旅は続けよう、感染対策は徹底しながら

オピニオン

2020/12/13 18:30

 Go To トラベル事業の一時停止を求める声が大きくなっている。既に、札幌市と大阪市を目的地にした旅行はGo To トラベル事業から一時的に除外されているが、さらに広い範囲で事業を一旦止めるべきだ、との意見が増えてきた。政府も一時中止を検討しているとの報道もある。背景にあるのは、無症状で元気な陽性者が動き回ることで、感染を広げているのではないか、という仮説だ。しかし、本当に旅行が感染拡大の大きな要因なのか。そもそも、仮に無症状の陽性者が旅行したとしても、発症しない人からの感染リスクは本当に高いのか。

ほとんど全ての国際線が欠航で閑古鳥が鳴く羽田空港第3ターミナル。
航空会社にとって、頼みの綱は国内線だ(12月11日撮影)

 厚労省では、無症状者が感染させるリスクについて「感染症は一般的に、症状が最も強く現れる時期に、他者にウイルスを感染させる可能性も最も高くなる」としながら、「新型コロナウイルスでは、症状が明らかになる前から、感染が広がる恐れがある」としている。根拠の一つとして、「台湾における研究では、発症前も含めて発症前後の時期に最も感染力が高いとの報告」がなされていると指摘する。

 しかし、これは、その後発症した人についての感染力の話だ。一旦、陽性になりながらも無症状のまま自然と陰性になるような人に、強烈な感染力があるとは到底思えない。

 旅行を終えた人が大勢発症していれば、それはそれで大問題になるだろうが、実際はそうなっていない。観光庁の集計では、10月末までに延べ3976万人がGo To トラベルを使ったが、旅行に伴う感染者は148人だったことが分かっている。実に27万分の1の確率だ。多少の漏れはあるかもしれないが、Go Toに感染拡大の要因を結び付けるのには無理がある。
 
旅であっても、対策を徹底すれば、感染拡大は防げるのではないか

 陽性者だけでなく、重傷者も過去最多になり、死者も増加している。主な要因は、「冬になったから」だろう。いわゆる感染の第3波は、冬が先に訪れた北から広がり始めた。風邪の一種でもある新型コロナウイルス感染症は、気温が低く湿度が下がる冬に流行しやすいとされている。

 旅を止めるのではなく、今一度、日常生活でマスクをし、手を洗って、アルコール消毒を励行する。これをさらに徹底することが先決だろう。旅行中も日常生活で行うのと同様に感染防止対策に気を付けていれば、旅行に伴う感染拡大は抑えられるのではないか。もちろん、怪しい症状がある場合、旅行は中止だ。

 Go To トラベルについては、利用できる人はいいが利用できない人もたくさんいて不公平だという声もある。一面では確かにその通りだが、事業の目的は、旅行者への補助ではない。壊滅的な被害を受けた、旅行にかかわる仕事をしている人たちを救うためだ。旅行者が実際に旅行することで、雇用や施設の維持ができる。

 政府の予算に加えて旅行者も負担をするため、支援の効果も大きくなる。だからこそのGo Toなのだ。現状でさえ、ホテルや旅館、運輸業、土産物店など、何とか食いつないでいる状態。メリットの多いGo To 停止で壊滅的な状態に逆戻りしかねない。旅は続けよう。ただし、感染対策には、より気を付けながら。(BCN・道越一郎)