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【アウトレット・リユース】ブックオフ、軌道に乗り始めた中古家電事業

オピニオン

2016/11/28 12:00

 家電のジャンルでもアウトレット・リユース市場が拡大している。これまではPCやAV、家電などが中心だったが、最近はリユースのスマートフォンも注目度が高い。各社の取り組みを取材した。

■アウトレット・リユース家電を解く<中古家電>

 2015年4月に中古家電の買取・販売を開始したブックオフ。一時は事業の不振が報道されたが、16年上期の売上高は前年同期比で196.4%、構成比では6.3%にまで拡大した。「目標値が高かったため、不振の印象を与えたが、店舗展開や現場の体制が整い、いまでは順調に事業の柱に育ちつつある」と、鈴木渡事業開発部長は説明する。
 

ブックオフコーポレーションの鈴木渡 事業開発部長

 もともと本の中古買取で培ったリユース・プラットフォームがあるので、各店舗での導入はスムーズだったという。860店舗(FC加盟店含む)のうち、買取は約600店舗、販売は約400店舗にまで拡大。店舗の大型化や「ヤフオク」出品による販路拡大で、仕入れを大きく上回る売り上げを積み上げている。ヤフオク出品は全カテゴリを合算すると、1年間で約4倍の202万点(16年9月時点)まで伸長した。
 

BOOKOFF PLUS 古淵駅前店(家電館)のロボット掃除機コーナー。
利益率の高い白物家電の販売も順調に伸びている

 独自のシステムを構築することで、コストがかかりがちなリユース事業を効率化できていることも、成長要因にあげられる。まず、ブックオフは一店舗で買取・販売が完結する自給自足を原則とする。査定やクリーニングも店舗内で行うので、外部業者を利用する必要がない。

 内製化は負荷増につながりそうだが、自社で構築したデータベースを活用することで、最低限のフローで商品を回せるように計算している。型番を入力すれば、リアルタイムで変動する価格を提示するだけでなく、必要なスペック情報を一覧することも可能。さらに、このデータベースからシームレスにヤフオク出品につなげることもできるのだ。

 値付けに迷った場合も、Webカメラを通して専任スタッフに相談できる仕組みがあるので、店舗ごとに価格がばらつく心配もない。
 

レジの裏には買い取った家電を査定・クリーニングするエリアを設ける

 都市型店舗での認知不足という課題はあるが、窓口となる店舗と買取対応アイテムの多さを生かす戦略は着々と進行している。当面の目標は、中古家電の売上構成比を10%台まで引き上げることだ。「書籍と比較すると、家電はまだ中古で売る・買うという文化が成熟していない。店舗の改革だけでなく、お客様に利便性を感じていただくことが重要だ」と鈴木事業開発部長が語るように、まだまだ家電リユースは発展途上。業界をあげた市場の活性化は不可欠だ。(BCN・大蔵 大輔)
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2016年12月号から転載