8月、マイクロソフトがデジカメで撮った写真群を3Dに変換してくれるサービス「Photosynth」を発表した。仕事の傍ら動画や画像をかじっている「にわかVJ」である筆者は「これぞデジカメ写真の醍醐味だ!」と興奮してしまった。そこで、早速と言うほどでもないが、バルセロナに行った際に撮った写真を使ってPhotosynthを試してみた。

●新時代のサービスPhotosynth、2Dのデジカメ写真を1ステップで3D

 「Photosynth」は、ごく簡単に言うとデジタル写真を使って3D空間を作り出すシステム。まずは3D空間で表現したい被写体をあらゆる角度で撮影する。すると各写真に重なり合う部分が出来るが、それらを自動的に計算して合成する。すると、平面の写真同士がつながって立体的にグリグリと動かせるようになり、あたかもその写真の場所に立って、被写体を眺めているような立体感を感じられるサービスだ。

 こう書くとなかなか敷居が高そうなイメージを受けるが、手順はいたって簡単、まずは「Photosynth」のサイトにアクセスし、専用ソフトをインストール。Photosynth用のアカウントを作成した後は、自分で撮影した画像をアップロードするだけだ。これだけで写真を自動的に合成してくれ、何もしなくても3D空間が出来上がるのだという。

 今回はバルセロナにあるサグラダ・ファミリア教会の写真75枚と、バルセロナ市街の写真19枚を使って実験。Photosynthは写真同士が重なり合う部分を合成するので、写真の枚数は多いほうがより精密な3D画像ができるはず。また、できるだけ同じ場所から、体の中心をずらさないように注意しながら角度を変えて写真を撮る必要もあるだろう。

 ということで、上記の点に気をつけつつ、それなりの枚数を撮影してきたつもりだが、大きな建造物の場合は正直もっと多くの写真を撮影したほうが良い。やりすぎではないかと思うくらいでかまわないだろう。ご覧頂く作品も細部をもう少し撮っておけばもっと良いものに仕上がった気がする。

 ただし、数が多いとアップロードや合成処理にかなり時間がかかることが予想されるので注意が必要。今回、サグラダ・ファミリアの場合、75枚の写真で合計71MBの写真を使ったのだが、画像アップロードを含め、3D空間の完成までに要した時間は56分だった(作業時のネットワーク回線速度は上りおよそ11Mbps)。


●サグラダ・ファミリアの写真が3Dに! 自動にも関わらず驚きの出来ばえ

 なにはともかく出来上がった3Dを見てみよう。まずはバルセロナのシンボルともいえるサグラダ・ファミリアだ。今回3D化したのは教会の東側にある生誕のファザードと呼ばれる部分だ。



 建物の真下に立って数十枚、さらに少し離れて数十枚を撮影。それなりに気を使って撮影したつもりだが、ファイルがいくつかのグループに分断されてしまった。写真同士をどのくらい結合できたかという、いわば合成率を示すSynthyという項目は68%だった。この合成率があがればあがるほど正確で細かい3D空間が表示されているということになるのだが、今回の作品は可もなく不可もなくといったところのようだ。

 ただ、ここからほんの少しだけでも人間の手で修正することが出来れば、もっと正確な3D空間が出来たのではないかと思う。とはいっても全自動でここまで写真同士を認識し、配置する技術は十分驚くに値する。次はバルセロナの市街。


  これは展望台に上った際に手当たり次第に撮ったもの。これはサグラダ・ファミリアよりも後に撮ったので少し手際が良くなったのだろう、Synthyは90%にまで上がっている。

 また、これは余談だが、Photosynthは非常に面白い写真の表示方法をとっている。アップロードした写真を表示する際、何十枚という画像を一瞬で表示できるのだ。通常のビュワーでそれだけの画像を読み込むとすれば、それなりの時間を必要とするがPhotosynthはその時間がない。画像を拡大すると最初はぼやけて表示され、徐々に細部がくっきりとしてくる表示もスムーズで、まるで暗いところを見た際の人の目のように視界が明らかになっていく感覚と似ている。単純に画像ビュワーとして使っても面白いと感じた。

 今回、初めての挑戦で課題もいくつか見つかったが、全体的に見れば普通の写真や動画では表せない非常に面白い作品が出来たと思う。正直撮影には気を遣い、時間もかかった。しかし自分の家などでコツさえ掴んでしまえばそう難しいものではない。さらに自動合成後の写真を手動で修整したりする機能さえあれば、より正確で面白い物が出来るだろう。マイクロソフトも、Photosynthオフィシャルブログで、アイディアやバグの情報があればどんどん送って欲しい、としており、今後の改良にも期待がもてる。

 また、昨年はPhotosynthとNASAがコラボレーションし、スペースシャトル「Endeavour」と、その発射台や組立棟などの様子を3D画像で提供するなど、今後も様々な協業が予想される。これからは行楽シーズンということで、外出する機会も増えると思うが、何か建造物を見に行く機会があればPhotosynthの3D世界作成にチャレンジし、デジタルの最先端で遊んでみてはどうだろう。(BCN 鼓金時)


※ちなみに今回の撮影に使用したカメラをレビューした連動記事【にわかVJ、キヤノン「PowerShot SX110 IS」でバルセロナを撮る】こちら