2026.11.08 18:30

スマホ・PC

暴漢も無力化する爆光と3gの極小灯――日常・防災で使える「ちょっといい。ちょうどいい。」LEDライト3選[道越一郎のカットエッジ]

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 2日発足した防災庁の細野豪志防災相が出した「事前防災徹底のための緊急要請」が実にけしからん。そもそも「緊急」とは「一刻を争う切迫した状況」である時に限って使うべき言葉だ。自らの防災相就任をアピールするためのパフォーマンスに、「緊急」を安売りして国民の不安を煽るなど不届き千万。「すぐにでも戦争が起きそうだ」「明日にも大地震が発生しそうだ」というわけではない。要は、日ごろから備えておけということ。ごく普通のことを、ただ大げさに表現しただけだった。「要請」では「非常持ち出し品の準備」に触れている。記述の中にはなかったが、ぜひ加えておきたいのが「灯り」だ。ありていに言えば懐中電灯。そこで、普段使いでも非常時でも使えるお勧めの灯りをご紹介したい。とはいえ、ただの懐中電灯ではつまらない。ここは我々のサイト「BCN+R」のコンセプトに倣い「ちょっといい。ちょうどいい。」灯りを3つ取り上げた。その実、ちょっとどころか「だいぶいい」のも混ざってはいるのだが……。

超小型の「USB LEDライト」

 日常的には、暗い場所で使う灯りにスマートフォン(スマホ)の画面を代用することが多いだろう。しかし、スマホは今や情報の生命線。特に非常時には、貴重なバッテリーを照明で消費するのはもったいない。独立した灯りを確保しておくのは必須だ。普段でも、ちょっとした灯りがあれば、と思うことはしばしばある。例えば、意外に暗い夜道を歩くことになったとき、小さな灯りが1つあれば安心だ。夜の奈良公園を訪れたとしても、しっかりと鹿のフンをよけることができるだろう。そこで、最初にご紹介するのは、USB-A端子に挿せば光る、超小型の「USB LEDライト」だ。
 
「USB LEDライト」をモバイルバッテリーに挿して使う

 昨年末、通販サイトから5個390円で購入した。基板むき出しなのが不安だと思う人もいるかもしれないが、私はこの無駄のないスタイルが好きだ。単4電池1本ほどの長さしかなく、重さはわずか3g。余計な外装がない分薄く、どこにでも忍ばせておける。非常持ち出し袋、というより、普段持ち歩く小物入れにちょっと入れておけば、いざという時に役に立つだろう。詳細の仕様は不明だが、明るさは大体50~100ルーメン程度。裸のLEDが6個並んでいるだけ。リフレクターもレンズもないのでLEDの素の灯りだ。そのため、はっきり言って明るさはそこそこ。ただ、暗闇で手元や足元を照らす用途なら十分だと思う。消費電力は約1Wと小さい。バッテリーは内蔵せず、モバイルバッテリーなどに挿して使う。例えば、5000mAh程度のモバイルバッテリーなら、ほぼ12時間分の灯りを確保できる計算。基板裏の部分を触ると、若干の明るさ調整も可能だ。
 
LOOP GEARの「SK05 PRO II」。いわゆるEDCライトだ

 次は、EDCライトというカテゴリーに属する、LOOP GEARの「SK05 PRO II」だ。この6月、通販サイトから1万8000円ほどで購入した。EDCとは、Everyday Carry(エブリデイ・キャリー=日々持ち歩く道具)の略。非常用というよりも普段使いの灯りと言ったほうがいいだろう。筐体はアルミ製。ずっしりとして存在感がある。正面にはスポット用と広角用の2つのLEDを備え、両方同時に点灯させると最大5000ルーメンと非常に明るい。本体側面にも全部で60個の小型LEDを配置。拡散するタイプの光で最大120ルーメンの明るさが確保できる。この辺の灯りの多様さがEDCライトと言われるゆえんだろう。バッテリーは「18650」規格で4000mAhのリチウムイオンバッテリー2本。本体のUSB-C端子から充電する。

 良くできていて、2本のバッテリーは並列接続。つまり、1本でも動作する設計になっている。例えば、1本はほかの充電器で充電しながら、普通に使えるわけだ。また、モバイルバッテリーにもなる。この辺は、より防災対策向きかもしれない。SK05 PRO IIからスマホやPCに充電することも可能だ。容量は8000mAh。20Wで急速充電もできる。一度、PCのバッテリーが切れた際、間に合わせで充電に使ったことがある。もちろん満充電はできないが、PCを数時間動作させるだけの電源を確保することはできた。おかげで作業を終わらせることができて助かった。
 
