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<高級トースター「アラジン」の開発秘話>反射板の調整にパン1万枚を試す

売るヒント

2016/09/23 13:00

 数千円で購入できるトースター市場のなかで、2万円を超える高級トースターが注目を集めている。この高級トースター市場を切り拓いているのが「アラジン」ブランドの日本エー・アイ・シーだ。


アラジン グリル&トースター CAT-G13A(G)/AET-G13N(W)

 そもそも日本エー・アイ・シーは、80年以上続く暖房機メーカーだ。長年培った加熱のノウハウをトースターに注ぎ込んで生まれたのが「アラジン グリル&トースター」だ。

 トーストを美味しく焼き上げるポイントは「高火力と時間」と開発を担当した開発部高橋弘真主任は話す。「パンを高温で一気に焼くと表面の温度が急激に高くなり、内部との温度差が生じる。中心部に水分が集まり、表面はさくっと、中はもっちりした食感に仕上がる」という。逆に低温でじっくり焼くと、内部の水分が蒸発してしまい、中のふんわり、もっちりした食感が失われてしまうのだ。
 

開発を担当した高橋主任
 

「はやぶさ」にも使われた技術

 この高火力を実現したのが、「遠赤グラファイトシート」だ。「小惑星探査機・はやぶさ」にも使われた熱伝導率が高い素材を加工したもので、通電した際の立ち上がりが速く、0.2秒で発熱する。
 

遠赤グラファイト

 ムラなく焼き上げるには、トースターの天板につける反射板の設計も重要になる。高橋主任は「焼き上がりを左右するのはヒーターのワット数、ヒーターと食材の距離、そして反射板の角度の3点だ。最適な反射板の角度や位置を見つけ出すのが非常に大変だった」と語り、半年間で1万枚を超える食パンを焼き、試行錯誤を繰り返したという。

 ヒーターの開発に約1年、反射板の設計に約半年かかり、開発から製品完成までに実に2年の月日がかかったという。

 このヒーターと反射板はトースターだけではなく、グリル時にも活躍する。トースター専用機が多いなか、「アラジン グリル&トースター」はグリル機能を搭載している。2種類のグリルパンとグリルネットを付属し、焼く、あぶる、蒸す、温めることができる。

 またフタのようにグリルパンを被せることで、庫内の脂飛びやニオイがつくのを軽減できる。トーストを美味しく焼くために開発した高火力ヒーターと反射板が、さまざまな加熱調理を可能にした。
 

オレンジ色の光がレトロな雰囲気を醸し出している

 さらに、高火力を視覚的にアピールできるよう、ピザ釜をイメージしたデザインを採用。覗き窓から見えるオレンジ色の光が、さらにレトロな雰囲気を醸し出している。