2026.9.30 18:00
スマホ・PC災害時の“つながらない不安”を減らすために、ソフトバンクが語る「災害用伝言板」の真価とは?
【いまこそ知りたい「災害用伝言板」による「もしも」の通信術・2】大規模災害が発生した際、家族や友人の安否を確認したくても、通信が混雑して連絡が取れないことがあります。そんなときに活躍するのが、通信事業者が提供する「災害用伝言板」です。しかし、LINEやSNSが普及した現在、「災害用伝言板を使ったことがない」「存在を知らない」という人も少なくありません。今回は、ソフトバンクで災害用伝言板に関連したビジネスに携わる小山純儀氏に、災害用伝言板の役割や利用実態、LINEなどのSNSとの違い、今後の普及に向けた取り組みについて話を聞きました。(BCN・佐相 彰彦)
コンシューマ事業統括プロダクト本部プロダクト企画統括部
テクノロジー戦略部ネクストテック課
小山純儀氏
小山氏(以下、敬称略) これまでで最も多く利用されたのは「東日本大震災」の際です。大規模な災害が発生すると、電話や通信サービスにアクセスが集中します。そのような状況でも、安否確認のための情報を残し、確認できる手段として、多くの方に活用いただきました。
また、直近では「令和6年能登半島地震」でも多く利用されています。利用件数は被災地域の人口規模や被害状況によって大きく変わるため、一概に比較はできませんが、大規模災害時に重要な役割を果たしているサービスであることは変わりません。
災害用伝言板とは
小山 災害用伝言板は、震度6弱以上の地震などの大規模な災害が発生した際に、通信事業者各社が連携して開設を判断します。また、地震だけでなく大雨などの災害でも状況に応じて利用されます。実際の利用では、被災地にいる方が「無事です」「避難しています」といった安否情報を登録し、離れた地域にいる家族や友人がその内容を確認するケースが中心です。
イメージとしては「伝言ボックス」に近いサービスです。被災者が情報を残し、それを家族などが確認しにいくという役割分担になっています。特に災害時に必要なのは、「無事なのか」「けがをしているのか」といったシンプルな情報です。災害用伝言板は、その最も重要な情報に特化したサービスとして設計されています。
災害用伝言板の重要性について語る小山氏
小山 はい。当社では最大80件まで登録できる仕様になっています。通信事業者によっては登録件数の上限が異なる場合がありますが、当社は比較的余裕を持った設定になっています。多くの情報を残せることで利便性向上につなげています。一方で、災害時に通信事業者ごとに使い方が異なると利用者が混乱してしまいます。そのため、基本的な操作方法や仕組みは通信事業者間で協力しながら統一しています。
小山 SNSは非常に便利なコミュニケーションツールです。ただ、災害用伝言板とは利用シーンが少し異なるといえます。例えば、シニア世代の中にはSNSの操作に慣れていない方もいます。また、小さなお子さまの場合はフィルタリング設定によって一部アプリが利用できないこともあります。災害用伝言板はそうした制限の影響を受けにくく、幅広い世代が利用できます。
さらに大きな違いは事前準備です。SNSの場合はアプリのインストールや友だち登録が必要ですが、当社契約のAndroidスマートフォンには災害用伝言板が標準搭載されている機種もあるため、災害時にすぐ利用できます。
また、UIも非常にシンプルです。「無事です」「被害があります」といった必要最小限の情報を簡単な操作で登録できます。災害時は誰もが冷静な判断をできるとは限らないため、分かりやすさは大きな強みだと考えています。
私たちは、SNSと競合するサービスだとは考えていません。普段の連絡にSNS、災害時の安否確認に災害用伝言板というように、用途に応じて使い分けていただければと思っています。
小山 まず重要なのは、災害が起きる前にサービスの存在を知ってもらうことです。災害発生後に初めて調べるのではなく、「安否確認にはこうした方法もある」と認識してもらうことが大切だと考えています。
そのため、YouTubeで使い方を紹介する動画を公開したり、全国各地の防災イベントへ参加したりしています。実際に端末を操作してもらうことで、利用方法を体験的に理解していただけます。また、災害用伝言板には体験日が設けられています。体験日に保護者が安否情報を登録し、お子さまが確認するなど、実際の災害時を想定して試していただけます。
若い世代同士であればSNSだけでも連絡は取れるかもしれません。しかし、離れて暮らす祖父母や親世代との安否確認となると、必ずしもそうではありません。そうした家族全体の防災対策として活用いただきたいですね。
YouTubeで使い方を紹介
小山 通信事業者各社で機能強化について検討することはありますが、現時点で最も重要なのは認知向上だと考えています。災害用伝言板は、安否確認に特化したシンプルなサービスです。あまりに多くの機能を追加すると、緊急時にかえって使いづらくなる恐れがあります。
そのため、まずは防災イベントや体験日を通じて存在を知っていただき、実際に使っていただくことに力を入れています。災害時にはLINEやSNSと併用しながら、確実な安否確認手段の一つとして活用していただきたいと思います。
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テクノロジー戦略部ネクストテック課
