バッファローが自社ストレージのデータ復旧事業に参入

 メルコホールディングスグループの中核企業であるバッファローは6月2日、データ復旧事業参入説明会を開催した。バッファロー・取締役の和田学データストレージソリューション事業部長は、既存事業を補完するデータ復旧サービスは、のびシロの大きい市場という見方を示した。

満を持して参入、リーズナブルな一律固定料金を設定

 「データ復旧サービス」は、5月1日からスタート。同社製の外付けHDDやUSBメモリ、SDカードなど、これまで販売したすべてのストレージ製品を対象に提供する。製品保証期間内の軽度論理障害は無償で対応し、無償期間が過ぎた場合、対象製品ごとに障害レベルを軽度、中度、重度に分類してサービス価格を固定化した。見積もりや診断は無料とし、東名阪のバッファローの本社や支店の3拠点で受け付ける。
 

サービス拠点で、製品の状態と復旧の可能性を無料で診断。
障害レベルに応じ、一律固定料金で修理する

 税別のサービス料金は、例えば、外付け・内蔵HDDやNASで1ドライブ(「おもいでばこ」含む)で軽度の場合、論理障害は3万円、物理障害は6万円。中度の場合、論理障害は4万5000円、物理障害は12万円。それよりも重度の症状は、別途見積もりとなる。
 

サービス価格

サービス開始1か月 成約率約6割の好評な滑り出し

 最大の特徴は、サービス価格を明瞭にした点にある。従来、見積もりや診断後にしか価格がわからない不明瞭なサービスが多いため、ユーザーが不安に思って躊躇するという課題があった。申込件数に対する成約率も3割程度という。

 しかし、バッファローのデータ復旧サービスの成約率は約6割。開始1か月間のサービスの受付件数は約100件にのぼり、そのうちの70~80件が復旧している。

 サービス拠点「データ復旧センター」への直接持ち込み件数は今のところ約3割で、約30分~1時間で、その場で診断結果と見積もりを提示する。Webによる申込フォームも用意しており、復旧依頼品到着後、1営業日で診断結果を知らせる。

 今年5月まで13年間、バッファローの社長を務めて、1998年にはストレージ事業部長を経験し、家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」の外付けHDD部門で2003年から15年連続で販売シェアNo.1を獲得する事業に育て上げたメルコホールディングスの斉木邦明専務は、データ復旧事業に新規参入する狙いについて、HDD事業の収益悪化を挙げ、「これまではデータ復旧から目を背けてきた。当時は業界が伸びていたし、手が回らなかったという事情もある。しかし、外付けHDDを製造するメーカー数が集約され、付加価値がつけられずに価格競争が激しくなり、それほど利益が取れるビジネスではなくなってきた。データ復旧でユーザーからの支持を取り付け、今後もシェア拡大を図っていきたい」と語った。
 

データ復旧事業への参入を説明するメルコホールディングスの斉木邦明専務

 バッファローでは、データ復旧の市場規模を年間依頼件数で約8万件(2014年)と想定。そのうちの8割の約6万5000件が復旧に成功しているとみる。

 バッファロー取締役の和田学データストレージソリューション事業部長は、「データが復旧できることを知らないユーザーも含めれば、潜在的な市場規模は今の2倍、3倍あるといわれている」と潜在ニーズの高さを語った。(BCN・細田 立圭志)


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