MacでWindowsが走り、次世代DVD対応機が登場し、「地デジPC」が立ち上がってくるなか、「Windows Vista Capable」PCも現れ、06年はパソコンが大いに「動く」年になりそう。変動の兆候はすでにデータに表れているのか? 「BCNランキング」でパソコン市場の今を一望する。

 MacでWindowsが走り、次世代DVD対応機が登場し、「地デジPC」が立ち上がってくるなか、「Windows Vista Capable」PCも現れ、06年はパソコンが大いに「動く」年になりそう。変動の兆候はすでにデータに表れているのか? 「BCNランキング」でパソコン市場の今を一望する。

●「地デジPC」いよいよ本格化か?

 この1年、パソコンのトレンドというと、まず思い浮かぶのは液晶画面のワイド化と、チューナー搭載による「テレビとの融合」だ。なかでもデジタルチューナーを搭載した「地デジPC」の勢いは日に日に強くなっている。

 「BCNランキング」では、05年4月-06年3月の1年間で販売されたPCのうち、テレビチューナー搭載モデルは29.8%。デスクトップPCに限ると53.7%がチューナー搭載モデルだった。そのうち「地デジ対応モデル」が占める割合は、05年5月では1.8%だったものが、10月には3.6%まで増え、06年3月は11.1%と1割を突破。とくに春のラインアップ一新でモデル数が増えたことで、05年12月は3.7%、06年1月は6.5%、2月は11.3%と、3か月間で倍増している。


 そもそも「地デジPC」は、NECが04年1月に他社に先駆けて製品化。しかし通常のテレビと同じ画質でしか視聴できないなど制約が多かった。PCの地デジ化が本格的にスタートしたのは、昨年4月に富士通がデジタル放送をハイビジョン画質で視聴・録画できるモデルを発売してからといっていいだろう。今年3月には東芝も地上デジタルチューナーを搭載したノートPCを発売するなど、デスクトップ、ノートとも対応モデルが広がっている。

 06年夏モデルでは、さらに「地デジPC」が拡大、本格化してきた。富士通はデジタル放送対応モデルを従来の2機種から9機種に拡充。携帯・移動体向けデジタル放送「ワンセグ」に対応したノートPCも投入する。NECも同様、デジタル放送対応モデルを従来の3機種から5機種に増やす。なかでも、企業戦略としてデジタル化を推し進める日立は、デスクトップPC夏モデル5機種すべてに地上デジタルチューナーを搭載するなど、地デジ対応に向け大きく舵を切った。

 また、シャープは、従来のPC主体の発想を逆転し、単体でデジタル放送を視聴できる37V型・32V型の液晶テレビにパソコンが付属する「インターネットAQUOS」を発表。パソコン部は、機能的に通常のパソコンと変わらず、上位機種では、デジタル放送の録画にも対応する。こうしたAV機器とPCの「融合型」製品も続々と登場しはじめた。

●ノートPCとデスクトップPCの平均価格ほぼ同水準

 ところで、デスクトップPCとノートPCを比較してみると、ノートの強さは相変わらずだ。「BCNランキング」でそれぞれの販売台数シェアを比較すると、05年4月-06年3月の1年間ではノートPCが62.4%。さらに06年1月以降徐々に増え、06年3月では68.0%、4月では67.7%と「およそ10台に7台はノート」という状況で、あらためて「今の主流はノート」であることがわかる。


 ノート人気の背景としては、持ち運びの手軽さもさることながら、「手軽な入門機」としての側面も見逃せない。一部では「激安デスクトップPC」というジャンルも確立されつつあるものの、有名ブランドパソコンの売れ筋モデルを価格だけで比較すると、全般的にノートPCのほうが2-3万円ほど安い。販売店のキャンペーンや値引きなどを活用すれば、10万円を切る価格でも十分実用的なノートPCが手に入るようになってきている。

