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<ヘッドホン・イヤホンメーカー座談会・2016秋>参入メーカーが増えた売り場の課題とは

特集

2016/11/28 11:00

 品揃えが増えて展示面積が拡大しているイヤホン・ヘッドホン売り場には、新たな課題と可能性が浮上。販売店とメーカーが知恵を出し合う余地は、大いにある。

■参入メーカーが増えた売り場の課題とは

リアル店での説明員がますます必要に

 外資系メーカーまで次々と参入して売り場が盛り上がり、結果的に、集客増につながっていることは歓迎だが、議論で多く出たのが「アイテム数が多すぎて、お客様が迷ってしまう」という課題だ。実際に「自社のヘッドホンを探すのに30分もかかり、ようやく見つけたら、一番いいエンドに置いてあった」という笑い話もあったほど。

 売り場では、人件費をどれだけ割けるかという問題はあるが、適切にアドバイスできる専用スタッフを揃えるのが望ましい。「お客様は自分が選んだ商品が間違っていなかったと後押ししてくれる『声』を求めているように思う」といった見方が出た。

 同じような意見に「自分の音質の好みをよく知っているお客様は、自分で商品を評価できるが、多くのお客様は店員の同意で購入を決める。まさにウェブのレビューはその役割を果たしていて、リアル店舗の売り場でも、そのような接客が求められている」という声が上がった。
 

ディーアンドエムホールディングスの宮原氏

 例えばケーズデンキ府中本店では、タイプ別の特徴やワンポイントを目線の位置に大きく掲示して、初めて売り場に来た顧客にも分かりやすいコーナーづくりを行っている。今泉大志主任は「最初は付加価値の高い商品をおススメしながら、音質への興味や機能などをヒアリングして提案。ヘッドホン・イヤホンは、店の強みである接客が生かせる商品だと実感している」と語る。
 

ケーズデンキ府中本店 ヘッドホン・イヤホン売り場のPOP。「選ぶポイント」を目に付く位置に分かりやすく掲示する
 

郊外店舗にこそ金脈あり

 e☆イヤホンの岡田氏は店舗戦略として「コストを人件費に充てて、接客を重視している」と専門店としての売りを強化するように意識している。

 その分、立地条件がそれほど良くない場所に出店したり、品切れしないように在庫を確保するように工夫しているという。試聴コーナーでは、多くのメーカーを横断的に試聴できるようにしている。
 

e☆イヤホン秋葉原店の売り場。メーカー横断的に視聴できるように意識する

 さらに、e☆イヤホンの松田氏は実体験から「地方こそニーズの掘り起こしや伸びしろがものすごくある」と確信する。「地方のイベント行脚をしてきたが、ヘッドホンで聴く機会のない人がまだまだ多いことが分かったし、驚いたのは女性の来店が多かったことだ」という。ファッションアイテムとしてヘッドホンを選ぶ女性客は、地方でも潜在的に多くいるのだ。「郊外店で高級ヘッドホンを1つ置くだけでも全然来客数が変わると思う」とアドバイスする。
 

e☆イヤホンの松田氏

 実際にe☆イヤホンの店舗には、往復の新幹線代の方が高くつくのではないかと思う顧客の訪問が珍しくない。

 さらに、今の家電量販店のヘッドホン売り場に、女性客が近寄りがたいという課題も上がった。このあたりは、音質をメインに訴求するメーカー主導の売り場づくりに、改善の余地があることを示唆する。販売店とメーカーが売り場づくりで知恵を出し合うのは、まさにこれからだ。
 
<ヘッドホン・イヤホンメーカー座談会・2016秋>
開催日:2016年11月2日
場所:BCN 22世紀アカデミールーム
モデレーター:タイムマシン(e☆イヤホン)
参加メーカー:エレコム、JVCケンウッド、ソニーマーケティング、ディーアンドエムホールディングス、日立マクセル、ボーズ(50音順)


・ヘッドホン・イヤホンメーカー座談会
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2016年12月号から転載