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「加盟店拡大」に加え「個人間送金」がカギになる電子マネー競争

経営戦略

2018/06/23 17:00

 2001年にEdy(現・楽天Edy)、04年にSuicaのショッピングサービスが始まって以来、少額のキャッシュレス決済で中心的な役割を担ってきた電子マネー。ICカードによる利用が主流だったが、おサイフケータイに対応したほか、現在ではApple PayやGoogle Payといったスマートフォンプラットフォームの機能としても取り込まれるなど、その形態は多様化している。

 一方、最近では「楽天ペイ」「LINE Pay」「Origami Pay」「d払い」などの、モバイル決済と呼ばれるサービスも、広義には電子マネーとしての機能を果たしつつある。スマートフォンアプリ上でバーコードを表示し、レジで提示することで、アカウントにチャージされた残高を利用して代金の支払が可能というものだ。

 この中でLINE Payが、友だち同士で10円を送るとプレゼントがもらえる「10円ピンポン」キャンペーンを開始した(7月17日)。「LINEでは、メッセージだけでなくお金も送れる」ということの認知を拡大するため、送金機能を利用してわずか10円を誰かに送るだけで、ドリンクやファーストフードがもらえるクーポンを発行するというものだ。送った10円を相手から返してもらえば、相手にもクーポンが発行されるので、お互い実質無料で景品を獲得できる格好だ(銀行口座の登録と口座からのチャージが必要)。
 
LINE Pay「10円ピンポン」キャンペーンへの応募の流れ

 これまで、電子マネーの勢力争いといえば、大量のICカードを配布してユーザー層を形成しつつ、いかに多くの加盟店を獲得できるかの勝負となっていた。一方、中国で普及したWeChat Payをみると、割り勘や少額のおごりなど、個人間で発生するお金の受け渡しを、現金よりも便利に行えることが支持を集めた理由のひとつになっているようだ。

 すでに米国では、PayPalやApple Payでの個人間送金が可能になっており、日本でも「paymo」「Kyash」など個人間のやり取りにフォーカスしたアプリが徐々にユーザーを増やしている。電子マネーのサービス間競争は、単に買い物ができる場所を増やしていく段階から、リアルマネーでは実現できない体験をいかに提供していくかに軸が移りつつある。