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10月から改正施行された「ふるさと納税」、「改悪」のポイントとは?

時事ネタ

2023/10/21 17:00

【家電コンサルのお得な話・149】 10月に入りインボイス制度が開始されたのをはじめ、最低賃金の引き上げが適用されるなど、多くの制度の変更があった。ふるさと納税も2023年6月27日に改正告示され、10月から施行された制度の一つである。改正のポイントをまとめた。

ふるさと納税を利用する人のメリットが低下

 ふるさと納税の主な改正点は、
A:募集適正基準の改正
B:地場産品基準の改正
――である。

 まず、Aの「募集適正基準の改正」であるが、これまでは条文に「寄附金の募集に要する費用」としか記載されておらず、この費用にどういった経費が該当するのかが不透明であった。そのため、国と自治体はお互いにとって都合のいい解釈ができた。

 具体的には、寄付金の募集に要する費用の合計額は、寄付金の合計金額の50%以下でなければならないが、費用の中に「(1)ワンストップ特例制度のための書類、(2)寄付を受領したことを示す書類の発送にかかる費用、(3)仲介サイトに支払う手数料」などは、費用には該当しないと解釈する自治体が多かったのである。

 つまり、総務省が考えている費用項目より、自治体の費用項目が少なく、その分、自治体は返礼品の上限まで金額を割り当てることができた。

 今後は費用の割合が増えるため、結果として返礼品のレベルが下がるなど、内容を見直さねばならない自治体が増えるということだ。

 一方、Bの「地場産品基準の改正」は、条文に「当該工程が食肉の熟成又は玄米の精白である場合には、当該地方団体が属する都道府県の区域内において生産されたものを原材料とするものに限ることとする。」という内容が追加された。

 簡単に言えば、原材料がその都道府県で生産されたものでない「熟成肉」や「精米」は返礼品として使用できないということである。

 総務大臣は9月28日に1785団体(都道県46、市区町村1739)を「ふるさと納税の対象となる地方団体」として指定したが、こうした基準が守られない場合は参加を認めない可能性もあるとしている。

 今回の改正には、他にも細かいものがあるが、結局は、ふるさと納税を利用する人のメリットが少なくなる「改悪」だといえるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)


■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。
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