有機ELテレビ市場活況、平均単価の下落が後押し

アナリストPOSデータ分析

2022/04/26 13:00

 有機ELテレビ市場が伸びている。2022年3月の販売台数は、3年前と比べ2倍以上に拡大した。ラインアップの拡充や平均単価の下落が主な要因だ。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で明らかになった。


 19年3月の販売台数を「100」とした指数は、シャープが市場に参入した直後の20年6月に「158.2」を記録。以降、一度も100を下回らずに推移している。年末や夏の商戦期は特に活況だ。20年12月に「269.4」、21年7月に「261.2」、12月に「268.0」と、常に260を超える数値を記録している。21年は、20年から続く巣ごもり需要が追い風になったほか、各メーカーが新製品を相次いで発売したことに加え、平均単価が下落したこともあって販売台数が伸びた。

 平均単価の下落はジリジリと進んでいる。19年は25万円前後(税抜き、以下同)で推移。20年は23万円前後まで下落した。旧モデルの値下がりに加え有機ELテレビとしては小さな48型の登場も影響した。続く21年は22万円台まで下落。22年1月には19万8700円と初めて20万円を切った。3月は21万600円と、やや持ち直したが、この3年間で4万1000円下落した。シャープやTVS REGZAといった低価格製品をラインアップするメーカーの人気が高まっていることや、21年春・夏モデルが大きく値下がりしていることも平均単価を押し下げている。
 

 メーカーシェアの争いはソニーの独走態勢になりつつある。ソニーとパナソニックは長らく販売台数シェアで首位争いを繰り広げてきたが、21年8月以降はソニーが8か月連続で1位を堅持。22年3月は37.7%と4割水準までシェアを上げてきた。一方、上位5社で最も遅く20年5月に市場参入したシャープ。小型の48型を投入したことや価格の安さで順調にシェアを伸ばしてきた。22年1月には21.3%で初めて2位に浮上している。19年3月に8.0%と1ケタ台だったTVS REGZAは21年8月以降、安定的に10%台を維持。22年3月は16.7%を獲得し、シャープを上回った。LGエレクトロニクスは3年を通じて10%前後を行き来しており、直近は7.4%で各社の後塵を拝している状況だ。

 地デジ移行から10年以上が経過してテレビ買い替えのサイクルも巡ってきている。有機ELテレビの価格はよりこなれてくることが予想されるため、液晶テレビからの移行が一層進む可能性はありそうだ。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。


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