カシオ計算機を創業した樫尾四兄弟の次男 樫尾俊雄氏は、電卓・時計・電子楽器などの分野でさまざまな発明品を生み出した。その功績を後世に伝えるため、2013年には樫尾俊雄発明記念館が設立され、同氏の発明品や資料を展示。17年からは小学生を対象としたワークショップを全国で実施している。そんな次世代育成の一環として、今年から開催しているのが「カシオ・ワンダーキッズ 発明アイディア コンテスト」だ。

11月18日に東京電機大学・カシオホールで行われた「カシオ・ワンダーキッズ 発明アイディア コンテスト」決勝大会

 「カシオ・ワンダーキッズ 発明アイディア コンテスト」は、発明を通じて社会に貢献する喜びを子どもたちに知ってもらうための企画で、「人の役に立つもの」「日常の生活に便利なもの」「未来の世界であったらいいなと思うもの」をテーマに小学生から作品を募集した。6月11日~9月25日の期間で全国から100を超える応募があり、その中から2回の選考を経て、14人を最終審査に選出。11月18日には、東京電機大学・カシオホールで決勝大会が行われた。

 大会前には、樫尾俊雄記念財団の理事長であり樫尾俊雄氏のご子息でもある樫尾隆司氏が「決勝に残った14名の作品はどれも力作揃い。リラックスして発表を楽しんでほしい」とエールを送った。実は樫尾俊雄氏は東京電機大学の卒業生。来賓挨拶を行った、東京電機大学の平栗健二統括副学長は「この中から偉大な功績を残した先輩に続くような発明家が生まれるかもしれない。そんな場を提供できてうれしい」とコメントした。
 
大会前に挨拶した樫尾隆司氏と東京電機大学の平栗健二統括副学長

 プレゼンテーションの持ち時間は3分。短い時間ながら、子どもたちは堂々と自分の言葉で発明品のポイントを説明した。印象的だったのは、多くの★アイディア★が生活を便利にするだけでなく、環境問題や災害など社会の課題を意識した視点を取り入れていたこと。発明品の仕組みを論理的に説明したり、消費者目線で発明品の希望価格に言及したり、大人顔負けの発想とプレゼンに観覧席から驚きの声があがる場面もあった。
 
プレゼンテーションの様子

 決勝大会を審査したのは、音力発電の速水浩平代表取締役、特定非営利活動法人ガリレオ工房の滝川洋二理事長、サイエンスパフォーマーのすずきまどか氏、樫尾隆司氏の4人。大人顔負けの子どもたちのプレゼンテーションに、審査委員も本気で疑問をぶつけたり、アドバイスを送ったりと真剣に向き合った。
 
決勝大会の審査委員(右から音力発電の速水浩平代表取締役、特定非営利活動法人ガリレオ工房の滝川洋二理事長、サイエンスパフォーマーのすずきまどか氏、樫尾俊雄記念財団の樫尾隆司理事長)

 14人のプレゼン後には、審査委員を務めたすずき氏による、サイエンスパフォーマンスが行われた。すずき氏は一児の母親であり、全国で子どもたちに化学の楽しさを伝える“化学ママ”。マジックのような化学反応の実験を、プレゼンを終えて緊張が解けた子どもたちは興味津々な様子で楽しんだ。また、同じく審査委員の速水氏は自身で発明した「発電床」を紹介。人が歩いたり車が走ったりする振動エネルギーを電気に変換する仕組みで、特許も取得している。どうして床を踏むだけで電気が付くのか、子どもたちは首をかしげながら、速水氏の説明に耳を傾けた。
 
表彰式前に行われたすずきまどか氏のサイエンスパフォーマンスと速水浩平氏の発電床を体験する子どもたち

 最優秀賞の樫尾俊雄賞を受賞したのは、「進め!光美海丸(みつみかいまる)海をきれいに」という発明作品をプレゼンした東京都大田区立清水窪小学校の谷口青(はる)さん。海洋汚染の改善という大きなテーマに取り組んだことや、海洋のゴミの収集だけでなく、その後に海洋生物や人間にどのように還元できるかなどに着目した一歩踏み込んだアイディアが評価された。
 
最優秀賞の樫尾俊雄賞を受賞した「進め!光美海丸(みつみかいまる)海をきれいに」

 発明記念館賞には「人物帳」を発表した高知県南国市立久礼田小学校の橋田幸芽さん、発明アイディア奨励賞には「熱中症お助けメーター」を発表した静岡県浜松市立与進小学校の犬塚千尋さん、審査委員特別賞には「マイボトル自動はん売機」を発表した京都府京都市立桃山南小学校の浦崎謙さん、「地面通しライトとモニター」を発表した高知県高知市立布師田小学校の佐竹風香さん、「においこうかんスプレー」を発表した東京都大田区立道塚小学校の田中久子さんが選ばれた。

 大会後に事務局関係者は「多くのことを学んでいくための原点として“発明”の楽しさを子どもたちに伝えていく企画になれば」とコメント。今回が初の開催となった「カシオ・ワンダーキッズ 発明アイディア コンテスト」だが、すでに来年の開催も決定しており、来年春に告知し、6月ごろから作品の募集を開始する予定だ。