック情報をもとに、AI技術を活用したビッグデータ分析による脅威解析を施すという。
 

「製品を売るだけで終わりではない」と語る大三川彰彦取締役副社長

 大三川彰彦取締役副社長は、「製品を売って終わりではない。率先したサービスを提供していく。そして、増える脅威に対して、コンシューマの意識も変えていく必要がある。脅威への啓発活動はこれからも続けていく。セキュリティソフトの売り場拡大は、その一環」と語る。個人を取り巻く環境が劇的に変わってきた現状を踏まえて、販売方法を模索しているようだ。