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米テレビベンチャー、ビジオが夏にも日本進出、販売トップにその戦略を聴く

特集

2008/01/22 11:25

 07年米国の薄型テレビ市場で一時トップシェアを獲得した米の新興テレビメーカー、ビジオ。躍進の原動力となった最大の武器は“低価格”だ。例えば、37V型の標準ハイビジョン液晶テレビは約850ドル(約9万円)という価格で販売している。自社に工場を持たず、韓国や台湾メーカーなどからパネルを調達し、中国の工場などに組み立てを委託する「水平分業型」のビジネスモデルを採用することで実現した。今後の事業展開について販売部門トップのレイニー・アレン・ニューサム・バイス・プレジデントにインタビューした。

●08年夏、42、47V型の液晶テレビで日本市場参入へ

―――08年の販売計画は

 「米国では20V型の小型モデルから52V型の大型タイプの液晶、プラズマは50?60V型を中心としたハイビジョンテレビの新製品を発売し、お客さんに“良い”値段で提供していきます。また、今年は日本でも42、47V型の液晶テレビを7-8月に発売する予定です。日本での販売については、今、日本の大手小売店の数社と話をしているところです」

 ―――日本ではOEM(相手先ブランドによる供給)でテレビを販売するのか

 「“ビジオ”ブランドで販売します。OEMはしません。私たちのテレビの特徴は、デザイン、画質、価格です。この3つは日本でも大きな武器になるし、当社の薄型テレビは日本のお客さんに支持してもらえると自信を持っています。特に価格については、米国よりもさらに安い価格で販売しようと考えています」 

 ―――ビジオは日本では安いだけで品質が悪いというイメージがあるが

「安かろう悪かろうでは、米国でトップシェアが取れるほど売れるわけがありません。薄型テレビは『高画質の機種は高い、低画質の機種は安い』というのが一般的ですが、私たちは、『高画質で安い』ことを目標にテレビを作りました。その考えが消費者に受けて成功した。その結果、07年は液晶、プラズマ合わせて280万台を出荷することができました。08年は倍の560万台の出荷を計画しています」


●価格だけではなく、顧客対応にも自信あり

 ―――米国でなぜシェアを拡大できたのか

「当社の薄型テレビは今、全米の約3万の店舗で販売されています。最初はコストコ(会員制の倉庫店)で販売したのですが、高画質で低価格なことが消費者に支持されて、爆発的に売れました。その状況を見ていたウォルマート・ストアーズ(世界最大の小売業)が販売するようになり、サーキットシティ(家電量販店)も加わって、販売する店舗が増えた。それがシェア拡大につながったと思っています。今ではそのほかスーパーのKマートや百貨店のシアーズも加わりました。現在、家電量販店のベストバイとも販売の交渉をしています」


 ―――急成長した影響でアフターサービスなどの顧客対応が追いついていないとの指摘もあるが

「当社のカスタマーサービスやアフターサービスが悪い、他社に劣っているということは決してありません。カスタマーサービスには自信があります。例えばサービスセンターに電話をもらったお客さんに対して、2分半でトラブルなどが解決できるような顧客対応を行っています。当社の従業員は100人ですが、そのうち60人が顧客対応の担当者です。修理も満足してもらえる体制を作っていると思っています。もちろん、日本に進出した場合にも同様の担当者を置くつもりです」

 ―――ビジオが目指す企業像は

「米国はもちろん、世界でもブランド力のある家電メーカーになりたいと思っています。目指すのは次世代の“グレート・ソニー”(偉大なソニー)です。それは、今後も消費者の支持を集め続けることができれば、可能なことだと思っています」


■ビジオ(VIZIO)
 創業者でCEOのウィリアム・ワング氏が2002年に設立。本社はカリフォルニア州アーバイン。従業員は約100名で、60名が顧客対応の担当者。当初は米パソコンメーカー、ゲートウェイのプラズマテレビ事業のコンサルティングを手がけていたが、ゲートウェイの同事業撤退を契機に自社ブランドでの薄型テレビ市場参入した。液晶、プラズマテレビを販売。液晶テレビはVA(垂直配向)、IPS(横電界)のパネルを使用する。08年の春夏モデルでは、液晶は20-52V型、プラズマは32-60V型をラインアップしている。