2004年12月の携帯電話の年末商戦で純増数1位を獲得したのは、NTTドコモだった。電気通信事業者協会(TCA)が発表したデータによると、12月の純増数はauが24万1600、NTTドコモが24万7500と、わずかにドコモがauを上回ってシェア1位となった(図1)。

 2004年12月の携帯電話の年末商戦で純増数1位を獲得したのは、NTTドコモだった。電気通信事業者協会(TCA)が発表したデータによると、12月の純増数はauが24万1600、NTTドコモが24万7500と、わずかにドコモがauを上回ってシェア1位となった(図1)


 昨年の年末商戦を振り返ると、当初は、充実した製品ラインアップを用意したauの一人勝ちと思われていた。ケータイでそのまま音楽をダウンロードできる「着うたフル」対応端末を一挙に4機種発売。また、デザイン端末「talby」をリリースし“個性的なau”を強く印象づけた。

 一方、ドコモも、新シリーズとして「901i」端末をリリースしたが、いずれも既存の「900i/iX」シリーズから革新的な進化を遂げた端末ではなかった。3Dサウンド再生やウイルスチェック機能などを搭載し、FOMAとして洗練されたのは事実だが、auのような派手な新機能の搭載は見送られていたからだ。

 それにも関わらず、ドコモが僅差とはいえ、auを上回ったのはなぜだろうか?

 その秘密の一つが端末の店頭価格である。11月に新しい「901i」シリーズが発表されたことで、店頭に出ている「900i/iX」シリーズが値崩れを起こした。しかし、「900i/iX」シリーズも、携帯電話としては十分にハイスペック。そのため、値下がりした「900i/iX」シリーズに多くのユーザーが飛びつくことになった。

 例えば、NEC製の「N901iC」では、新たにFeliCaに対応した以外、大幅なバージョンアップはなかったため、値下がりした「N900i/iS」に注目が集まった。同様に、パナソニック製の「P901i」もFOMA最軽量の104gという売りはあったが、機能的には大きな変化がないため、軽さを重視しないユーザーにとっては、値下がりした「P900i」や「P900iV」の方が魅力的に見えたはずだ。

 そして、ユーザーは「利用料金」にも敏感に反応する。ドコモが12月商戦の直前の11月26日に発表した「ファミリー割引」の拡大が、新規やキャリア変更を考えているユーザーに、「家族が持っているドコモの方がお得」と判断させたようだ。さらに、2月1日からは「2ヶ月くりこし」で余った料金を、ファミリー割引を契約している家族間で共有できるようになる。また、年末にかけて実施した「TV電話2ヶ月間500円無料」も、FOMAを購入する動機の一因となり、「キャンペーンが功を奏し、FOMAの大幅な純増を確保できた」(ドコモ広報部)という。

 04年度には、ムーバの純減がFOMAの伸びを打ち消してしまうほど不振な月もあったが、昨年12月はFOMAの純増93万100に対し、ムーバの純減は68万2700にとどまったのも大きい(図2)。これは「premini-S」などのデザインに特化した端末が、ムーバの純減に一定の歯止めをかけたためと推測される。


 このように、当初はauの圧勝かとウワサされていた12月は、予想を覆してドコモが純増1位を獲得した。しかし、auはこの春商戦に向けた端末を4機種発表して追撃姿勢を見せており、迎え撃つドコモも廉価版の「FOMA700i」シリーズの発売を控えている。このシェア争いは、ケータイ市場が最も盛り上がる春の天王山に向けて、ますます混戦模様になっていきそうだ。(フリージャーナリスト・石野純也)