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「調理ロボット」で飲食業界の革命児なるか 東京・恵比寿「Magic Noodle香味麺房」をレビュー

経営戦略

2022/08/06 13:00

 原材料の高騰や少子高齢化による人手不足、新型コロナウイルス対策などで厳しさが増す飲食業界では、「調理ロボット」という解決策を真剣に検討するタイミングにきているのかもしれない。自社開発の調理ロボット「P-Robo」を製造・販売するTechMagicは、P-Roboを導入した新業態のスパイスヌードル専門の直営店「Magic Noodle香味麺房」を8月6日、東京・恵比寿にオープンした。

東京・恵比寿にオープンした「Magic Noodle香味麺房」の六つのメニュー

厨房の人手不足解消と生産性向上の切り札

 「Magic Noodle香味麺房」に導入した調理ロボット「P-Robo」は、麺をゆでる、フライパンに具材を入れる、フライパンで炒める、フライパンを洗浄するという厨房における一連の調理工程を自動化する。厨房での生産性アップを図り、オペレーションの標準化とおいしさの再現、安定化を実現し、人手不足解消を目指すという。
 
TechMagicの調理ロボット「P-Robo」

 P-Roboは、2018年から開発が進められ、22年6月末にプロントコーポレーションが運営する「エビノスパゲッティ」にパスタ調理ロボットとして導入された。「香味麺房」のP-Roboはそれを応用したもので、基本的なシステム構成はエビノスパゲッティと同じ。パスタ以外のメニューでの調理も安定稼働することをアピールする。

 TechMagicが自ら飲食店を経営する狙いについて、事業推進本部 店舗プラットフォーム事業部 業態開発責任者の橋本翼氏は「実際の店舗で自分たちでP-Roboを使い倒すことで、使い勝手や運用、メンテナンスなど、さまざまなノウハウや知見が蓄積される。提案する際の説得力が増す」と語る。直営店でたまっていくナレッジが、そのまま導入企業への提案や改善に活かせるというわけだ。
 
「恵比寿駅前通り商店街」に立地する「Magic Noodle香味麺房」

 直営一号店となる「香味麺房」は、JR恵比寿駅西口を出てすぐにある「恵比寿駅前通り商店街」の好立地にある。店舗規模はカウンター10席で、営業時間は11~22時30分。

一食当たり最速約48秒で調理

 さっそく、P-Roboによる調理の様子をみてみよう。まず、タブレットでメニューを入力すると、沸騰した湯の中に麺を自動投入する。同時に、アームロボットに取り付けられたすり鉢状のフライパンに油やソース、材料などを自動投入する。この際、画像認識技術で材料の入れ違いがないかなどをチェックする。
 
画像認識技術で入れ違いがないかチェックしながら材料を投入

 次に、ゆで上がった麺をそのままフライパンに投入し、IHヒーターで炒める。IHヒーター上のフライパンは回転することで、麺に材料やソースなどがしっかりと絡む。なお、炒める温度や長さ、回転数などはメニューごとに違い、クラウド上で調整できる。新しいメニューの開発なども簡単に対応できる仕様だ。
 
アームロボットでフライパンにゆで上がった麺を投入

 なお、IHヒーターの温度だけは手動でも調整が可能なので、閉店後の新メニュー開発などで微妙な火加減を決める際に役立つ。
 
IHヒーターでフライパンを回転させながら炒める

 フライパンの麺や具材を器にのせた後、フライパンは自動洗浄されて、次のメニューづくりへと向かう。最後は人の手でトッピングなどをすれば出来上がりだ。一食当たり、最速約48秒で調理する。
 
人の手で麺を器に入れる
 
仕上げのトッピング作業は人の手で
 
オリジナル麺と香辛料を使った無国籍麺が特徴

 「香味麺房」では、新業態のスパイスヌードル専門店とうたっているように、麺はデュラムセモリナ粉と蕎麦粉を混合したオリジナル麺を使用。香辛料や香味野菜を合わせて炒め混ぜた、ノンジャンルの無国籍麺である。ラーメンや蕎麦、スパゲティと違うコンセプトなのは、グローバル展開も視野に入れているからだ。その地方や地域で使われているスパイスや野菜などを使えば、メニューのバリエーションは無数に広がる。

 まずは一号店の「香味麺房」を軌道にのせ、直営で5店舗を出店した後は、FC展開も目標に据える。飲食店業界に新風を巻き起こすか注目だ。(BCN・細田 立圭志)
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