• ホーム
  • 業界動向
  • 次世代レコーダーでソニーが61.1%とトップシェアを獲得、その戦略を探る

次世代レコーダーでソニーが61.1%とトップシェアを獲得、その戦略を探る

トレンド

2008/01/28 23:00

 次世代DVDのブルーレイディスク(BD)に対応したソニーの「ブルーレイレコーダー」が好調だ。次世代DVDレコーダーのメーカー別「BCNランキング」では、12月にトップシェアを獲得、11月発売の新モデルすべてがトップ5内にランクインするなど人気が高い。同社マーケティング担当者にその戦略と要因を聴いた。

●年末商戦は価格戦略で優位に

 07年の年末商戦、需要が一気に拡大した次世代DVDレコーダー。市場の立ち上がりでリードを奪ったのはソニーだった。12月ではメーカー別の販売台数シェアで61.1%を占めトップ。秋冬の新モデルはすべてブルーレイ・ディスク(BD)対応モデルという力の入れようだ。BDに賭ける同社の意気込みが伝わってか、11月の発売直後から新モデルの売り上げも好調。12月の次世代DVDレコーダーランキングでは、4機種すべてがベスト5入りするほどの人気ぶりだ。

 12月の次世代レコーダーで1位を獲得したのは、HDD容量320GBの「BDZ-T70」、2位にはエントリーモデルの「BDZ-T50」が続く。4位に最上位モデルの「BDZ-X90」、5位はビデオカメラ連携モデルの「BDZ-L70」が入った。圧倒的な強さを見せつける結果になった一因には、比較的安く抑えた価格設定がある。08年1月28日にBCNが集計した市場推定価格では、HDD250GB搭載のエントリーモデル「BDZ-T50」が11万4200円。一方の松下電器産業の同じHDD250GB「DMR-BW700」は同14万1500円と、ソニーの方が割安だ。

 価格設定について、ソニーマーケティングの中村芳彦・マーケティングマネージャーは「過去を見ても15万以上の商品でDVDレコーダーが一気に普及したことがない。BDを普及させるためには15万円以下の価格帯の製品が必須だった」という。「他社と違い、従来のDVDのみに対応したレコーダーの新機種を出さないので、(低価格なのは)ある意味当然。ソニーのラインアップとしても15万円以下のゾーン(の製品)がないというのはありえない」(同)。つまり他社と価格面での競合を避けたのではなく、新製品ではBDレコーダーのみを発売するという戦略から導き出した価格だということを強調する。

 戦略は当たった。12月には生産が追いつかず、一部の店舗では品切れまで発生。「マーケットがここまで広がるとは想定していなかった。年末商戦は市場全体でBDが20%のシェアをとりたいという意気込みはあったが、それが現実になってしまった」と驚きを隠さない。供給不足の状況は1月中は続く見込みだという。

●「分かりにくさ」を払拭し、「スタイル提案」で選びやすく

 次世代レコーダーは好調だったが、HDD-DVDレコーダー全体の販売台数は、07年を通じて前年割れが続いていた。最大の要因は、次世代規格の様子見だけではなく、高機能化するにしたがって、より複雑になってしまった製品ラインアップにあった。中村マネージャーは「HDDの容量、チューナーや接続端子の数など、スペックだけを強調したメーカー同士の競争で、レコーダーの高機能化が進行し、一体どれを買えば自分の使い方に一番合うのかが分かりにくくなったことにある」と説明する。


 そこで同社は、「スタイル提案」で分かりやすさを打ち出した。11月に発売した4機種を、ユーザー自身の使い方(スタイル)別に「番組を楽しむ」「思い出を残す」「シアターを堪能する」の3つに分類、迷わずに製品が選べる環境を整えた。

 HDD容量250GBと320GBの「BDZ-T50/T70」は「番組を楽しむ」製品として位置づけ、ブルーレイディスクとHDDでの録画に機能を絞って訴求。DVDレコーダーからの乗り換え層や、レコーダー未経験のユーザーをターゲットにした。「BDZ-L70」は、テレビ番組の録画だけでなく、ビデオカメラで撮影した映像も残したいという「思い出を残す」ユーザーがターゲット。本体に「ワンタッチダビング」ボタンを備え、ビデオカメラ内のHDDやDVDから簡単にレコーダーのHDDに取り込める。

 ハイエンドモデル「BDZ-X90」は、ホームシアターなどを構築し、高画質・高音質にこだわる「シアターを堪能する」ユーザーがターゲット。ハイビジョン映像をより精細な映像に変換する「HDクリエーション」機能や、4機種中最大の500GBのHDDなどを搭載する。

●08年は次世代レコーダー好調の年に

 08年のソニーは「引き続き『スタイル提案』を強化し、単なるスペック競争ではない、ユーザーがやりたいことを全面に押し出したモデルを出していく」(同)方針だ。

 07年の年末商戦では「シャープがHDD搭載の次世代レコーダーを発売しておらず、松下も供給が追いつかなかったが、販売できる製品があれば、12月の時点でもっとマーケットが広がっていたはず」といい、まだまだ拡大余地があると見ている。さらに、08年は北京オリンピックの開催や、HDDに録画した番組をDVDには1度しかムーブできないというコピーワンスの問題がムーブが1回でコピーが9回までできるようになる「ダビング10」で解消される予定など、次世代レコーダー市場にとってプラスの話題が多い。次世代レコーダーにとって好調な年になるのではと予測する。

 07年12月現在で、DVDレコーダーの次世代比率は2割弱。次世代レコーダーでは6割以上のシェアを獲得したソニーだが、従来型のDVDレコーダーも含めた市場全体で見れば、シェアは14.1%。36.1%で1位の松下、32.2%で2位のシャープを追う状況が続いている。次世代機の本格的な普及期に突入するタイミングをソニーでは、「HDD搭載で、10万円を切るモデルが発売されるころではないか」(同)と見ており、次世代レコーダーでの逆転を狙う。



 同社ははBD普及のスピードアップを狙い、すべてのレコーダーをBD対応切り替えたため、レコーダー市場でシェア拡大を担うのはもはやBDしかない。「長時間録り貯めできるHDDレコーダーとしてではなく、『ブルーレイレコーダー』という名称をつけているのだからBDにどんどん録画してほしい」とBD拡大に期待を寄せる。レコーダーをBD対応に絞り、戦略的に価格を設定し、分かりやすさを前面に押し出す「スタイル提案」でユーザーを獲得したソニー。これから本格化する次世代レコーダー商戦での、次の一手に注目が集まる。(BCN・岡本浩一)

*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など24社・2300を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。

オススメの記事