PC周辺機器を中心に製品を展開するロジクール。竹田芳浩社長は「すべての製品カテゴリが右肩上がり」と自信を口にする。「売上高を3年以内に現在の倍にする」という計画を掲げ、「PC周辺機器を越えた製品」の展開と利用提案を進める同社の戦略を聞いた。(取材・文/田沢理恵)

◎プロフィール
(たけだ よしひろ)1968年1月、東京生まれ。91年、立命館大学法学部卒業。トーメン(現豊田通商)で世界各国の海外営業を担当した後、セイコーエプソンのエプソン・インディア社長、日本ヒューレット・パッカード・コンシューマ&ウェブソリューション統括本部長などを歴任。2010年4月、ロジクール代表取締役社長に就任。09年3月、東京理科大学大学院で技術経営修士(MOT)取得。

創立の地、スイスのイメージを前面に
自社工場生産の品質の高さが強み



Q. PC周辺機器以外の新製品が増えているようだ。まず、製品の展開について聞きたい。

A.
 ロジクールは、マウス、キーボード、ウェブカメラ、スピーカーなど、PC周辺機器を強みとしてきたメーカーだが、スマートフォンやタブレット端末といった新しいデバイスが急速に拡大するなかで、これまでの枠を越えた新製品の展開に取り組んでいる。2012年は、ここに徹底的に力を注いで伸ばしていく。 


Q. 具体的な製品は?

A.
 2011年は、iPad 2専用のワイヤレスキーボード「TK600」「TK700」「TK900」やワイヤレススピーカー「TS500」など、タブレット端末やスマートフォン周辺機器を発売した。タブレットのソフトウェアキーボードは文字入力にはちょっと不便なので、キーボードの需要はさらに高まるだろう。iPad対応モデルに加え、今後は、Android OS対応モデルの投入も検討している。そのほか、「リビングルームソリューション」をテーマに、テレビ用ウェブカメラやスピーカー、ワイヤレスキーボードなどにも力を入れていく。すでにパナソニックのテレビで「スカイプ」ができるウェブカメラ「TVカム for Skype」を販売しているが、今後は他メーカーにも対応したい。テレビの上にロジクールのロゴが入ったウェブカメラが乗って、ユーザーが日々目にすることがブランド認知につながる。PC周辺機器への波及効果も期待している。

Q. 他のPC周辺機器メーカーもPC周辺以外の製品展開を加速している。ロジクールの強みをどのように打ち出していくのか。

A.
 ロジクール製品は、自社工場生産による高品質が強みだ。製品保証期間が半年や1年のメーカーが多いなかで、当社は製品によっては2・3年にしている。これは、品質への自信の現れだ。万が一、製品に何かあった場合でも、自社工場で生産しているので迅速な対応ができる。

Q. 品質のよさをアピールする方策は?

A.
 ロジクールは、マーケティングなど、実務上の本社機能は米国にあるが、もともとはスイスで設立した会社。現在もキーボード・マウスの研究開発拠点はスイスにある。今後は、ロジクールは「精密機器」「高級」というイメージがあるスイスの企業であることを前面に出して、品質とものづくりへのこだわりをアピールしていく。

Q. 今後の目標を聞かせてほしい。

A.
 現在、ほとんどのカテゴリが右肩上がりに成長している。今後は、3年以内に全社の売上高を現在の倍にする計画だ。各種製品は、取扱店1500店で販売しているが、お客さまが製品を手に取って見やすいような売り場づくりを提案し、力を注いでいく。そのためには、人員の増強や新しい拠点の開設にも取り組んでいく方針だ。

・Turning Point

 2000年1月にトーメンを退職し、セイコーエプソンに転職したことが、ターニングポイントだった。セイコーエプソンでは、インドで現地法人を立ち上げた。ヒューレット・パッカード(HP)が席巻していたインクジェットプリンタ市場で、エプソンのシェアを3倍に引き上げた実績をもつ。

 インド駐在時代、現地の従業員を信頼しながらも「自分の目で見て、聞き回らないと、間違った方向の戦略になるかもしれないと実感した」という。以来、市場分析に基づいた戦略的思考を最重要視しながら、「現場の最前線に出て、真の動向を見極める」をモットーにしている。

 10年にロジクールの社長に就任後は、スタッフの役割を明確化して見直しを図るなど、組織改革に着手。販売拡大に向けて、社員の意識をセルアウト(店頭から顧客への販売)に統一した。


※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年1月16日付 vol.1415より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは