シマンテック、「啓蒙」強化でセキュリティ需要を獲得

特集

2008/06/02 11:20

<strong>――コンシューママーケティング部 ロジャー ヨーダー部長</strong><br>
<br> 今年1月、シマンテックの市場戦略を担当するコンシューママーケティング部部長に就任した。米国からの留学を機に、日本滞在はかれこれ20年。1994年、アップル・コンピュータで日本のIT業界に関わり、マイクロソフトでもMSN事業に携わった。インターネットの黎明期から、日本市場を知り尽くしている。今その市場は、新しいネット犯罪の脅威にさらされている。「あらゆるPCユーザーが犯罪組織の標的になっている。そんな警鐘を分かりやすく発信するのが使命」という。

セキュリティの脅威をどう伝えるか

コンシューママーケティング部 ロジャー ヨーダー部長

 だが、そうした危機感とは裏腹に状況は厳しい。BCNランキングでは、店頭パッケージの販売金額は前年割れ。すでに普及は頭打ちとの危惧する声も聞かれるが、「それはまったくの誤解。日本のセキュリティ市場にはまだ、ポテンシャルがある」と否定する。

 同社が独自に先進8か国で実施した調査では、セキュリティソフトのインストール率が最も高かったのは、ブラジル、ドイツの85%。日本は61%で最下位だった。「実際にはホームユーザーでセキュリティソフトを使っているのはまだ30%程度ではないか」と推測する。需要が頭打ちになる状況ではない。では、なぜ普及が進まないのか。状況を打開するには、店頭やユーザーに、幅広くわかりやすい「啓蒙」活動を行うことがキーワードだと捉える。

 昨年、9月から同社は初のキャラクターを使った販促展開に乗り出した。それが「ノートン・ファイター」だ。ウイルス、スパイウェア、ボット…。「脅威」というさまざまな怪獣をノートン・ファイターが退治する。

 「『スーパー・ヒーロー』対『脅威』というキャラクターなら一般ユーザーにも面白がってもらえ、セキュリティの重要性を分かりやすく伝えていける」と、販促展開にアイデアを絞る。

 そんなヨーダーが、もう一つの課題と強調するのが、無期限更新無料ソフトの存在だ。店頭でも、更新フリーの販売シェアが上がっているが、「一度購入してしまえば、更新版を求めてユーザーが売り場に戻ってくることはない。本当にこれでいいのか。販売店も含めて業界全体が考えなければならない」と疑問を投げかける。

 同社が昨年グローバルで研究開発にかけた金額は、約9億ドル。「競合メーカーの年間売り上げに匹敵する開発費を投じている」。それくらい投資しなければサイバー犯罪に対抗できない。他の競合がそのスケールを投資するのは不可能に近い。だから、「すべてのセキュリティソフトは一緒ではない」と口調を強める。(文中敬称略)(BCN・鍋島蓉子)

週刊BCN 2008年6月2日付 Vol.1237より転載

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