コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS、辻本憲三理事長)は7月15日、「ACCS上海」開設記念シンポジウム「日中著作権ビジネス成功のカギ」を開催、日本貿易振興機構(JETRO)上海代表処の中澤義晴・コンテンツ流通促進センター長らが、中国におけるコンテンツビジネスの現状と日中著作権ビジネスを成功させるためのポイントについて講演した。

 JETROの中澤センター長は、「中国におけるエンターテイメントコンテンツ市場」と題した講演で「上海では日本のアニメーションが人気」と、中国におけるコンテンツビジネスの拡大の可能性を指摘。また、今もなお影響力が大きい中国テレビ媒体における日本のドラマやアニメの輸出状況について言及した。

 中国のテレビ放送は、日本の地上波よりチャンネル数が多い。全国で視聴できる中央テレビ局だけで16チャンネルあり、地方テレビ局である上海テレビ局でも6チャンネルもある。とくに上海の人々はドラマ好きで、上海で視聴されている番組をジャンル別にみると、ドラマが約40%、ニュース・時事が約12%、ドキュメンタリーが約8%、バラエティが約6%と、ドラマの視聴割合が飛び抜けて高い。

 1980年代から90年代前半までは日本のドラマが人気だったが、90年代後半から徐々に下火になった。ドラマの放送数が減った背景に、「日本のドラマは1話ごとに購入する形式で、値段も高い」ことがあるという。逆に90年代後半から人気が出てきたのは、香港や韓国、台湾のドラマで、中国本土以外で制作されたドラマを100%とすると、この3つの国・地域で制作されたドラマのシェアは約8割近くを占める。一方、日本のドラマは同シェアで10%未満と低迷している。

 ドラマのシェア低下にともない、日本からの音楽やファッション、芸能関連のコンテンツの販売も悪影響を受けているという。ドラマの視聴割合が高いだけに、ドラマで採用されている音楽やファッションが広く市場に浸透しやすい。このため、人気ドラマを多数放送している香港や韓国、台湾の音楽やファッションなどは現在好調だが、日本は苦戦している。

 ドラマの人気が高いのに比べて、日本が得意とするアニメの視聴割合は、上海で約2.5%しかない。しかし中国政府は、中国国内におけるアニメ産業の育成に力を入れており、主要都市のチャンネルにアニメ専門のチャンネルを新設するよう働きかけている。

 上海では、すでにアニメ専門チャンネルが開設されており、朝6時から夜12時まで連続してアニメが放送されている。だが、国内のアニメの制作数と海外からの輸入数を「1対1の比率にしなければならないことや、ゴールデンタイムに海外のアニメーションを放映してはならないなど、さまざまな規制がある」ため、日本など海外アニメが輸出されにくい状況にあると指摘する。

 こうした制約がある一方で、日本のアニメは上海で高い人気を誇っている。中澤センター長も審査員の1人として出席した、上海の“コスプレ大会”では、審査を通じて高い評価を得た8組のうち、7組が日本のアニメのキャラクターに扮していたという。

 実際、20?30代の若い大人の世代で、広く日本のアニメーションが受け入れられており、テレビ放送では、厳しい規制などのため触れる機会が少ないが、多くの若者はインターネットのファイル交換や海賊版のビデオ、DVDなどのメディアを通じて日本のアニメを入手しているという。日本のアニメの方がキャラクターの個性がはっきりしており、原作や脚本がしっかりしているなど、大人でも楽しめる内容のものが多いためだ。

 上海では、生活水準が向上するにつれ、アニメなどエンタテインメントに対する需要が高まっている。日本のアニメに対する需要も大きい。こうした傾向を受け、JETRO上海代表処では、中国の政府機関や上海のアニメーションの制作会社や教育機関、コンテンツのショップなどとのパイプをさらに強化し、著作権が守られた正規の販売ルートの構築に取り組んでいくとの方針を示した。一方、ACCSは、「コンテンツビジネスの振興支援に力を入れる」(久保田裕専務理事)考えで、中国の関連政府機関などと密接な連携をして、中国市場における日本のコンテンツビジネスの拡大に力を入れる方針。