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薄型テレビだけじゃない、まだまだあるぞ、意外な地デジ対策

特集

2010/04/30 12:04

 地上デジタル放送完全移行を1年後に控え、旺盛な需要が続く薄型テレビ市場。地デジが見られるようにする方法としては、薄型テレビを購入することが最もポピュラーだが、他にもいくつかの方法がある。今回は、薄型テレビ以外の地デジ対策を紹介しよう。

 まず一つの手として、テレビ機能を備えたPCだ。BCNランキングによると、2010年3月のデスクトップPCの地デジチューナー搭載率は、45.2%。とくに国内メーカーのデスクトップPCにはテレビ機能を搭載したものが多いので、売り場でチェックしてほしい。最新のOSであるWindows 7搭載の18.5型デスクトップPCで、10万円程度の製品もある。3月の「BCNランキング」のデスクトップPCランキングで1位だったNEC「VALUESTAR E VE570/WG」は、地上デジタルチューナー、4GBメモリ、500GBのHDD、DVDマルチドライブなどを搭載し、12万円強。PCはエコポイントの対象ではないが、インターネットやメールをしたり、iPodなどの携帯オーディオをつないで音楽ファイルを管理することもできる。PCとしてもテレビとしても利用できるので、お買い得感があるのではないだろうか。

デスクトップPCの45%(3月)が地デジチューナーを搭載
(写真:NEC「VALUESTAR E VE570/WG」)

 アナログテレビにテレビ用の外付け地デジチューナーを接続して、地デジを見る方法もある。地デジ専用の簡易タイプなら、6000円-7000円前後の製品もあるので、とにかく安く地デジ対策をしたいという人にはオススメだ。ブラウン管テレビと簡易型の地ジチューナーとの接続は、赤(音声・右)・白(音声・左)・黄色(映像)の3本の映像音声端子(コンポジット端子)で行うことがほとんど。このほかに、アンテナケーブルを接続すれば、地デジが見られる。カセット型HDDを備えたチューナー「VDR-R1000.PLUS」(日立マクセル)なら、録画もできる。

 もし、アナログ液晶テレビを地デジ化するなら、D端子搭載の地デジチューナーを購入してもいい。黄色の映像端子の代わりにD端子を接続することで、映像をきれいに表示する。やや値は上がるが、1万円程度で買える製品もある。例えば、3月の「BCNランキング」のデジタルチューナーランキングでは、D4端子を備えたバッファロー「DTV-H300」は、9000円だった。

地デジチューナーなら、アナログテレビを捨てずに地デジ対策ができる。
左から、バッファロー「DTV-H300」、日立マクセル「VDR-R1000.PLUS」
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 前述の地デジチューナーと同じように、DVD/BDレコーダーを接続して、地デジをみる方法もある。2011年7月24日以降、アナログチューナーのレコーダーは、プレーヤーとしては利用できるが、録画はできなくなる。しかし、地デジチューナー搭載のレコーダーがあれば、とりあえず視聴も録画もできるのだ。アンテナケーブルをレコーダーに接続し、3色のコンポジット端子か、赤・白の音声端子とD端子を組み合わせたどちらかで、アナログテレビと接続すればよい。テレビのリモコン操作はレコーダー側で行うことになるが、とりあえず録画ができる環境を整えておきたい人にオススメしたい。

地デジチューナー搭載のDVD/BDレコーダーを接続する方法もある
(写真:シャープのBDレコーダー「BD-HDS43」)

 また、PC用の液晶ディスプレイを使う方法もある。意外と知られていない裏技だろう。HDMI端子を備えている最近の液晶ディスプレイなら、アンテナケーブルをレコーダーに接続したうえで、液晶ディスプレイとHDMIケーブルで接続すればいい。なお、スピーカーを内蔵していないと、音声の出力はできないので注意が必要だ。液晶ディスプレイ本体にスピーカーが内蔵されていない場合は、レコーダーにスピーカーを接続すれば音声出力ができる。

HDMI端子でつないで、PC用液晶ディスプレイで地デジを見ることができる
(写真:三菱電機「RDT231WLM(BK)」とシャープのBDレコーダー「BD-HDS43」))

 最後に、ここまで紹介した方法はすべてUHFアンテナで地デジが受信できる環境であることが前提になっている。アンテナが屋根などに設置されていない場合は、アンテナ工事が必要だ。

 さらに、地デジとBSデジタルを受信できるNTTの光回線(フレッツ光)を用いたサービス「フレッツ・テレビ」を利用する方法もある。テレビCMで目にしたことがある人も多いだろう。この方法で地デジを見るためには、フレッツ光の月額回線利用料(戸建タイプ・月額5985円、マンションタイプ・月額4095円)と「フレッツ・テレビ」の月額利用料682.5円がかかるが、複数の部屋のテレビで利用しても月額利用料金が同じことや、電波障害の影響が少ないため、クリアな映像が見られることがメリットだ。最近は、家電量販店のテレビ売り場で「フレッツ・テレビ」を契約すると、テレビ本体に割引が適用されるケースも多い。パソコンのインターネット回線でADSLを利用している人は、これを機に、より高速な光回線を検討しよう。

 同じく有料サービスでは、ケーブルテレビ(CATV)に加入する方法もある。これは、CATV専用のチューナー(STB:セットトップボックス)を通じて地デジが見られる仕組み。アナログテレビをそのまま利用することもできるが、受信するテレビごとにSTBを接続しなければならない。ただし、ケーブルテレビ会社大手のJ:COMの加入世帯は、2011年7月24日から15年3月末日までの期間限定で、STBと接続していないアナログテレビでも地上デジタル放送が見られる。ちなみに、J:COMの対象エリア内でNHKや民放以外のローカル局の番組が映る世帯は、J:COMラインに接続しているので、地デジだけ視聴できる。

 地デジ対策は、薄型テレビの買い替えだけでなく、実はいろいろな選択肢があるのだ。アナログテレビを生かした“捨てないエコ”という選択肢もあるし、テレビ機能を備えたPCを購入して、テレビとインターネットを便利に使い分けるという方法もある。小型の液晶テレビなら3万円前後で買える製品もあるので、買い替えてエコポイントをゲットしてもいい。いろいろな方法を比較して自分の家に合った方法で地デジを楽しもう。(BCN・田沢理恵)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで127品目を対象としています。