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業務効率化から「経営改善」へ、進化の第2章に入った「Airレジ」

 0円でカンタンに使えるPOSレジアプリ「Airレジ」を核とした、リクルートライフスタイルの業務支援ソリューションが新たなステージに入った。日々の業務を効率化するための機能をさらに強化する一方、店舗経営の「改善の仕組み」を提供し、本部や店長にとっての“経営アシスタント”となることを目指している。その背景と狙い、新サービス「Airメイト」の特長に迫った。


今春提供開始するAirシリーズの新サービス「Airメイト」

数字単体を見ていても経営の改善策はわからない

 「誰にでも使える経営改善の仕組みがない。店舗経営者にとってこれは大きな問題でした」

 リクルートライフスタイルが1月30日に開催した「Airレジ カンファレンス 2018」で、Air事業ユニットの山口順通ユニット長はこのように問題提起し、それに対応するための新サービス「Airメイト」を発表した。

 同社は2013年にiPadiPhoneで使えるPOSレジアプリ「Airレジ」の提供を開始して以来、モバイル機器で簡単に使えるAirシリーズとしてさまざまなサービスを投入し、飲食店や小売店の業務を効率化してきた。ただ、当然のことながら店舗経営の目的はツールを使いこなすことではなく、顧客や社会に価値を提供し、健全な利益をあげていくことにある。Airメイトは、業務効率化というこれまでのAirシリーズの枠を越え、店舗の継続的な成長をサポートする「経営改善」のためのサービスとして開発したものだという。
 

リクルートライフスタイル 山口順通 Air事業ユニット ユニット長

 店舗の経営を改善するには、現在の課題を正確に把握し、ムダを省きつつも顧客に十分な価値を提供できるよう、最適なやり方を見極める必要がある。しかし、「課題の正確な把握」と言葉にするのは簡単だが、それを実行することは極めて難しい。

 山口ユニット長は、店舗の経営改善が難しい理由について次のように説明する。「例えば計画通りに収益が上がらないとき、経営者は人件費削減のため、従業員のシフトを調整して労働時間を減らそうと考えます。しかし、短期的には利益の改善につながるかもしれませんが、サービスレベルが落ちて再訪率が下がり、中長期的にはむしろ損失の拡大を引き起こす可能性もあります」。

 つまり、売り上げや利益といった数字を単体で見ていても、真の「打つべき手」を知ることはできない。例えば、飲食店なら時間帯ごとの従業員の人数、サービスに要している時間、入店数/予約数/キャンセル率といったさまざまな指標を立体的にとらえ、投入する施策やコストを最適化する必要があるが、多くの店舗にとっては、これだけのデータを収集するだけでも大変で、毎日分析し続けるのは手間や時間がかかりすぎて現実的ではない。

次に何をすべきか、改善のヒントを教えてくれる

 このデータ収集・分析作業を自動化し、経営者や店長が打つべき手を一目で把握できるようにするのがAirメイトだ。当初は飲食店向けに特化した機能を提供し、過去の実績や同エリアの賑わいと比較した店舗業績の推移や、新メニュー導入や価格変更の効果などをわかりやすく表示してくれる。「今、重視すべきは新規客獲得か、それともリピート率の向上か」「配布したクーポンの効果はどうか」といった情報を簡単な操作で引き出せるので、店舗の課題や改善策を素早くつかみ、実施した施策の成果を継続的に検証していくことができる。
 

メニューや価格の変更前後の売り上げ、来店経路や利用目的別の客数推移などが一目でわかる

 また、集客と接客に効く予約台帳アプリ「レストランボード」や、Airシリーズの新サービスとして発表された、やりとりも作成もラクになるシフト管理サービス「Airシフト」(今春提供予定)などと合わせて利用することで、予約情報や従業員のシフト情報と連携したより詳細な経営分析が可能になる。

 さまざまなサービスとつながることで、Airメイトには店舗経営に関する大量のデータが日々蓄積されていくが、単に数字の集計を行うだけのツールではない。山口ユニット長は「『予約キャンセル率が高いので、事前の確認電話を徹底しよう』といったように、具体的な打ち手につながる数字の見せ方になるよう、開発の初期段階から複数の飲食店に実際に使っていただきながら、つくり込んでいきました」と説明し、複雑な情報を、経営改善のための具体的な打ち手に直結する形に整理して表示できる点をアピールする。

 また、データを集約し、分析を行う技術としては、グーグルクラウドプラットフォームを全面的に採用。規模的にも機能的にも十分な拡張性があり、将来的には飲食店だけでなく、小売店やサービス事業者も活用できるよう、機能の幅を広げていくという。

 リクルートライフスタイルでは、Airメイトをあえて「ビジネス分析ツール」とは呼ばず、「お店の経営アシスタント」と表現している。山口ユニット長は、Airメイトを「あるときにはほめてくれたり、またあるときにはしかってくれたり、店長やオーナーの相棒(メイト)のような存在」にしていきたいと話し、店舗経営者の悩みに寄り添い、ともに解決していけるよう、サービス自体も成長させていく考えを強調した。