首都圏で新型コロナウイルス感染が広がりつつある。小池百合子都知事が3月25日、「感染爆発の重大局面」と宣言したのをきっかけに、埼玉、千葉、神奈川、山梨、栃木、群馬、静岡、愛知、長崎など各県で、週末の都内への移動自粛を呼びかけた。3月26日時点で、東京都での陽性者が累計259人、死者が5人を数える。単純計算では、東京都の人口1400万人に占める感染者の割合が0.002%、感染者の致死率が1.9%だ。一般的なインフルエンザの致死率が0.1%程度といわれており、新型コロナはおよそ20倍の致死率になる。


 日本で1月24日に初の感染者が発見されて、およそ2カ月。中国、イタリア、スペイン、米国の状況に比べれば、感染拡大を抑え込めていた。2月29日に突如発表された、全国一斉休校や大規模イベント自粛要請が「効いた」のかもしれない。一方、3月1日に初めて感染者が確認された米・ニューヨーク州は、今やパンデミックの震源地だ。わずか4週間足らずで感染者数が3万9000人、死者は466人に上り、感染爆発に直面している。重症化率を2割とすると、救命のため優先的に入院加療が必要な患者は7800人だ。

 東京でも今後、極めて速いスピードで感染が広まる恐れもある。東京の人口は、ニューヨークのおよそ7割。東京都は最大4000病床を確保する方針としているが、今後、感染者2万7000人、6000人程度の重症者が出ても不思議ではない。その時、社会や医療は耐えられるのか。
 
3月27日現在の都道府県別流刑感染者・死亡者数
(FASTALERT・新型肺炎ダッシュボード JX通信社)

 大阪府が3月13日にスタートさせた「入院フォローアップセンター」の取り組みは、感染者急増の場面にも有効に機能しそうだ。20人程度で構成するセンターは、陽性者の振り分け先を決める役割を担う。重症患者は指定医療機関に、重症に至っていない患者は一般病院や現在閉鎖している病棟等を活用して振り向ける。軽傷や症状のない感染者は宿泊施設や自宅待機といった具合。軽傷者はベッドを明け渡し、重症者の治療を優先させる、という考え方だ。

 特に、ホテルも活用するというアイディアは面白い。感染者エリアと非感染者エリアを分ける工夫などは必須だが、感染拡大で客が激減して大打撃を受けているホテル業にとっても好都合だ。東京には、できたばかりのオリンピックの選手村もある。事後の消毒などを完璧に行うことを前提に、活用することも考えなければならない。

 大阪府の吉村洋文知事は、「医療崩壊を起こさないためにこの仕組みを作った。重症者を救い死者を一人でも少なくする。ここを防衛ラインとする」としている。こうした明確な覚悟をもって、東京も他の地域も感染爆発に立ち向かう必要がある。危機は迫っている。(BCN・道越一郎)