6月なのに路地モノのバナナが栽培できそうな連日の猛暑。本格的な夏の到来を待たずして、CPUの熱対策は、もはや待ったなしだ。現在、CPU冷却機器市場は空冷と水冷の2大勢力がしのぎを削る戦いを繰り広げているが、いまのところ「空冷タイプ」が優勢。しかし、以前は“キワモノ”扱いされていた「水冷タイプ」もこのところ勢力を伸ばし、昨今の“熱過ぎる”CPU事情とも相まって人気は急上昇だ。これに割って入る形の「ヒートシンクタイプ」など群雄割拠の様相。「BCNランキング」5月の月次データをもとに、気温の上昇と共に熱くなり

 6月なのに路地モノのバナナが栽培できそうな連日の猛暑。本格的な夏の到来を待たずして、CPUの熱対策は、もはや待ったなしだ。現在、CPU冷却機器市場は空冷と水冷の2大勢力がしのぎを削る戦いを繰り広げているが、いまのところ「空冷タイプ」が優勢。しかし、以前は“キワモノ”扱いされていた「水冷タイプ」もこのところ勢力を伸ばし、昨今の“熱過ぎる”CPU事情とも相まって人気は急上昇だ。これに割って入る形の「ヒートシンクタイプ」など群雄割拠の様相。「BCNランキング」5月の月次データをもとに、気温の上昇と共に熱くなりはじめたCPU冷却機器市場の動向をお届けしたい。

●空冷タイプが市場を制圧、なかでも『鎌鉾』がアツイ

 CPU冷却パーツの主流は、なんといってもヒートシンクとファンで構成される空冷タイプ。そのシェアは全体の8割を占め圧倒的(表-1)。強さの理由は簡単。「サイズ・冷却効果・取り付けの手軽さ」という3つの要素がバランスよくまとまっているからに他ならない。また、リテール状態のCPUに同梱されていることから、最もなじみ深いCPUクーラーとしてユーザーの間で認知されているという要素も大きい。

 この空冷タイプの中で圧倒的な強さを見せているのが「サイズ」のクーラー群。『鎌鉾(かまぼこ)』(型番:SCKBK-1000)というユニークなネーミングを持つ同社のクーラーが、空冷・水冷含めたCPUクーラーランキング全体のトップに君臨。以下3位に『鎌鉾Z』、4位に『鎌風弐 リビジョンB』と“鎌鉾シリーズ”が続き、5?7位、9位も同社のクーラーとトップ10に7機種のクーラーを送り込む強さを見せている。今、もっとも“熱い”CPUクーラーメーカーだと言えよう。



 受けて立つ水冷タイプはというと、「サイズが大きく、構造ゆえの取り付けの煩わしさ」により、まだ空冷ほどポピュラーではない。しかし消費電力が100Wを超え、発する熱量も大きくなってしまっている昨今のデスクトップ向けCPUには、もはや「水冷」という冷却方式は大袈裟とはいえない。高熱を発するPCを通年安定稼働させる強力な冷却能力に「PCパーツとしてのカタチの面白さ」という要素も加わり、ヘビーユーザーでなくとも水冷タイプのクーラーをチョイスする向きも多いようだ。



●コンパクトで実用性が高い水冷タイプが狙い目

 水冷タイプの売れ筋は、スリー・アールシステムの『Poseidon CPU水冷キット』。空冷タイプ・水冷タイプ・ヒートシンクタイプ含めた全315機種中、35位と大健闘だ。また、同ランク43位にはCOOLER MASTERの『Aquagate mini R120』がランクイン、空冷タイプと互角の戦いを繰り広げている。この両者に共通する要素は「コンパクト性」。従来は「ウォーターポンプ」や「ラジエータ」などをケース外に設置するような大がかりな製品が多かったのだが、この両者はラジエータ部、ポンプ部、CPUヘッド部が一体化され、PCケース内にすっぽりと収まる。完全にケース内に設置することができる。また、ランキング55位のEVERCOOL『WC-201J』は、コントローラー部をPCケースの5インチベイに収納して使う一風変わったクーラー。Wラジエータ方式で若干パーツ点数が多い。組み立ての煩わしさは感じるものの、これもまたケース内にすっきりと収納できるのが大きな魅力。このように、「コンパクトでかつ手軽に装着できるシンプル性」というのが「売れる」水冷タイプの傾向のようだ。



●ヒートシンクを個別にチョイスする傾向も

 原則として、空冷タイプのCPUクーラーは、ファンとヒートシンクという2つのパーツが同梱されている。よってこれまでは、ユーザーはこの2つを1つのパーツとして認識して使うのが普通だった。しかし冷却パーツの重要性が激しく説かれる昨今では、より高い冷却性能を求めてヒートシンクを個別にチョイスするケースも増えている。

 この、単体のヒートシンクがCPU冷却パーツ全体のシェアで占める割合は7%(図-1参照)。水冷タイプが9%ということを考えると、そのシェアは思いのほか大きい。ヒートシンクの重要性が再認識されていることをうかがわせるデータとも言えよう。

 数あるヒートシンクの中で特に人気が高いのがThermal Takeの『Thermalright XP-120』。Socket 478/754/939/940やLGA775といった主立った最新CPU全てに対応する柔軟性を持つ。対応するファンの大きさも一般的な9cmではなく、回転数が低く風量の多い静音性に優れた12cmとなっているため、静音マニアを中心に大きな注目を集めている。そのサイズが巨大なゆえ、装着可能なマザーボードやケースは限られてくるが、装着できればこれほど頼もしい冷却パーツはない。

 これとは逆に、ファナーテックの『EE838-1U』はファンレスで使用できる貴重なヒートシンク。対応するCPUはSocket940/939/754のAthlon64(FX-53含む)およびOpteron250。背が低いため、取り付けられるマザーボードやケースを選ばない。またCOOLER MASTERの『ECC-00068-03』は省電力CPUであるPentium-Mに対応したヒートシンクで、CPU自体の発熱の低さと相まって完全なファンレス駆動が可能。「省電力性・低発熱」というPentium-Mのメリットを十分に活かすことのできるヒートシンクだと言える。



●本格的な64ビット時代の到来で、注目集まる水冷タイプ

 現在自作ユーザーから注目されている存在である水冷タイプだが、十分な小型化や取り付けの簡便さなど、現状で既に実用レベルに達しており、人気も高い。今後、Longhornの普及により本格的な64ビット時代に突入した際には、よりヘビーな用途も増えさらにPCへの負荷も大きくなる。そんな状況はまさに水冷の出番だ。製品の改良がさらに進み、静粛性なども向上すれば、「水」の勢いは止められないかもしれない。(市川昭彦<Aqui-Z>)


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