「家業の哲学」を経営に生かす――第26回

千人回峰(対談連載)

2008/08/04 00:00

山田哲也

山田哲也

サンワサプライ 代表取締役社長

新しいサービスはないと思ったら、そこで可能性は途絶える

 奥田 ところで、メーカーと販売店との関係は、時代によって変化してきたといえますが、山田さんは今後どのようになっていくとお考えですか。

 山田 難しい質問ですね(笑)。昔は、メーカー→問屋→販売店→ユーザーという流れがありました。だけど、いまはそれがミックスされてきました。象徴的なのはアパレルのユニクロですよね。

 おそらく、最終的にはプロシューマーということになると思います。つまり、自分でつくって自分で消費する。裏の畑で大根をつくって、自分で食べるということです。

 奥田 それでは「サンワ2.0」のなかで、つくり手と売り手の関係はどのようになると思われますか。

 山田 そこも難しいところです。いまいえるのは、そこにユースソフトウェアというかサービス的なものを加えていかないと、これからはきびしいと思いますね。

 つくり手がモノをつくる、それをユーザーに買っていただく、その中間に販売店がある、という形がほとんどであるにせよ、そこにいままでとは違うつながりをつくって、なんらかのアクションをとる必要があるでしょう。

 奥田 それは、具体的にどんなものですか。

 山田 たとえば、iTunesのようなものです。他社の邪魔をせず、環境悪化にも荷担しない、そういうサービスをサンワサプライができればいいと思います。そんなサービスがあるかどうかはわかりません。けれど、ないと思ったらそこで100%可能性はなくなります。

 奥田 なるほど。今日は、久しぶりに「山田節」を堪能させていただきました。興味深いお話ばかりで本当に楽しかったです。ありがとうございました。

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Profile

山田哲也

(やまだ てつや)  1944(昭和19)年10月26日、岡山県生まれ。67年、慶応大学商学部を卒業し、文昌堂に入社。69年、家業の三和興業に入社。79年、「休眠状態にあった平和興業」を「サンワサプライ」に社名変更し、コンピュータ周辺機器の製造および販売を手がける。95年、代表取締役社長に就任し、東京と岡山に拠点を置き、コンピュータサプライヤーとしての地位を築いている。2007年には中国にサンワ上海を設立。