買いか!見送りか? Fire TVユーザーが気付いたApple TV 4Kの良いところ&ダメなところ

レビュー

2021/08/07 18:30

 スマートフォンはずっとAndroid派だったが、小型のスマートフォンが欲しくてiPhone 12 miniを買ってみた。手の小さい筆者にはぴったりのサイズで快適に利用できているものの、今まで使っていたメディアストリーミング端末「Fire TV Stick 4K」との相性がどうにもよくなく、iPhoneで見ていた動画を大型画面に映すといった連携がうまくいかない。そこで思いきって5月に発売したアップルの「Apple TV 4K」に乗り換えることにした。

 本記事では、過去に使ったことのあるFire TV Stick 4KやChromecastとの比較も交えながらApple TVに初めて触れた筆者が感じたことを率直に述べる。
 
Apple TV 4Kを試してみた

そもそもApple TV 4Kとは?

 Apple TV 4Kはメディアストリーミング端末に属するデバイスだ。メディアストリーミング端末はテレビやディスプレイのHDMI端子に接続し、Wi-Fi経由で動画やゲームなどの各種コンテンツを出力できるのが特徴(Apple TVは有線LAN接続にも対応)。また、PCやスマートフォンとの連携も可能だ。

 AmazonのFire TV Stickや、GoogleのChromecastもApple TV 4Kと同種のデバイスだ。価格競争力はこの2つのモデルのほうが強く、最新モデルのFire TV Stick 4Kが6980円、Chromecast with Google TVが7600円なのに対し、Apple TV 4Kは2万1800円(32GBモデル)とおおよそ3倍近く高い。評価のポイントは、その価格差分の価値を実感できるかどうかだ。

メリット(1) リモコンの操作性と軽快な動作

 Apple TV 4Kのメリットから見ていこう。メディアストリーンミング端末は、基本的に付属のリモコンで操作する。Apple TVは、このリモコンの質感、そして操作性が秀逸だ。

 Apple TV 4Kのリモコン「Siri Remote(第2世代)」は、Appleらしいアルミ削り出しのボディを採用。プラスチックでできたリモコンと違い、ひんやりとした高級感のある手触りが心地よい。

 リモコンはボタンの数が多すぎても少なすぎても操作しづらいのだが、Siri Remoteは7個と良いあんばいで、とくにタッチ操作可能な円形の「クリックパッド」が軽快な操作を演出している。スワイプ操作でカーソルを移動でき、ボタンを何度も連打する必要がないうえ、再生時間を調整するときにも便利だ。野球やサッカー、F1といった長丁場のスポーツを見る際に、最初のウォーミングアップやセレモニーをスキップするのによく活用している。

 Fire TV Stick 4Kでは、ボタンを連打して早送りし、ちょうどよさそうなところで決定ボタンを押して止める……といった流れで操作していた。適切な位置から再生するのが難しく、少なからずストレスを感じていた。一方のSiri Remoteでは、左右スワイプでより直感的に操作でき、隣のアプリを選ぶといった細かな操作をしたいときはクリックパッド外縁部のボタンを押せばよい。2つの操作方法をミックスして使えるわけだ。このあたりのUIの作り込みに、Appleらしさを体感した。
 
Apple TV 4K最大の特徴といっても過言ではないリモコン・Siri Remote

メリット(2) Apple製品同士の連携がスムーズ

 当然といえば当然だが、Apple製品同士の連携もスムーズだ。

 iPhoneで見ている動画を、大きなディスプレイやテレビで見たいとしよう。Fire TV Stick 4Kを使っていたときは、iPhoneで再生中の動画を転送できず、結局リモコンで検索し直す手間をかけていた(Androidスマホならできていた)。これがApple TVなら、iPhoneからAirPlay(iPhoneやiPadで見ている動画・音楽・写真を別のデバイスでストリーミング再生する機能のこと)をオンにすれば、簡単にApple TVが接続されたデバイスに映像を転送・再生できる。
 
