パソコンユーザーの間ですっかり市民権を得たUSBメモリ。ショップには数えきれないほど多くの製品が並んでいる。そのために、いざ買おうとすると、どれを選んでいいのやら困った挙句、手近な製品を適当に選んでしまって後で後悔……なんてこともあるのではないだろうか? そこで「BCNランキング」から、今売れているUSBメモリをピックアップ。旬の容量と価格帯を見ながら、ちょっと変わった「個性派」も紹介していこう。

●時代はフロッピーから大容量USBメモリへ!

 大容量でも小型・軽量で、パソコンのUSBポートに挿すだけで使えるというUSBメモリ。その手軽さは、ほとんどケータイレベル。デジカメ写真の高画質化や携帯オーディオの普及で、日常的に扱うデータは大きくなりがちだが、すこし大きめのUSBメモリを持ってさえいれば、データの受け渡しに困ることはないだろう。

 パソコン間でのデータやりとりといえば、以前ならフロッピーディスクを使うのが一般的だった。汎用性こそ高かったものの、1枚のフロッピーディスクに保存できるデータ容量は1.44MB程度。現在なら、ちょっと高画質なデジカメ画像の1枚分にも満たない容量しかなく、とても実用にならない。その後、MOやCD-Rといった大容量メディアも登場したが、それぞれドライブが必要だったため、誰にでもすぐに使える、というレベルには至らなかった。

 ところが、USBメモリは容量の点でも汎用性の点でもほぼ文句なし。誰もが大容量のファイルを気軽に持ち運べるようになった。出始めの頃のUSB1.1は転送速度が遅く、メモリ容量も16MB-64MB程度と小さく不便なものだったが、USB2.0となって転送速度も実用的になった。さらに256MB・512MB・1GBと、大容量化も進んだ。フロッピーディスク換算でいうと、256MBなら177.8枚分、1GBならなんと711.1枚分もの容量がある。こうなると、もうフロッピーディスクの出番はなさそうだ。

 ちなみに「BCNランキング」1月のデータで、フロッピーディスクとUSBメモリの販売状況を比較してみたところ、金額ベースでUSBメモリが26.8倍も売れているという結果だった。

●バッファローの256MBモデルが1位、同容量の色違いも軒並み上位に

 それでは、売れ筋のUSBメモリを見ていこう。「BCNランキング」2月第1週(06年1月30日-06年2月5日)では、バッファローの「RUF-C256ML/U2」が1位を獲得した。この1週間でPOSレジを通過したUSBメモリはなんと400製品以上。数あるUSBメモリを抑えて唯一5%を超えるシェアを獲得し、トップに輝いた。



 「RUF-C256ML/U2」は、USB2.0対応のオーソドックスなUSBメモリ。本体カラーがブルーの「RUF-CL/U2シリーズ」の容量256MBモデルで、データの誤消去を防ぐ「書込み禁止設定スイッチ」やストラップホールがついている。また、万が一の紛失や盗難時でも安心な、セキュリティソフトや暗号化ソフトが無料でダウンロードして使えるようになっている。

 実は、3位から7位までと、16位、19位の製品も、「RUF-CL/U2シリーズ」をベースとした同一モデル。なかでも、3位、5位、7位はいずれもメモリ容量256MBの色違いで、カラーではなく「価格」や「容量」で選ばれていることがうかがえる。

 当初はブルー1色だったが、「USBメモリが一部のPCユーザーから、女性を含め幅広い層に普及し始めたので、新たにブラック、グリーン、ピンクの3色を追加し、選択肢を増やした」(バッファロー・広報)という。ただ、結果的に、万人受けする「ブルー」が一番の売れ行きだそうだ。こうした人気の理由を、同社は、「価格が安いことに加え、実用的なスタンダードモデルで十分だとする層が多いからでは」(同)とみている。


 2位には、I・Oデータ機器の「TB-B256」が前週4位からアップしてランクインした。同じく256MBの容量を持ち、USB2.0対応だ。ボディは、丈夫で放熱性に優れたアルミ製。カラーはシルバーで、1位の「RUF-C256ML/U2」に比べると、オシャレな感じ。8位と15位も、メモリ容量違いの同一モデルだ。またI・Oデータ機器からは、05年12月発売のキャンディカラーの新モデル「TB-M2/256G」も9位にランクインした。




●個性派モデル続々登場、コストパフォーマンス重視なら512MB以上を視野に

 デザインや機能にこだわった「個性派」も紹介しよう。まずは、食品サンプルを精巧にかたどり、オモシロUSBメモリの先駆者となったソリッドアライアンスのUSBメモリ。販売開始から時間が経った今でも、「SushiDisk いくら/まぐろ」「FoodDisk エビフライ」などいくつかの製品が、順位こそ低いが売れ続けている。05年には、グリーンハウスが、ゼロハリバートンブランドのUSBメモリを1万5000円で5000個限定販売することも話題になった。

 バッファローは、04年から発売しているディズニーキャラクターのUSBメモリ「CandyStick」にビンテージデザインの新シリーズを投入。また、自動でプログラムを起動させる機能を利用して、「サイボーグ009」などの電子マンガのお試し版が読める機能を付加したUSBメモリなど、新しい試みも展開している。同社によると、キャラクターUSBメモリが占める割合は現状1割未満だが、今後はその割合が増えると見込んでいるようだ。

 キャラモノとしては、I・Oデータ機器から、「どこでもいっしょ」USBメモリの新タイプも登場。表はトロ、裏はそれぞれのポケピが描かれ、4本集めるとオールスターが揃う。ファンは要チェックだ。

 ちなみに同週のデータから平均価格を算出すると、USBメモリ全体は約3600円。容量別では、128MBモデルが約2100円、256MBモデルが約3800円、512MBモデルが約4600円、1GBモデルが約8500円、2GBモデルが約1万8000円となった。売れ筋は256MBモデルだが、1MBあたりの価格は、512MBを境に大容量モデルの方が安い。持ち運び用にそれほど大容量が必要かという問題はさておき、512MB以上の方がコストパフォーマンスは高い。

●低価格化と大容量化、そしてさらに進む多様化

 普及が進むにつれ、USBメモリをさまざな形で利用した製品やサービスなども現れ始めた。たとえば東芝は、一部のノートパソコンにPC移行ソフトとともに512MBのUSBメモリを標準で付属している。買い替えユーザーのデータ移行用に、というわけだ。そのほか、USBメモリをセキュリティシステムのカギとして使う製品や、USBメモリ自身に指紋認証ユニットがついた製品も現れ、多様化も進んでいる。

 一方、個人情報保護や情報漏えいを防止するという観点に立てば、安価に大容量のデータを持ち運べるというUSBメモリの特徴が逆に大きなリスクとなる。そのため、オフィスのPCにはUSBメモリが挿せないようにOSレベルでロックしたり、USBポートにカギのかかるフタをつけて物理的にふさいでしまうといった、利用を制限する動きも急だ。

 USBメモリは、04年後半あたりから販売台数の伸びが加速してきたが、05年に入ってからはほぼ横ばい。一般的な用途での需要はほぼ一巡し、安定成長の場面に入ったと見てよさそうだ。そんななか、各社とも工夫を凝らした製品の開発に余念がない。一度売り場をのぞいてみれば、きっと面白く新しい発見がいくつも見つかることだろう。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。