「プロ」にこだわり抜いて――第27回

千人回峰(対談連載)

2008/08/25 00:00

鈴木勝喜

鈴木勝喜

プロシップ 代表取締役会長

他社が嫌がる仕事を磨くこと

 奥田 プロシップは固定資産管理の分野で他社の追随を許さないところまできていると思うのですが、それを強みにできたのはどんなことによるのでしょうか。

 鈴木 長年の積み重ねとしかいいようがないのですが、他社が手を出しづらい分野であるということは大きいでしょうね。

 一般の方は固定資産といってもあまりピンとこないと思いますが、たとえば電力会社の固定資産は、原子力発電所の原子炉、水力発電所のダムから電柱に至るまで合わせると10兆円以上にのぼります。つまり、単に固定資産を償却するといっても、償却方法の選択によって莫大な金額の差が出てくるわけです。

 そのため、さまざまなシミュレーションをして最善策をとる必要があるのですが、そこの部分は嫌になるほど複雑で、SIerもあまり手を出したがらない。つまり人が嫌がる仕事なので、仮に会計システムを他社が受注しそこでジョイントしたとしても、固定資産システムについては当社が元請けとして契約できるわけです。プライム・コントラクターが、固定資産の部分については説明できないわけですから。

 奥田 最後に、今後の構想についてお話しいただけますか。

 鈴木 現在、固定資産の分野ではどこにも負けないというレベルに到達しつつあると考えており、さらにそれを磨いていくということになります。マーケットサイズとして、固定資産管理のために中堅以上の企業が使うお金は400億~700億円と見積もっているのですが、現在、上場企業4000社のうち、当社が押さえているのは約800社と全体の2割です。これを何年かかけて6~7割にまで引き上げていきたい。最近は減損会計やリース資産のオンバランス化など、固定資産にかかわる部分での国際会計基準対応など多くのトリガーがありますので、伸ばす余地は十分にあると思います。

 そして固定資産だけに頼るのではなく、次の柱をつくることも考えなければなければなりません。一昨年から本格的に取り組んでいるのが、PPSS(Pro Plus Sales Suite)という販売管理システムです。会計や固定資産のシステムとは異なってこの分野は激戦区であり、また法的な規制がないためシステム設計は自由で、アドオンやカスタマイズする部分が多くなります。つまり個性が出るわけですね。それだけに、業務内容についても勉強しないとついていけないので、なかなか一筋縄ではいきません。けれど、引合いもだいぶいただいており、3年ほどをめどに、これを第二の柱に育てようとしている真っ最中です。

 奥田 今日は、長時間にわたっていろいろなお話をうかがいましたが、実はまだ聞き足りないところがあるんです。それは、上場時のご苦労と、今日も少しお聞きしましたがシカゴでの武勇伝をもう少し深く(笑)。その分については、回を改めてぜひお願いしたいと思っています。

前へ

Profile

鈴木勝喜

(すずき かつよし)  1941(昭和16)年5月19日、愛知県生まれ。1964年、法政大学法学部卒業、株式会社ミヤノ入社。同社にて米国駐在を体験し、本格的なコンピュータソフトの時代が到来することを予見し、1976年、日本エム・アイ・エス株式会社(現・株式会社プロシップ)入社。1987年、代表取締役社長に就き、 2006年に代表取締役会長に就任、現在に至る。