キッチンで見ていた野球中継をApple TVで見直すときも、
AirPlayでスムーズに操作できる

 Appleのスマートスピーカー「HomePod mini」や、イヤホンの「AirPods Pro」への音声転送も簡単に行える。我が家ではリスニング用に購入していたHomePod miniをディスプレイの両サイドに1台ずつ配置し、ステレオペアに設定している。このHomePod miniのペアをApple TV 4Kの音声出力先に設定することで、ディスプレイ付属のスピーカーより重低音の効いたパワフルな音声を楽しめた。
 
テレビやディスプレイのスピーカーが貧弱なら、
HomePod miniも悪くない選択肢だ

 ちなみに同じようなことはFire TV Stick 4KとAmazon Echoの組み合わせでもでき、そのためにAmazon Echoを新調したこともあった。だが、当時は再生途中にディスプレイの電源を切ると、次回再生時に高確率で異音が鳴ってしまう不安定な挙動により使い物にならず、泣く泣くお蔵入りした。このあたりの安定性もさすがAppleといったところだ。

 また、地味に便利なのが、iPhoneと連携した検索ワードやログイン情報の入力。Apple TVで文字入力画面を表示すると、iPhoneに通知が表示される。この通知をタップすると、iPhoneから文字が入力できるのだ。ログイン情報は、iPhoneのパスワード自動入力機能を利用すれば、安全かつ速やかに入力できる。Fire TV Stick 4Kでは、リモコンで一つずつ文字を選択して入力していたので、この機能はかなり楽に感じた。

 また、リモコンでパスワードを入力するのは、セキュリティ面でも好ましいとはいえない。家族や友人の目の前でApple IDのパスワードなどは入力しにくいケースもある。iPhoneと連携した文字入力は、iCloudキーチェーン(Appleのパスワード管理システム)にも対応しており、iPhoneに保存されているアカウント名・パスワードなら簡単にフォームに入力できる。
 
Apple TV上で入力フォームを選択すると、
iPhoneにキーボード入力画面が表示される

メリット(3) 本格派のゲームも遊べる

 Apple TVならではのユニークな機能としてぜひ紹介しておきたいのが、iPhoneやiPad向けのゲームをプレイできること(tvOS対応のゲームのみ)。PlayStation 4以降もしくはXboxのワイヤレスコントローラー、MFi(Made for iOS)認証を受けたBluetoothコントローラーがあれば、大画面で快適にゲームを楽しめる。
 
会社の同僚からもらったXboxワイヤレスコントローラー。
Xboxは持っていないので、Apple TV専用として快適にゲームを遊んでいる

 筆者は今年38歳。アラフォーのためか、iPhone 12 miniの小さな画面でゲームをするのはそろそろつらい。1,2時間もプレイすると目の奥がジンジンと痛み出す。その点、Apple TVなら24インチでも50インチでも、好きなだけ大きなディスプレイでゲームができるのがうれしい。iPhone XSと同じチップセット「A12 Bionic」を搭載していることもあるのだろう。いずれのゲームも処理落ちすることなくスムーズにプレイできた。

 iPhone用のゲームがすべてApple TVで遊べるわけではないので過度な期待は禁物だが、tvOS対応のゲームもそれなりに揃っている。とくに、サブスク型ゲームサービスのApple Arcadeでは、tvOS向けのゲームも充実。ファイナルファンタジーを生み出した坂口博信氏が率いるミストウォーカーの新作RPG『FANTASIAN』や、『みんなのGOLF』シリーズを手がけてきたクラップハンズによるゴルフゲーム『CLAP HANZ GOLF』など、日本発の魅力的なゲームも多い。
 
ミストウォーカーの新作RPG
『FANTASIAN』(iPadで撮影)
 
クラップハンズのゴルフゲーム
『CLAP HANZ GOLF』(iPadで撮影)

