「IFA2011」レポート、最新薄型テレビ事情、主役はサービスやソフトに

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2011/09/06 13:12

【ベルリン発】「IFA」をはじめ、家電見本市の主役は、ここしばらくの間、薄型テレビだった。フルHD化などの高画質化、薄型化、そして3Dと、機能の向上はとどまるところを知らなかった。しかし「IFA2011」で感じたのは、その機能追求のベクトルにいささかの変化がみられるということ。テレビは次のステージに進んでいる。プロダクトの進化から、サービスやソフトの進化に移行しているのだ。

 ソニーは、ゲーム機「PS3」やタブレット端末「Sony Tablet」などとの連携をアピールするためにテレビを設置している。Android OS搭載のテレビを参考展示してはいるが、テレビそのものを紹介するコーナーはない。テレビは連携の相手役だ。

 パナソニックは、プレスカンファレンスでロンドン・オリンピックの3D中継を発表した。それに応えるように、ブースでは「FULL HD 3Dゾーン」を設けて薄型テレビ「3D VIERA」を展示していた。しかし、最も注目すべきはハードではない。ネットワーク機能「VIERA Connect」への対応だ。

 クラウド型ショッピング・サービス「VIERA Connect Market」からアプリをダウンロードして、ゲーム機やランニングマシンを「VIERA」と連携することで、ゲームやトレーニングがさらに楽しくなると訴えている。また、「VIERA」でTwiiterやFacebookなどのSNSが利用できることもアピールしている。

「VIERA Connect Market」に接続してアプリをダウンロード

 プロダクトとして注目を集めているのが、裸眼で3Dを視聴できる東芝の「Toshiba 55ZL2 glasses-free 3D TV」だ。解像度3840×2160の「4K2K」で高精細に表示できるディスプレイは、約800万画素相当のデジタルカメラで撮影した写真を、ほぼそのままの解像度で表示することができる。3D表示は9視差分の映像を生成。内蔵カメラを利用して、視聴者の位置情報を顔トラッキング技術で把握する。

 実際にその3D映像を視聴したが、コンテンツによって若干、解像感のなさを感じる部分もあったが、おおむね快適だった。想像していたより、落ち着いて3D映像が楽しめる。とくに、日常生活でメガネをかけている利用者にとっては、「グラスレス」は非常に魅力的だ。

「4K2K」の高解像度を誇る「Toshiba 55ZL2」

 参考展示のなかで最も多く来場者が足を止めていたのは、解像度7680×4320を実現した「8K4K」を搭載したシャープの85V型液晶ディスプレイ。NHKと共同開発した製品で、欧州では初めての紹介になるという。

緻密な映像表示に注目が集まった「8K4Kスーパーハイビジョン対応85V型液晶ディスプレイ」

 日本勢以外では、韓国のサムスンとLGエレクトロニクスが非常に広いブースを展開。サムスンが薄型・狭フレームの液晶テレビ、LGが「Cinema 3D」方式で他社にないテレビの3D表現を訴えている。欧州メーカーでは、フィリップスがシネスコサイズの液晶テレビ「CINEMA 21:9」シリーズをはじめ、裸眼3Dテレビなどの製品で来場者の関心を集めていた。

LGはブースの半分以上で3Dテレビを展示。「Cinema 3D」の手軽さをアピール

サムスンの薄型・狭フレームの液晶テレビ。デザインも非常に秀逸だ

シネスコサイズの液晶テレビ「CINEMA 21:9」シリーズ。欧州ではすでに発売している