ソニーは携帯オーディオ「ウォークマン」の08年の年末商戦で、10代後半-20代後半を狙った販売に注力する。携帯オーディオの中心ユーザーが同世代であることから、若年層を開拓して販売台数の拡大につなげる。この戦略で年末商戦では30%以上のシェアを獲得する計画で、トップのアップルを追撃する。

ウォークマン「Sシリーズ」

 ターゲットは18-22歳の「Around 18」と呼ばれる高校生・大学生。なかでも大学生のユーザー獲得を特に重視する方針だ。「大学に入りアルバイトなどで収入が増加し、携帯オーディオ購入して音楽を聴こうとする意向が強い」(岩田真一・ソニーマーケティング パーソナルAVマーケティング部統括課長)ことが理由。また、「早い時期からウォークマンを使ってもらって買い続けてもらう」(同)狙いもある。

 ソニーでは「対象の世代に調査したところ、一番共感が得られるアーティストとの結果が出た」(ソニーマーケティング広告宣伝部門 宣伝企画部の小堀弘貴氏)という歌手のYUIをCMなどのプロモーションキャラクターに起用。プロモーション用のオリジナル曲「I’ll be」も提供してもらった。

プロモーションキャラクターには「Around 18」が一番共感するという
歌手のYUIを起用

 YUIを使ったプロモーション活動は10月から開始。「I’ll be」をウォークマンの売り場のみで試聴できるようにして、YUIのファンを中心としたターゲット世代に店頭に足を運んでもらう販売施策を実施。同時に、PC・携帯向けの特別サイト「Play You」も開設した。サイトではテレビCMや「I’ll be」の楽曲試聴などを配信するとともに、製品情報を提供しながら、ウォークマンを使ったライフスタイルを提案し製品購入に結びつける。

ウォークマンのスペシャルサイト「Play You」。
「I'll be」のミュージックビデオやウォークマンの製品情報などを閲覧できる

 年末商戦では「Sシリーズ」と呼ぶ製品を軸に販売する。同シリーズはスピーカー付きの「S630FKシリーズ」、ノイズキャンセリング(NC)機能付きの「S730Fシリーズ」、NC機能を省いた「S630Fシリーズ」を揃えた。

スピーカー付きモデルの「S630FK」

 ソニーでは店頭での販促や特別サイトに加え、テレビCMやmixiやTSUTAYAのサイトなどでもPR活動を展開。プロモーション開始後、Sシリーズの24歳以下の購入者割合は「S730F」が20%、「S630F」は25%、「S630FK」は30%で、「ウォークマンを購入した世代の構成比で24歳以下の層が大幅に伸びた」(小堀氏)という。また、「ターゲット層の新規顧客を獲得できている」(岩田統括課長)と分析している。

 年末商戦で山場のクリスマス時期に向けては、YUIのオリジナル曲の第2弾を用意し、店頭やウェブのみで先行試聴できるようにする。また、YUIが高校で演奏したライブ映像を特別サイトで限定配信する。こうしたプロモーションを通じて「さらに需要喚起を図っていく」(小堀氏)狙いだ。

 ただ、景気が低迷し消費マインドが冷え込むなか、携帯オーディオ市場にも影響が出るのは必至。岩田統括課長は年末商戦の動向について「ここに来て販売台数は下がってはきている。ただ、携帯オーディオは単価の安い商品のため、薄型テレビや携帯電話のような大きな影響は受けにくい。クリスマス、お年玉需要は減らない」と、携帯オーディオ市場への影響は少ないとの見通しを示した。