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<Key Person>ヨドバシカメラ藤沢昭和社長 ネットで1000億円突破、川崎の物流施設も稼動

インタビュー

2016/08/24 11:00

 いまやあらゆる業界、業種に普及している「ポイントサービス」は、年間約8500億円ともいわれる発行規模に膨れ上がっている。1989年にヨドバシカメラが初めて考案した「ポイントカード」について、創業者の藤沢昭和社長が開発当時の考えを明かした。「お客様への利益の還元」からスタートした「ポイントカード」は、ヨドバシカメラの高収益な経営の実践と密接に絡み合っていた。

取材・文/細田 立圭志
写真/大星 直樹

・前半<お客様に利益を還元>から読む

「必要なモノを必要なときに届ける」

――インターネット販売の「ヨドバシ・ドット・コム」にも力を入れていますね。

藤沢 インターネットでの取り扱いアイテム数は430万点になっています。売上高も1000億円台になりました。今は、物流費無料で(日本全国人口カバー率75%での)即日配達も可能になっています。インターネットで購入される多くのお客様は、ついで買いやまとめ買いをされます。

 われわれは、お客様の変化にあわせていかなければならないですからね。お客様は雨が降っても、寒くても、必要なモノを必要なときにほしいわけです。とくに雨が降ったり、寒いときは必需品はインターネットで買えれば便利ですよね。

 高額な耐久消費財は店舗で商品を見て確かめたり、説明を聞いたりして納得して買っていただくお客様が多いですが、日用品など説明がいらない商品はネットでの購入が増えるでしょう。
 

「お客様の変化にあわせていく」と語るヨドバシカメラの藤沢昭和社長

――神奈川県川崎市のYACアッセンブリセンターが今年10月に増床して完成します。「ヨドバシ・ドット・コム」はどのように進化するのでしょうか。

藤沢 増床して広さは60000坪弱(約20万平方メートル)になります。現状ではお客様からインターネットでご注文いただいても、在庫を持ちきれていない商品があります。店舗の売り場からピッキングするなどして対応していますが、それでもお客様に納品までにちょっとお時間をいただく商品もあります。

 店舗にも(ピッキング作業の負担で)迷惑をかけているので、YACアッセンブリセンターの完成で、システムとしていかに早くピッキングして配送できるかなどを検討しています。インターネット販売は薄利ですから、さらに在庫回転率を上げていく努力をしていかなければなりません。
 
 

インバウンドは観光目的のついで買いに

――最後に、郊外への出店とインバウンドについてお聞かせください。

藤沢 郊外への出店は考えていません。郊外はインターネット販売である程度のカバーができると考えています。例えば、「マルチメディア名古屋松坂屋店」は店舗面積は少し狭いですが、インターネットで注文するお客様が多いです。こうしたお客様に、小牧市の物流センターから発送して対応しています。

 インバウンドについては、以前のような大量なまとめ買いによる「爆買い」はほとんど見受けられなくなりました。イギリスのユーロ離脱による円高などもあったりして、これから先はどうなるか分かりませんが、日本に来る外国の方の人数は変わっていません。

 中国の方が団体で来るケースは減りましたが、インドや中近東、欧米などいろいろな国の方々の来店が増えました。ヨドバシカメラは、もともとインバウンドのお客様を中心にした売り場を特別に提案することはしていませんでした。

 もちろん、来店されたお客様にはしっかりと対応しますが、「爆買い」は先が見えてました。30年、40年前の日本だって団体でフランスのパリなどに行って爆買いに近いことをしていた歴史がありますから、中国の方の爆買いは続いても2年か3年だろうと見ていました。

 最近では中国の方も必要な商品を購入するようになっています。観光のついでに買い物をするように変わったのです。モノを買うことを目的に日本に来るお客様が少なくなり、観光が目的で来るようになりした。

 世界各国どこでも同じで、観光が目的でそれに付随して何らかの買い物をするという流れです。ですので今後は、日本の観光政策が重要になってきますね。