 デスクトップPCとノートPCの価格差もこの1年でずいぶん縮まってきた。05年4月時点では15万円台前半だったノートPCの平均価格は、06年3月には14万円台に下がる一方、デスクトップPCは、05年8月を底に上昇。液晶ディスプレイの大型化などを受け、06年3月には1年前を上回る13万円台後半まで回復してきており、両者はほぼ同水準になっている。オールインワンで使える上、使い終わったら液晶ディスプレイをたたんでしまえるノートPCは、幅広いユーザーが使う「日用品」化して激しい競争の末に価格が下落。一方、デスクトップPCは、より速いCPU、より大容量なHDDなどを駆使し、パソコンを存分に使いこなすヘビーユーザー向けとなったり、AV機能の充実など高付加価値化で価格が上昇している、といった側面があるようだ。


●「Intel Mac」と「Boot Camp」で風向き変わるか?

 ここで05年4月-06年3月の1年間に販売されたデスクトップPCとノートPCを合算したパソコン全体のメーカー別シェアを「BCNランキング」で押さえておこう。

 06年3月のメーカー別販売台数シェア1位はNEC。以下、2位富士通、3位東芝、4位ソニー、5位アップルコンピュータと続く。富士通は05年10月と11月こそトップを獲得したが、その後2位に後退。また、このところiPodで勢づいているアップルのMacintosh本体は、年間を通じて5-7%台のシェアで推移。iPod人気も本体の売り上げにはあまり影響しなかったようだ。しかし、Mac上でWindows XPを動かす「Boot Camp」発表をきっかけに、風向きが変わることも考えられる。


 インテル製CPUを搭載した新しいiMacやMacBook Proなどの、いわゆる「Intel Mac」はMacintosh本体のなかでも順調にシェアを伸ばしている。初めてインテル製CPU搭載モデルが発売された1月に11.6%で立ち上がり、2月には21.5%、3月には37.7%まで拡大。Mac miniや17インチPowerBookもすでにIntelベースに置き換わっており、残るiBookなども「Intel Mac」化するのは時間の問題だろう。こうして「Intel Mac」化が進めば、デザインを筆頭に他社製PCとは一線を画すマシンだけに、Windows派の取り込みも期待できそうだ。


●「今買い」なら、一度アタマを整理して出陣を

 Windows PCでは、この4月から「Windows Vista Capable」というロゴが貼られた製品が登場しはじめている。このロゴは、新OS「Windows Vista」が動くハードウェア要件を満たしているというマークだ。しかし当初年内の予定だった「Vista」の一般向け発売は07年1月以降に延期され、年末商戦には間に合わなくなってしまった。

 今PCを購入するなら、とりあえず「Windows Vista Capable」PCを選んでおけば、後で「Vista」にアップグレートしたくなった場合でも買い換えずに対応できる。しかし、「Vista」登場がさらに遅れることも考えられ、その間PCの価格も下がっていくことも十分ありうる話。新OS登場をきっかけにPCを買うつもりなら、もうしばらく様子を見ようと考えるのも無理はない。

 こんな時期、パソコン選びは難しい。新OS「Vista」を待つべきか、動作の安定したWindows XP搭載機のほうが無難か……。Macユーザーも同様に、過去の資産が生かせる従来のPower PCベースのMacか、より高速処理が可能なIntel Macか……。さらに、こうした問題は光学ドライブやテレビチューナーなどにも及ぶ。とくに次世代DVDは、東芝などが推進する「HD DVD」とソニーなどが推進する「Blu-ray Disc(BD)」の2つの規格が並存したまま、一部モデルでパソコンへの搭載が始まっている。次世代DVDは、パソコンに限らず、家電やゲーム機との絡みもあり、どちらが勝ち残るか、今のところまったく見えない状況だ。

 とりたてて今、パソコンが必要ないなら待ちを決め込むのも手。しかし、とにかく今買わなくてはならないワケアリの人には、自分が必要とする機能は何なのか一通り整理してからショップに出陣するのをオススメする。その上で現時点での最高スペックマシンを手に入れて今日からすぐに楽しむか、とりあえず激安マシンをつなぎに仕入れて機が熟すのを待つか。しばらくはいろいろと「戦略」を立ててPC購入に臨んだほうがよさそうだ。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・約2200の店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。