小山純儀氏
東日本大震災で最も多く利用、能登半島地震でも
――災害用伝言板の利用が最も多かったのはいつだったのでしょうか。小山氏(以下、敬称略) これまでで最も多く利用されたのは「東日本大震災」の際です。大規模な災害が発生すると、電話や通信サービスにアクセスが集中します。そのような状況でも、安否確認のための情報を残し、確認できる手段として、多くの方に活用いただきました。
また、直近では「令和6年能登半島地震」でも多く利用されています。利用件数は被災地域の人口規模や被害状況によって大きく変わるため、一概に比較はできませんが、大規模災害時に重要な役割を果たしているサービスであることは変わりません。
被災地の人が登録し、離れた家族が確認する「伝言ボックス」
――利用者はどのように使っているのでしょうか。小山 災害用伝言板は、震度6弱以上の地震などの大規模な災害が発生した際に、通信事業者各社が連携して開設を判断します。また、地震だけでなく大雨などの災害でも状況に応じて利用されます。実際の利用では、被災地にいる方が「無事です」「避難しています」といった安否情報を登録し、離れた地域にいる家族や友人がその内容を確認するケースが中心です。
イメージとしては「伝言ボックス」に近いサービスです。被災者が情報を残し、それを家族などが確認しにいくという役割分担になっています。特に災害時に必要なのは、「無事なのか」「けがをしているのか」といったシンプルな情報です。災害用伝言板は、その最も重要な情報に特化したサービスとして設計されています。
ソフトバンクは最大80件まで登録可能
――ソフトバンクの災害用伝言板は80件まで登録できるそうですね。小山 はい。当社では最大80件まで登録できる仕様になっています。通信事業者によっては登録件数の上限が異なる場合がありますが、当社は比較的余裕を持った設定になっています。多くの情報を残せることで利便性向上につなげています。一方で、災害時に通信事業者ごとに使い方が異なると利用者が混乱してしまいます。そのため、基本的な操作方法や仕組みは通信事業者間で協力しながら統一しています。
SNSでは代替できない理由
――SNSとの役割の違いを教えてください。小山 SNSは非常に便利なコミュニケーションツールです。ただ、災害用伝言板とは利用シーンが少し異なるといえます。例えば、シニア世代の中にはSNSの操作に慣れていない方もいます。また、小さなお子さまの場合はフィルタリング設定によって一部アプリが利用できないこともあります。災害用伝言板はそうした制限の影響を受けにくく、幅広い世代が利用できます。
さらに大きな違いは事前準備です。SNSの場合はアプリのインストールや友だち登録が必要ですが、当社契約のAndroidスマートフォンには災害用伝言板が標準搭載されている機種もあるため、災害時にすぐ利用できます。
また、UIも非常にシンプルです。「無事です」「被害があります」といった必要最小限の情報を簡単な操作で登録できます。災害時は誰もが冷静な判断をできるとは限らないため、分かりやすさは大きな強みだと考えています。
私たちは、SNSと競合するサービスだとは考えていません。普段の連絡にSNS、災害時の安否確認に災害用伝言板というように、用途に応じて使い分けていただければと思っています。
普及には平時の体験がカギ
――災害用伝言板の認知を向上させるための取り組みを教えてください。小山 まず重要なのは、災害が起きる前にサービスの存在を知ってもらうことです。災害発生後に初めて調べるのではなく、「安否確認にはこうした方法もある」と認識してもらうことが大切だと考えています。
そのため、YouTubeで使い方を紹介する動画を公開したり、全国各地の防災イベントへ参加したりしています。実際に端末を操作してもらうことで、利用方法を体験的に理解していただけます。また、災害用伝言板には体験日が設けられています。体験日に保護者が安否情報を登録し、お子さまが確認するなど、実際の災害時を想定して試していただけます。
若い世代同士であればSNSだけでも連絡は取れるかもしれません。しかし、離れて暮らす祖父母や親世代との安否確認となると、必ずしもそうではありません。そうした家族全体の防災対策として活用いただきたいですね。
機能追加よりも認知向上を優先
――今後の機能強化の方針を教えてください。小山 通信事業者各社で機能強化について検討することはありますが、現時点で最も重要なのは認知向上だと考えています。災害用伝言板は、安否確認に特化したシンプルなサービスです。あまりに多くの機能を追加すると、緊急時にかえって使いづらくなる恐れがあります。
そのため、まずは防災イベントや体験日を通じて存在を知っていただき、実際に使っていただくことに力を入れています。災害時にはLINEやSNSと併用しながら、確実な安否確認手段の一つとして活用していただきたいと思います。
佐相 彰彦
Akihiko Saso
「週刊BCN」の記者として入社。その後、副編編集長に就任。編集管理と記事企画を担当する。現在は「BCN+R」の編集・記者として業務に従事。家電やITをベースに、スマホやPCをはじめ、周辺機器やサービスなどを取材している。
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