海外と女性にフォーカスする――第32回

千人回峰(対談連載)

2009/01/19 00:00

葉田順治

葉田順治

エレコム 取締役社長

 葉田 自分たちの足りない商品ジャンルと販売チャネルを補完するというスタンスですね。できるだけ、わかりあえる相手と組んでやっていきたいと思っています。すでにロジテックを4年前に買収しましたが、これにより総合周辺機器メーカーのイメージが高まり、以前よりも商談がやりやすくなったことは間違いありません。私はM&Aの効果が出るまでには5年はかかると思っています。ですから、中長期的な視点が必要ですね。

 そして、M&Aでは絶対にリストラをしないことと、経営は相手に任せることが大事だと思います。ただし経営については、常にきめ細かくチェックをし、同時に「エレコム魂」を吹き込むことが必要です。

 奥田 「エレコム魂」とは、どんな魂なのでしょう。

 葉田 「自分がやらなければ誰がやる」という責任感を持ち、社員自身がエレコムのことを「自分の会社」と考えることですね。これはもちろん、持株の有無とは関係ない次元の話です。そして、国内営業のセクションでいえば、不撓不屈の精神です。かわいそうなことに彼らは、私からいつも「このボケ!」とののしられていますけどね(笑)。その甲斐あってか、世間様からは「エレコムは営業が強み」と、高い評価をいただいています。

 奥田 「営業力のエレコム」というわけですね。ところで、2008年の「BCN AWARD」で葉田さんは鮮やかな赤のジャケットで登壇されました。私も2009年のアワードでは、ノーネクタイにジーンズで臨もうかと考えているのですが、どう思われますか。

 葉田 うーん、それはBCNのプレゼンスを考えなくちゃ。アップルみたいな社風ならいいでしょうが、ノーネクタイとジーンズはさし当たってやめたほうが……。あまり、冒険はしないほうがいいですよ。うん、しないほうがいい。

 奥田 そうですか、それは残念。それでは次回のアワードでは、葉田社長のファッションを楽しみにするのにとどめておきましょう(笑)。

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Profile

葉田順治

(はだ じゅんじ)  1953年10月三重県生まれ。1976年3月甲南大学経営学部卒業。1986年5月エレコム株式会社設立、取締役就任。1992年8月常務取締役。1994年6月専務取締役。1994年11月取締役社長(代表取締役)に就任し、現在に至る。兵庫県西宮市在住。趣味は読書、ゴルフ。