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W杯の販売効果は!? 家電量販店の期待度を探る(ベスト電器編)

インタビュー

2010/06/16 17:27

 ベスト電器日吉東急店は、東急電鉄日吉駅にある日吉東急avenue内の家電量販店。周囲は住宅地で、客層は年収が高い50-70代のシニア層が4割を占める。W杯商戦は、「日本代表が初戦のカメルーン戦に勝利してから、以前よりも販売に動きが出てきた。日本代表がこのまま勝ち進んで勢いが続いてほしい」と、斉藤弘店長は期待を込める。

ベスト電器 日吉東急店

3Dテレビはプラズマ、液晶で異なる販売方法を展開



 W杯商戦では、3Dテレビ、大画面テレビ、ブルーレイディスク(BD)レコーダーの販売に注力する。3Dテレビはパナソニック、ソニーの製品を扱うが、売り方は異なる。

斉藤弘店長

 パナソニックの3Dテレビの場合は「3D機能だけなく、一般のプラズマテレビとしてみても、動画の応答性能など、従来よりも非常に性能が高い。そこでお客様には『今のプラズマテレビの最高画質で、3D機能も付いてきますよ』とすすめている」(斉藤店長)という。画面サイズは50インチ台を売っていきたいという。実際、こうした接客で65V型モデルの購入に結び付いた例もある。

パナソニックの3Dテレビ売り場

 ソニーの3Dテレビで力を入れるのは、40V型モデル。「手頃な価格で3Dが楽しめて、画面も明るく、2Dから3Dへの変換機能もありますよと説明している」(同)と話す。

ソニーの3Dテレビ売り場

 大画面テレビはプラズマが50インチ台、液晶は40V、46V型を売っていく方針。「スポーツは大画面で見るほうが迫力があって、お子さんと一緒に楽しめますよ、と話している。また、価格もある程度落ち着いてきて、すすめやすい」(同)という。

 BDレコーダーは、ダブルチューナー搭載でHDD容量が500GB以上のモデルを主力にする。ダブルチューナーの機種をすすめるのは「番組時間が重なった時に、お父さんや息子さんがW杯の試合、お母さんと娘さんが別の番組を録画できますよ、と2番組の同時録画機能が提案しやすい」(同)と、斉藤店長は理由を説明する。

BDレコーダー売り場

売り場の各所に値頃感のある製品を置いてお客様の目を引く



 ベスト電器日吉東急店は駅ビルの3階。縦長の売り場で、売り場面積は約2500m2。フロア中央のテレビ売り場はそのうち300m2、レコーダー売り場は100m2を占める。


縦長に伸びる通路に沿ってフロアにテレビとレコーダー売り場を設置

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 5月から始めたというW杯商戦に向けた売り場づくりでは、まずテレビ売り場に近い上りエスカレーターの降り口付近に話題性の高い3Dテレビを展示。POPも使って、来店者をテレビ売り場に誘導するようにした。

上りエスカレーターの降り口に3Dテレビを展示して、来店者の関心を引く

 テレビ売り場では、フロアの目立つ場所に3Dテレビを展示して来店者を引きつけるようにしている。売り場は画面サイズごとに列をつくり、売り場と通路の接点部分に、値頃感のある製品を必ず置くことで、来店者の目を引く。同様のレイアウトは、レコーダーの売り場でも展開している。

通路側に値ごろ感のあるテレビを展示し、各サイズの売り場へ誘導する

 

レコーダーでもテレビと同じ陳列を実施。価格の目玉機種を前面に出している

 同時に、テレビを2台購入すると価格を割引くキャンペーンなどを実施。さらに、毎月の平日5日間に限定して、薄型テレビとレコーダーを対象にしたセールも行っている。「買い時を待っているお客様の購買意欲を刺激する」(同)が狙いで、このセールでは「3Dテレビや大画面テレビもお求めやすい価格で提供している」(同)という。

臨機応変の価格対応とコンサルティング接客で差異化



 ベスト電器日吉東急店の近隣には、ヤマダ電機やノジマ、ビックカメラといったライバルが出店している。競合店との差異化は「臨機応変の対応」(斉藤店長)をまず掲げる。お客様が他店の値段を引き合いに出したとき、すぐに対応するようにしているという。

販売競争が激しい32V型テレビ売り場でも価格を大きくアピール

 もう一つが製品説明などの丁寧な接客サービスだ。パートや契約社員を含め70名の店員がいるが、その半分にあたる32名が「家電製品アドバイザー」の資格を取得。お客様の生活環境や、やりたいことなどをヒアリングして、希望に添う製品をすすめることで、店のファンづくりにつなげている。

 この取り組みは「郊外型量販店のお客様とは異なり、店に来る人の多くが年配者で、百貨店に来るようなお客様が多い。丁寧な接客は非常に有効」(同)とみている。

レコーダーでは日本代表の試合案内POPを付けてW杯ムードを演出している

 これらの販売施策で、W杯前半の6月の販売台数は、テレビが前年同月比40%増、レコーダーは50%増を見込んでいる。「3月のエコポイントの駆け込み需要には届かないが、W杯は大きな伸びが期待できる」と斉藤店長は話す。

 日本代表が決勝トーナメントまで進めば、「7月も6月の計画並みの販売が見込める」と期待を寄せる。ただ、1勝はしたが、グループリーグ突破の可能性はまだ不透明。「第2戦のオランダ戦がある6月19日、そして、20日が販売のピークになる」(斉藤店長)とみており、販売に力を入れる。(BCN・米山淳)