Fenixのタクティカルライト「TK21R」

 最後にご紹介したいのがタクティカルライト、Fenixの「TK21R」だ。これも6月、通販サイトから1万7000円ほどで購入した。タクティカルライト(Tactical Light)とは、主に軍や警察などで使うことを念頭に置いた製品。実際、Fenixの製品はスイス軍、オランダ警察、サウジアラビア国境警備隊などが採用しているという。暗がりを照らすというより、敵を瞬時に発見し、大光量で相手の目を眩ませて無力化する、といった用途が想定されている。明るさは3600ルーメン。SK05 PRO IIよりやや暗い。しかし照らす範囲を集中させるスポット光。中心部分はやたら明るい。暗闇で直撃されたら、確かにしばらく身動きができなくなりそうだ。バッテリーは6000mAhで「21700」規格のリチウムイオンバッテリー1本。USB-C端子で充電する。モバイルバッテリー機能はなく、完全に純粋なライトだ。

 知人に自慢しようとこのライトを見せたところ「で、何に使うの」と言われ「暗がりで拳銃を撃つ時に……」と答えたことがある。右手に拳銃、左手にライトを持って照らしながら撃つあれだ。しかし、日本では拳銃を撃つ機会はない。せいぜい夜のサバイバルゲームで使うぐらいだろう。ただ、タクティカルライトにはまだ魅力がある。過酷な状況下で確実に点灯するよう設計されている、という点だ。点灯させるには、ライトの尻にあるスイッチを親指で押し込む。いざという時に点かないとなれば大問題。命にかかわることもある。まあ、単なる押しボタンスイッチだが、絶対に点灯させるという確実性には細心の注意をもって設計・製造されている。その辺の設計思想が、ガジェット好きの心をくすぐるわけだ。当たり前だがバッテリーが切れたら点かない。充電管理はしっかりする必要がある。

 では実際、どのくらい明るいのか。SK05 PRO IIとTK21Rの明るさを、夜中の公園で比較した。USB LEDライトについては、明るさが違いすぎて同列で比べることができず省略した。ちなみに、前述の通り、暗い場所ならこれでも十分役立つ。さて比較写真だ。左側がフル発光の5000ルーメンで照らした状態、右側が、フル発光の3600ルーメンで照らした状態だ。上段中央は、灯りがない状態。見ていただければわかる通り、どちらもとても明るい。SK05 PRO IIは広い範囲を明るく照らし、TK21Rは中央に光を集中させている。照射到達距離は、SK05 PRO IIが410m、TK21Rが480m。やはりタクティカルライトの方が遠くまで光が届く。用途によって使い分けるのもいいかもしれない。
 
夜の公園で灯りを比較した。左側が「SK05 PRO II」、右側が「TK21R」。
上段中央は、灯りがない状態の写真

 タクティカルライトといえば、とても有名なのがSureFire(シュアファイア)だ。今のようにLED全盛になる前、「6P」という製品を使っていた。光源はキセノン球。電球の一種だ。明るさは65ルーメンと、先にご紹介した製品に比べると非常に暗い。しかし、巧妙に設計されたリフレクターとレンズの効果で、中心部の光量は、目くらましに十分な明るさを誇っていた。ただこれ、何分も連続で点灯させ続けると、ポリカーボネート製のレンズが溶けたものだ。それぐらい発熱が激しかった。SK05 PRO IIもTK21Rも、6Pより何倍も明るいライトだ。LEDだからはるかに効率はいい。しかし明るい分発熱も激しい。実際やけどするほど熱くなる。大光量で長時間点灯させないよう、注意は必要だ。
 
左から「USB LEDライト(モバイルバッテリーにつないだ状態)」
「SK05 PRO II」「TK21R」

 大光量の恩恵はいくつかある。一般人の我々にとって一番は「探し物」だろう。普段なかなか灯りが届かない、変な隙間にモノを落としたような時、大光量のライトで照らすと、あっさり見つかったりする。暗い夜の公園、芝生の上に黒いワイヤレスイヤホンを落とす、という絶望的な状況でも、きっと頼りになるだろう。明るさは正義だ。いろんなところに自由に明るい光を当てられる、というのは、思いのほかメリットが大きい。災害への備えも兼ねて、明るいのを1つ準備してみてはいかがだろうか。(BCN・道越一郎)
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道越 一郎

Ichiro Michikoshi

古屋の手作り万年筆と天秤にかけ、選んだNECの文豪mini5HTでCP/Mを操りCompuServeで遊んでいたのが原点。以来、筋金入りのモバイラーとして活動すること40年。人生の師と仰いだジョアン・ジルベルト亡き後、回転しながら浮遊して生息する。近年は音の人を自称。

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