国が費用を一部補助することで需要を喚起し、旅行・観光関連業界を支援する「Go To トラベル」、飲食店と食材を供給する農林漁業者を支援する「Go To Eat」はお得な活用法を含め、SNSで大いに話題になった。トラベル、イートに続き、文化芸術やスポーツに関するイベントの需要喚起を目的とした経済産業省の「Go To イベントキャンペーン」が始まった矢先、決定事項ではない、Go To Eat プレミアム付き食事券の利用自粛の呼びかけなど、盛り上がりに水を差す動きが出てきた。
Go To トラベル、Go To イートの主な利用者は40代以上で、金銭的にゆとりのある層と考えられる。根拠は、メットライフ生命保険が今年8月、全国の20~79歳の男女1万4000人を対象に実施した「老後に関する調査」の調査レポートだ。この調査で明らかになった、年代ごとの保有金融資産額、老後の備えに必要な金融資産額、その差額の平均値と中央値の差こそ、Go To キャンペーンが経済対策として効果が期待でき、若干の対象外を設けても継続が不可欠な理由だ。まずは調査データを紹介しよう。
Go To トラベルは国土交通省、Go To イートは農林水産省、
Go To イベントは経済産業省が実施している
インターネット調査は、偏りのある結果となるといわれている。その点を差し引いてみる必要があるものの、40代、50代、60~70代なら、既に金融資産を300万円以上保有する層が少なからずいる実態が浮かび上がった。新型コロナの影響で、「不要不急」とされた一部のカテゴリで大きく経済活動が停滞した今こそ、こうした層に老後の備えとしてキープしている貯蓄を少し消費に回してもらい、経済を回すべきなのだ。Go To キャンペーンはそのための施策である。
少なくとも、今回の記事で紹介したグラフに記載された各年代ごとの平均金融資産を超えている人は、自身が納得できるタイミングで、ぜひGo To キャンペーンを利用してみてはいかがだろうか。(BCN・嵯峨野 芙美)