新型「iPad Pro」レビュー:上位モデルのノートPCを脅かすライバル

レビュー

2020/03/25 19:00

新アクセサリー「Magic Keyboard」が生産性を高める

 全国の家電量販店やECショップのPOSデータを集計している「BCNランキング」の販売動向をみても、近年iPadの売り上げが好調に推移していることがわかる。特に2019年秋に第7世代のiPadが発売されたiPadOS 13以降からファイル管理が容易になり、外部ストレージメディアやBluetoothマウスとの連携も深まったことでノートPCの買い替え・買い増しを計画するコンシューマーがiPadに関心を抱く傾向が強くなっているようだ。

 新しいiPad Proは、パワフルなA12Z Bionicチップによる快速マルチタスク処理や、先述の画像編集を含む負荷の大きなタスクまでストレスなくこなせる高いパフォーマンスを備えたことがiPadシリーズの最上位らしい魅力だ。さらに本体のみならず、iPad Pro専用の新しいアクセサリーとして5月に発売される「Magic Keyboard」にも期待が集まっている。
5月発売予定の「Magic Keyboard」は
iPad Pro専用の期待の新アクセサリーだ

 Magic Keyboardは本体にフルサイズのバックライトキーボードを備え、独自の「フローティングカンチレバー」機構により、iPad Proのディスプレイの角度が自由自在に変えられる。もちろんiPad Proを保護するカバーケースにもなる。

 先日、本サイトで筆者がレビューを紹介した新しい「MacBook Air」(最新MacBook Airレビュー:キーボード以外の注目ポイントは?=https://www.bcnretail.com/news/detail/20200323_163380.html)と同じ、安定感の高いシザーメカニズムを採用している。

 キーストロークを1mmとした打鍵感がどこまでMacBook Airに迫れるのだろうか。今回はまだ発売時期が先だったためMagic Keyboardのハンズオンはできていないが、また発売の折にあらためて紹介したい。

 Magic KeyboardにはUSB-C端子が搭載されており、iPad Proに装着した状態でパススルー充電ができる。それぞれにアップル独自の接続端子である「Smart Connector」を介してつなぐ仕様だ。これからもSmart Connectorにつないで機能を拡張できる専用アクセサリーが出てくれば、iPad Proがより長く使い倒せるビジネス&クリエーションのパートナーになってくれそうだ。
 
背面のSmart Connectorにキーボードを装着。iPadからの給電だけでなく、
Magic KeyboardはiPadへの給電も可能になる

iPadOS 13.4を公開。マウスの接続がさらに簡単になる

 新しいiPad Proが発売される3月25日にはiPadOS 13.4もリリースされる。Bluetooth対応のワイヤレスマウスのペアリングがとても簡単にできるようになることにも注目したい。

 従来は「アクセシビリティ」のメニューの奥深くに入ってペアリング設定を行う仕様だったが、iPadOS 13.4以降はApple WatchやAirPodsと同じように、iPadOSのBluetooth設定を開くとペアリングを待機するワイヤレスマウスが表示され、名前をタップするとペアリングがすぐにできるようになる。アップル純正の「Magic Mouse 2」や「Magic Trackpad 2」に限らず、サードパーティーの製品でも同じ使い勝手を実現した。
 
iPadOS 13.4からBluetooth対応のポインティングデバイスが
設定のBluetoothメニューからすばやくペアリングできるようになる

 今回はiPadOS 13.4をインストールしたiPad Proに、Smart Keyboard Folioを装着してキーボードによる日本語入力を試した。iPadOS 13がローンチされた直後はやや日本語変換に不安定なところも散見されたが、iPadOS 13.4からは安定感した日本語タイピングができた。これならば長い文書もiPad Proでストレスなく書ける。
 
Smart Keyboard Folioを装着。
こちらも滑らかなタイピングが可能だ

 新しいiPad Proは、いま市場に並ぶ上位モデルのノートPCを脅かすライバルになりそうだ。最上位モデルがグレードアップしたことで、すぐれたパフォーマンスと可搬性が両立する「iPad Air」、充実の性能を備える入門機の「iPad」に小回りの効く「iPad mini」まで、あらゆるユーザーの期待に応えてくれるiPadシリーズがさらに脚光を浴びるだろう。(フリーライター・山本敦)

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