ゲスト:国立津山工業高等専門学校専攻科1年生 井上恭輔 VS ホスト:BCN社長 奥田喜久男  井上恭輔君を最初に知ったのは、2005年10月9-10日に鳥取県米子市で開催されていた第16回高専プログラミングコンテストの会場だった。超次元コラボレーションブラウザAntwaveのキャッチコピーにまず目を惹かれた。「それは、君を感じるインターネット」「この遠く青い空の下、僕は君と歩き出す」――なんて詩的な表現ができる若者だろうと思った。話してみると、実にしっかりした考えを持っている。06年1月にスタートするBCNのITジュニア賞表彰式に呼びたいなと思っていたら、そのプロコンでみごと文部科学大臣賞(最優秀賞)に輝いた。昨年、第1回「BCN ITジュニア賞」を手にした井上君は、今年1月のBCN AWARD/BCN ITジュニア賞表彰式に、ゲストとして駆けつけてくれた。【取材日:2007年1月26日 青山ダイヤモンドホールにて】

 「千人回峰」は、比叡山の峰々を千日かけて歩き回り、悟りを開く天台宗の荒行「千日回峰」から拝借しました。千人の方々とお会いして、その哲学・行動の深淵に触れることで悟りを開きたいと願い、この連載を始めました。

 「人ありて我あり」は、私の座右の銘です。人は夢と希望がある限り、前に進むことができると考えています。中学生の頃から私を捕らえて放さないテーマ「人とはなんぞや」を掲げながら「千人回峰」に臨み、千通りの「人とはなんぞや」がみえたとき、「人ありて我あり」の「人」が私のなかでさらに昇華されるのではないか、と考えています。
株式会社BCN 社長 奥田喜久男
 
<1000分の第7回>

※編注:文中の企業名は敬称を省略しました。

※編注:文中の企業名は敬称を省略しました。
 

毎日パソコンに触っていたくて津山高専に

 奥田 高専プロコンに4回出場して3回の最優秀賞(文部科学大臣賞)と審査員特別賞1回の受賞、すごいよね。昨年はBCN ITジュニア賞の受賞も果たしたし…

 井上 ありがとうございます。ジュニア賞の表彰式の前に行われたBCN AWARDをこの目で見られたのもよかったです。IT業界の大先輩の方々が表彰を受けられるシーンを見て、すごく刺激になりました。

 奥田 井上さんはプログラミングで受賞したわけだけど、そもそもパソコンに触り始めたのはいつ頃からなの?

 井上 1995年、中学生になった時でした。近所の大学生に教わったのですが、すぐ虜になって…。元々、機械いじりは好きだったんですが、パソコンは別格という感じでした。それで、母親にパソコン買ってほしいっていったら、すぐ買ってくれました。

 実は、うちは父親が早くに亡くなり、母親と妹とおばあちゃんという女系家族だったんです。で、パソコンを買う時に母親が言いました。「お前に財産は残してやれないかもしれないけど、経験を積むための投資は惜しまないよ」って。

 奥田 すごいお母さんだねぇ。考え方がしっかりしている。

 井上 母親には時々びっくりさせられます。昨年の夏、30万円ほどもする業務用カメラが欲しくなったんです。小学生の時からためていた貯金が30万円ほどあり、それで買おうと思えば買えるんですが、貯金がゼロになるのは怖い。それで、母親にちょっと相談してみたら、「感性というのは年とともに変わっていくからね。私なら、若い時の感性を残しておくために買うな」というのが返事でした。

 奥田 その考え方もすごいな。お母さんにも一度会ってみたいですね。ところで、中学1年生の時、オリジナルソフトを開発したんだって。

 井上 ええ、英単語の練習ソフトを開発して「English君」と名付けたんですが、友達に見せたところ大喜びしてくれました。使ってくれて、喜んでくれる、その時の感動が忘れられず、さらにパソコンにのめり込んでいくことになりました。

 奥田 津山高専を選んだ理由は?

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