 個人的な一押しは、世界各国の都市を舞台に道路網を築き、活気にあふれた街づくりを目指すパズルゲーム『Mini Motorways+』だ。高速道路や信号、橋、トンネルなどの要素を組み合わせて作った道路を小さな車が走り回り、少しずつ都市が大きくなっていく様子は、見ているだけで楽しいもの。
 
都市の道路を作るDinosaur Polo Clubのパズルゲーム
『Mini Motorways+』(iPadで撮影)

 『FANTASIAN』に『CLAP HANZ GOLF』、そしてこの『Mini Motorways+』をやってみるためだけにApple Arcadeを試す価値はある。1か月の無料トライアルも利用できるし、月額600円とそこまで高くない。気に入らなかったら無料トライアル中に解約すればよい。

 こうした高品質のゲームをゲーム用コントローラーでプレイできるので、自宅にもう一台ゲーム機が増えたような気分になる。もっとも、完成度はまちまちで、コントローラーでの操作がこなれていなかったり、画面構成がtvOSに最適化できていないゲームもそれなりにある。PS5をはじめとした高性能なゲーム機やゲーミングPCでゲームを楽しんでいる人にとってはやや物足りないと思われるが、ちょっとした暇つぶしでゲームを楽しんでいる筆者にとってはちょうどいい。

 ちなみにゲームの音声ははなぜかHomePod miniから出力できなかった。これは残念だったが、tvOS 15ではHomePod miniとの連携が強化されるようなので、おそらくしばらく待てば解消されるのではないだろうか。なお、tvOS 14でもAirPods Proシリーズへの出力には対応していた。手持ちのノイズキャンセリング対応完全ワイヤレスイヤホン「AirPods Pro」を試してみたところ、周囲の音をシャットアウトしながらゲームの世界に没入することができた。

 ニンテンドースイッチではワイヤレスイヤホン・ヘッドホンを使うには工夫が必要な点がイマイチに感じていたので、ここはゲーム機としてのApple TVが持つ隠れた魅力といえるのではないだろうか。

Apple TV 4Kのデメリット

 ここまでApple TV 4Kのメリットを見てきたが、デメリットがないわけでもない。その最たるものがtvOSに対応するアプリの数だ。それも肝心の映像コンテンツに物足りなさを感じている。

 映画やドラマ、アニメに関するサービスはけっこう充実している。Apple TV+はもちろんのこと、Amazon Prime Video、Netflix、Huluなどサードパーティのサブスクサービスにも対応する。映画・ドラマ・アニメを中心にコンテンツを視聴している人であれば、十分満足できるラインナップではないだろうか。

 一方で、ニュースやスポーツ関連にはあまり強いとはいえない。F1やプロ野球、JリーグはDAZNでフォローできるものの、WOWOWオンデマンドやTVerなどのアプリは現在のところ配信されておらず、テニスの四大大会やオリンピックの中継をApple TV 4K一台でフォローするのは難しい。結局、一部サービスはパソコンのウェブブラウザで再生し、外付けディスプレイに映す形で運用している。

 スポーツものの放映権獲得は各サービスの資金力や運営方針に委ねられており、アプリをtvOSに向けに作るかどうかも、サービス提供側のさじ加減となる。一概にApple側がどうこうできる問題ではないことは理解しているつもりだ。

 だが、Apple TVのユーザーがもう少し多ければ対応状況はもう少し違ったかも……と思わずにはいられない。Fire TV Stick 4Kなら、WOWOWオンデマンドで全仏オープンもウィンブルドンも見られるのだから。結局はデバイスの性能やユーザーインターフェースがどれだけ優れていても、見たいコンテンツがなければ、メディアストリーミング端末の魅力は半減してしまう。

 結論を言おう。Apple TV 4Kは映像体験をグレードアップしてくれる優れたデバイスとなるだろう。ただし、皆さんがすでにApple製品を愛用しており、なおかつ見たいコンテンツがtvOSでサポートされている……という条件を満たせばの話だが。(浦辺制作所・澤田 竹洋)