世界初の成駒可能なロボアーム「電王手さん」、デンソーが実践投入

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2015/03/09 12:02

 デンソーは、世界初の成駒の動作を実現したロボットアーム「電王手さん」を開発。ドワンゴと日本将棋連盟が3月14日~4月11日に開催する、プロ棋士対コンピュータ将棋の団体戦「将棋電王戦FINAL」で実戦投入する。

世界初の成駒の動作を実現した「電王手さん」

 2014年度のグッドデザイン大賞を受賞した医薬・医療用ロボット「VS-050S2」をベースに、さらなる高性能と機能美を追求して、将棋対局専用に設計・開発したロボットアーム。

 デンソーは、2014年に開催された「第3回将棋電王戦」にも協賛しており、子会社のデンソーウェーブがコンピュータ将棋の差し手を盤上に再現するロボットアーム「電王手くん」を提供していた。

 今回提供する「電王手さん」は、前回はコンプレッサーによる吸着式だった駒の着手に、世界初の成駒の動作を実現したグリッパー(指の役割)を採用したことで、いったん駒を吸い上げて成駒専用の台に移動して、反対側から吸着し直して盤上に置き戻すというイレギュラーな対応を行うことなく、グリッパーで駒をつかんで裏側に回転して成駒をできるにし、より通常に近い将棋対局を再現する。

 本体は、医療現場などの滅菌環境で使用される磨き抜かれたシルバーの表面処理を施し、駒が斜めになっていたり、ずれて置かれていても、アーム先端のカメラによって多方向から画像認識して、1mmの誤差もない着手ができる。また、長時間の連続稼働ができるので、終日行われる対局にも対応している。

 なお、棋士とロボットアームの間には、目に見えない安全柵(エリアセンサ)を設置する。

 「将棋電王戦FINAL」は、現役プロ棋士5人と「第2回将棋電王トーナメント」で勝ち抜いた上位5つの最強コンピュータ将棋ソフトとの団体戦。3月14日~4月11日の毎週土曜日に全5局を行い、3勝した方を勝者とする。

 第1局(3月14日、京都・二条城)は斎藤慎太郎五段 vと「Apery」、第2局(3月21日、高知・高知城)は永瀬拓矢六段と「Selene」、第3局(3月28日、北海道・五稜郭)は稲葉陽七段と「やねうら王」、第4局(4月4日、奈良・薬師寺)は村山慈明七段と「ponanza」、第5局(4月11日、東京・将棋会館)は阿久津主税八段と「AWAKE」が対局を行う。