コンパクトデジタルカメラの2011年8月の税別平均単価は1万6364円。店頭ではおおむね1万円台前半～後半で、特価品や型落ちモデルなら1万円以下で購入できる。最も安い価格帯でも、有効1200万画素以上、光学3～5倍ズーム搭載と、実用性は十分だ。しかし、すでにコンパクトデジカメを1台持っていて、買い替え・買い増しを考えている人は、こうしたスタンダードなモデルにはあまり新鮮味を感じないだろう。そこでオススメなのが、水中撮影ができる「完全防水モデル」や、防水・防塵・耐衝撃のタフ性能に加え、GPS・電子コンパスを内蔵した「アウトドアモデル」だ。今回は、秋の行楽シーズンに向けて、アウトドア向けモデルを含む「完全防水コンパクトデジカメ」のランキングを紹介しよう。

完全防水のコンパクトデジカメは夏に売れる

　以前からあった完全防水仕様のコンパクトデジタルカメラだが、3年前の2008年8月の時点では、その売れ行きはコンパクトデジタルカメラ全体の月間販売台数のわずか3.0％に過ぎなかった。その後、2年前の2009年夏あたりから販売台数が伸びはじめ、販売台数に占める割合も若干上昇。1年のうち、特に7月とその前後の月に多く売れ、2010年7月には過去最高の9.3％を記録した。しかし、今年3月以降、前年の販売台数を下回るようになり、今年7月は全体の7.9％、8月は7.8％にとどまっている。とはいえ、主に夏の季節アイテムとして、一定のニーズがあることは間違いない。

　そのなかで最近増えているのは、GPSや電子コンパスを内蔵し、「アウトドア向け」と銘打ったモデルだ。以前から防水モデルに力を入れていたオリンパス、HOYA（PENTAX）に加え、富士フイルム、パナソニック、ニコンが参入し、選択肢が増えてきた。

海、山、ツーリング……、多彩なシーンで活躍

　完全防水対応モデルに限った2011年8月のコンパクトデジタルカメラのシリーズ別販売台数1位は、オリンパスの「OLYMPUS Tough TG-610」。シェアは、2位のソニーの「Cyber-shot DSC-TX10」の倍近い21.6％に達し、他の機種を大きく引き離している。


　トップ10のうち、GPSを内蔵した「アウトドアモデル」に該当するのは、3位のパナソニック「LUMIX DMC-FT3」、5位のHOYA「Optio WG-1 GPS」、7位の富士フイルム「FinePix XP30」、8位のオリンパス「OLYMPUS Tough TG-810」の4機種。これら4機種のシェアの合計は31.9％となり、実質、各メーカー1機種ずつしか投入していないにも関わらず、完全防水対応モデルの販売台数の3割近くを占めている。

　GPSを内蔵したアウトドア向けデジタルカメラは、撮影時の位置情報（緯度・経度）を写真に付加できる。機種によっては、世界地図や、移動ルートを自動的に記録するログ機能なども搭載する。もちろん、通常の完全防水対応モデル同様、高い防水性能を備え、雪山や水中などのハードな環境でも撮影できる。山登りなどのアウトドアやツーリングを趣味にしている人はもちろん、少し変わった個性的なカメラが欲しい人は、こうしたアウトドア向けモデルにも目を向けてみよう。

非アウトドア派は、GPS内蔵モデルという選択肢も

　アウトドア向けとは別に、ソニー「Cyber-shot DSC-HX100V/DSC-HX9V」や、パナソニック「LUMIX DMC-TZ20」、キヤノン「PowerShot SX230 HS」、カシオ「EXLIM EX-H20G」、富士フイルム「FinePix F600EXR/FinePix F550EXR」など、GPSのみ内蔵したカメラも増えている。


　コンパクトデジタルカメラ全体の販売台数に占めるGPS搭載モデルの割合は、2011年1月はわずか3.2％に過ぎなかったが、今年3月以降、月を追うごとに増え、8月には10.1％と初めて1割を超えた。スマートフォンでは、ほとんどの機種がGPSを搭載しており、デジタルカメラでも搭載機種が増えてきた。予算や利用シーンに合わせて選びたい。（BCN・嵯峨野 芙美）


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