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電気料金が1年前の約1.3倍に、企業の約7割が増加分を売価へ「全く転嫁できず」

データ

2022/12/08 18:00

 帝国データバンクは12月8日、企業を対象に実施した、電気料金の値上げに関するアンケート調査の結果を発表した。同調査は、ロシアのウクライナ侵攻や円安などによるエネルギー価格の高騰などに起因して電気料金の値上げが相次いでおり、値上げ幅は3~4割にのぼり家庭および企業へのさらなる影響が見込まれることを受けて、12月2~6日の期間に行われ、1265社から有効回答を得ている。

企業の電気料金は1年前と比較して平均28.7%増の約1.3倍に

 企業に対して、電気料金の総額が1年前と比較してどのように変化したかを尋ねたところ、「【増加】20~40%未満」(34.4%)が最も多く、「【増加】20%未満」(30.0%)、「【増加】40~60%未満」(12.4%)がそれに続いた。電気料金が「増加した」企業の合計は86.6%で前年より増加しており、電気料金の総額は1年前よりも平均28.7%増の、約1.3倍となっている。

 企業からは「使用量は昨対比95%程度だが、値上げに伴い、電気料金は昨対比150%程度と高騰している。ただ、その大部分が顧客利用によるものであり、サービス品質維持のためにも大幅に削減することは考えていない。社内利用分を削減することで、電気料金を昨対比140%程度に抑えたい」といった意見が寄せられた。

 一方で、「自動車減産などの影響で稼働率が下がっているため電気料金の総額は横ばいとなった」「今年4月にメイン照明機器をLED照明へ入れ替える工事を実施。その結果、40%ほど電気料金が下がった」といった意見も寄せられている。
 
7割の企業が電気料金の増加分を「全く価格転嫁できていない」と回答

 電気料金の増加分を、販売価格やサービス料金にどの程度転嫁できているかを尋ねた質問では、「多少なりとも価格転嫁できている」という回答が29.6%で、うち電気料金の増加分に対して「すべて価格転嫁できている」企業が2.2%にとどまり、「8割以上できている」が1.9%、「5割以上8割未満できている」が3.5%だった。一方で、「全く価格転嫁できていない」企業は70.4%に達している。

 電気料金の増加分に対する販売価格等への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は9.9%にとどまり、電気料金が100円増加した場合に9.9円しか販売価格等に反映できていないことが明らかになった。

 企業からは、「電気料金増加分の価格転嫁のお願いをし始めたが、あまり細かく改定実施はできないことからピークが見えてこないと案内しづらい」「使用量は減らせても単価の上昇によって料金が増えており、卸売業のため電気料金の上昇を理由とした価格転嫁は受け入れてもらいにくく、手の打ちようがない」といった意見が寄せられている。
 
電気料金値上げ・節電要請への対応策として、働き方を変える企業も

 電気料金値上げ・節電要請への対応策(検討含む)について尋ねたところ(複数回答)、「こまめな消灯」(70.9%)が最も多く、「空調などの温度設定の見直し」(47.7%)、「消費電力の少ない製品・設備の導入(LEDなど)」(31.8%)がそれに続いた。

 一方で、「稼働・営業時間の短縮」(6.0%)や「休暇取得の推奨」(4.6%)、「始業・終業の時刻を早める」(2.6%)、「在宅勤務の強化」(2.3%)など、働き方を変えるような対応策を実施または検討する企業が13.3%に達したほか、より安い電気料金を求めて、「新電力会社から大手電力会社への変更」(4.2%)、「大手電力会社から新電力会社への変更」(4.1%)を実施または検討している。

 ほかにも、「自家発電の設置または増加」(2.8%)を挙げる回答もみられた。