1987年の「青色申告会計 弥生」発売以降、ITの進化とともに発展してきた弥生シリーズが30周年を迎えた。スモールビジネスをターゲットに、消費税の導入やOSの変化に柔軟に対応し、2012年にはクラウドアプリ「弥生オンライン」もラインアップに加えた。現在は、テクノロジーの力で業務プロセス全体を自動化・効率化する「業務3.0」を推進している。

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歴代弥生シリーズのパッケージ

時代に合わせてアップデート トップブランドへの軌跡

 この30年で、業務ソフトを取り巻く環境は大きく変化した。手書きだった会計業務はPCの登場によって一部が自動化。現在はその自動化の範囲が拡大し、より効率化が進んでいる。

 OSや税制の変化の影響も無視できない。弥生は先を見据えた製品開発で、ユーザーが変化に戸惑うことなく、スムーズに業務を遂行できるよう絶えずアップデートを続けてきた。

 25年以上に渡って弥生シリーズの普及を支えてきたマーケティング本部営業推進部の西尾英雄部長は「当時は購入前に情報収集のため販売店を訪問するお客様は多く、PCソフト専任担当の方も常駐していた」と、PC黎明期のソフト売り場の様子を振り返る。

 他社製品と比較して手頃だった「弥生会計」はすぐに受け入れられ、業界をリードするトップブランドに躍り出た。なるべく売り場で目立つようにと、2000年にリリースした黄色のパッケージソフトは、狙い通り、販売本数の増加に貢献し、現在の揺るがない盤石のポジションを確立するに至った。

 現在では業務ソフトがあたりまえの存在になり、ソフト専門の販売員も少なくなったが、依然として必須ツールとして進化を続けている。

販売本数No.1の証である「BCN AWARD」を18年連続受賞

 全国の家電量販店・PC専門店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」をもとに、各カテゴリの年間販売本数が多かったメーカーを表彰する「BCN AWARD」の常連でもある弥生。99年にスタートして今年で19年目を迎える同賞だが、創設から連続して業務ソフト部門で受賞を果たしている。
 
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業務ソフト部門の創設から、連続受賞を継続中

 先を読んだ製品開発で変わらぬ信頼を積み上げ、17年10月31日時点の販売本数は44.2%でトップ。19年連続のNo.1獲得が目前に迫っている。
 
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中小企業の“事業コンシェルジュ”を目指す

 業務ソフトの市場はまだまだ広がると弥生では分析している。「業務用ソフトの導入はまだポテンシャルの3~4割で、より業務効率化や蓄積されたデータ、AIなどとの連動でさらに利用ユーザーは増えていくはずだ」と西尾部長は先を見通す。
 
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マーケティング本部 営業推進部 西尾英雄部

 次の時代に向けて弥生が推進しているのは“業務3.0”という考え方だ。「会計ソフトの登場により、転記から試算表の作成まで自動化されたが、今はクラウドで取引の発生から試算表の作成まで自動で行うことが可能になった。デスクトップアプリでもクラウド連携によって自動化できる。今後弥生は会計だけでなく、受発注から支払までの商取引プロセスを自動化するなど、商取引、また給与・労務の領域でも自動化を進めていく」(西尾部長)。

 業務ソフトが担う役割の変化を踏まえて、弥生は“事業コンシェルジュ”というコンセプトを目指すべき姿として掲げている。

 「青色会計申告 弥生」が発売されたのが87年。その頃は導入検討者がPCショップに足を運び、ソフトウェア専任担当者と情報交換して業務会計ソフトを選ぶ時代だった。

 それから30年。インターネットが普及し、PCは1人1台があたりまえになった。業務ソフト選びも税理士からの推薦が大きく左右するようになったが、弥生は8000を超える会計事務所とパートナーシップを結び、青色申告会からの推奨など、変わらぬ信頼を勝ち得ている。
 
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家電量販店のPCソフト売り場

 製品機能の優秀さに加えて、サポート体制が充実しているのも弥生が長期的に支持されている理由の一つ。大阪と札幌に拠点を持ち、それぞれ264席、420席を確保している。

 西尾部長によると「製品の使い方だけでなく業務についての質問を受けることも多い。法律が絡むこともあるので、ときには税理士の先生に回答してもらうなど連携を図っている」とのことで、その領域は広範囲に及ぶ。こうしたきめ細やかなサポート体制も“事業コンシェルジュ”の一環と言える。

 発売当初からの謳い文句である「簿記の知識がなくても、出納帳形式で帳簿付けができる」は30周年を迎えても変わることはない。常にユーザー目線で顧客第一のスタンスを明確にし、コンシェルジュとして業務をサポートするというコンセプトを改めてアピールする。

「弥生シリーズ」の最新バージョン登場!

 30周年を新たなスタートと位置づけ、新イメージキャラクターに選ばれた女優の芳根京子さんが製品パッケージを飾る最新バージョンの「弥生 18シリーズ」。
 
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最新バージョンの「弥生会計 18」「やよいの青色申告 18」

 この新シリーズでは、金融機関とAPI連動によって明細データを自動入力集計する機能に順次対応するほか、スキャンしたレシートや領収書データの自動仕訳機能などがより使いやすくなっている。

 クラウドアプリとデスクトップアプリの相互連携が可能になったことで、データを会計事務所と共有し、業務のさらなる効率化と安全なデータ保管も実現。まさに弥生が推進する“業務3.0”のビジョンを具体化させた新製品と言える。

 販売面では、クラウドアプリ「やよいの給与明細 オンライン」の店舗販売を開始。インストール型のパッケージ製品とクラウドアプリをそれぞれ用意し、ユーザー環境にあった利便性の高い業務環境を、複数の選択肢から提供する。

 今後は事業者をより積極的に支援していくために、蓄積されたデータやAIの活用に可能性を見出している。業務予定の能動的な案内や経営分析に基づく新規業務へのアラート、事業支援サービスの開発など、まだまだ進化の裾野は広がっていきそうだ。30年の節目を迎えても、ITの進化を業務効率化の武器に変え、ユーザーの事業を時代に合わせた方法でサポートしていく。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2017年12月号から転載