iPhoneをはじめとするスマートフォンは、アプリや周辺アクセサリを買い足してこそ楽しさが増す。アクセサリの定番は、何といっても「専用ケース」だ。そこで今回は「BCNランキング」のデータをもとに、6月24日発売の「iPhone 4」とその前モデル「iPhone 3GS」、2010年4月・5月の携帯電話ランキングでトップを獲得し、iPhoneに次ぐ人気スマートフォンのポジションを獲得した「Xperia」について、それぞれ対応する専用ケースのランキングを紹介しよう。

iPodをきっかけに市民権を得た専用ケース

　デジタルカメラやポータブルナビ、携帯ゲーム機など、小型のデジタルガジェットに今や「ケース」は付きものだ。ここまで市民権を得るようになったのは、アップルのオーディオプレーヤー「iPod」がきっかけだろう。特に2005年、iPod nanoが登場したあたりから、液晶画面や本体に傷や汚れがつくことを嫌う声が多く聞かれるようになった。実際、ユーザーの集団訴訟を受け、第1世代iPod nanoは、2005年11月以降の出荷分から純正ケースが付属するようになった。

　その後、モデルチェンジしたiPod nanoでは、ケースは別売となっているが、この「事件」をきっかけとして、多くのiPodユーザーに、「ケースや液晶保護フィルムは必須」という認識が生まれた。iPhoneケースはこの流れの延長線上にあって、本体との同時購入はもちろん、予約の都合上、ケースを先に購入して後から本体を手に入れる人もいるようだ。

　今回は、iPhone 4ユーザーが実際に購入する上で参考になるように、2010年6月第3週（6月21日-6月27日）から7月第1週（7月5日-7月11日）までの3週間のデータを合算し、対応機種ごとに販売数量の多い順にランキングにした。なお、「BCNランキング」では、スマートフォンに対応した専用ケースや液晶保護フィルム、補助バッテリなどをまとめて「スマートフォンアクセサリ」と分類しており、このうち「ケース/ジャケット」は「スマートフォンアクセサリ」全体の販売数のおよそ6割程度を占めている。

iPhone 4用ケースはごくフツーのシリコンタイプが人気

　iPhone 4専用ケースの1位はトリニティの「Silicone Case Set for iPhone 4」のブラックモデル「TR-SCSIP4-BK」、2位はレイ・アウトの「iPhone 4用シルキータッチ・シリコンジャケット」のブラックモデル「RT-P3C1/B」、3位はブライトンネットの「TPU CASE FOR iPhone 4」の“スモーク”カラーのモデル「BI-IP4TPU/SM」だった。いずれもシンプルなデザインのごくオーソドックなケースだ。

　トップ10は、1位・2位のようなシリコンケースと、素材にゴムのような柔軟性とプラスチックのような耐久性を兼ね備えたTPUを採用したケースが多い。トップ20まで見ると、ようやくポリカーボネートやレザーなど、その他の素材を用いたケースが登場する。

　ひとくちにケースといっても、さまざまなタイプがある。選択のポイントは、素材、形状、デザイン、衝撃への耐性などの実用性・機能性、そして価格。主に素材によって「ソフトケース」と「ハードケース」の二つに分類される。そのほか、防水など特殊な性能をもつものや、漫画・アニメの人気キャラクターを描いたキャラクターものも製品化されている。

　形状で分類すると、ケースを装着したまま液晶画面に触れることができる一般的なケース、本体をすっぽりと覆い、使用時にケースから取り出すキャリングケース、アップル純正の「iPhone 4 Bumper（バンパー）」のように側面だけ保護するもの、あるいは背面だけ保護する「ジャケット」などに分かれる。また、ケース単体のものと、液晶保護フィルムやクリーニングクロスが付属したセットモデルが売られている。液晶保護フィルムは、光沢タイプか非光沢（アンチグレア）タイプかによって、貼った際の手触りや印象が異なるので、ケースとは別に好きなものを選んでもよいだろう。

　なお、米アップルは現地時間の7月16日に記者会見を開き、iPhone 4が持ち方によってアンテナの受信状態が悪くなるいわゆる「アンテナ問題」への対応策として、9月30日までに購入した人全員に「iPhone 4 Bumper」などのケースを無償配布すると発表した。アップルジャパンに、この件について問い合わせたところ、アンテナ問題はあくまでも「（AT＆Tで接続した場合に発生する）米国内での問題ではあるものの、日本をはじめとする各国でも同様にケースを無償配布する予定」だそうだ。

　無償配布が始まっても、申し込みから手元に届くまでかなり時間がかかると思われる。iPhone 4の一時的な買い控えは起こるかもしれないが、ケースの売れ行きにはそれほど影響を与えないだろう。
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iPhone 3GS用、Xperia用ケースはiPhone 4用とは違った傾向に

　iPhone 3G/3GS専用ケースの1位はエレコムのシリコンケース「MPA-SCAPHBK」、2位は同じくエレコムのハードケース「MPA-P09PCCR」だった。カラーは1位がブラック、2位はクリア。続く3位は、トリニティのハードカバー「Crystal Cover for iPhone 3G/3GS」のクリアカラーモデル「TR-CRCOIP-FC」だった。ランキング上位を見ると、iPhone 4用とは異なり、ハードタイプのケースが多い。


　最後にNTTドコモのスマートフォン「Xperia」専用ケースを紹介しよう。1位は、レイ・アウトの「ラバーコーティングシェルジャケット」のマッドブラックモデル「RT-SE10C3/B」が獲得。2位・3位には、レイ・アウトの「ハードコーティングシェルジャケット」のクリアモデル「RT-SE10C2/C」、1位と色違いの「ラバーコーティングシェルジャケット」のマットレッドモデル「RT-SE10C3/R」が続いた。1位から3位まではすべてポリカーボネート素材を採用している。一転、4位から10位まではシリコン素材のケースが並んだ。

　ランキングと同じく、2010年6月第3週から7月第1週までの3週間の累計データをもとに、スマートフォン用ケース全体の販売数量に占める比率を集計すると、iPhone 4専用が47.8％、iPhone 3G/3GS専用が33.1％、Xperia専用が17.2％、汎用タイプを含むその他が1.9％だった。

　税別平均単価はiPhone 4専用が1337円、iPhone 3G/3GS専用が1756円、Xperia専用が1555円で、スマートフォン用ケース全体だと1509円。おおよそ2000円弱で、対応機種による価格差はほとんどない。

　ケース類の使用は個人の好みが大きく分かれるところだが、購入時のキレイな状態を長く保つためにも、せめて液晶保護フィルムくらいは貼っておいた方がいい。自由にアプリをインストールし、カスタマイズできるスマートフォン。好みのケースやアクセサリを見つけて、自分だけの1台に仕上げよう。（BCN・嵯峨野 芙美）


＊「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで129品目を対象としています。