ちっちゃいノートに目がない。古くは「COMPAQのAERO」から「PnasonicのLet'snote mini N 0」「東芝のLibretto L1」、最近では「ASUSのT90 Chi」「GPD Pocket」などなど、数多くのちっちゃなノートPCを使ってきた。その中でも、価格も含めて出色の出来と思われるのが「CHUWIのMiniBook」だ。クラウドファンディングサイト「Indiegogo」で入手した。

 9月到着予定だったが、まあこの手のものの常として到着が遅れ先週届いた。サイトのコメント欄で発送はいつかと矢のような催促の嵐だったが、2カ月弱の遅れなら立派な方だ。昨年10月に届く予定で出資したものの、いまだに届かず、詐欺だと騒がれている360度カメラ「Wunder360 S1」に比べれば、届くだけでもありがたい。

 なお、詐欺まがいのWunder360 S1については過去記事「1億円を集めた360度カメラが出資者に届かず、もうアマゾンでは売っているのに……」「出資1億集めても届かない360度カメラ、主催者の説明に依然残る疑問」を参照されたし。
 
7インチの「GPD Pocket」と8インチの「CHUWIのMiniBook」。
7インチだとやや小さすぎた感はあった


 話をちっちゃいノートに戻す。タブレット端末が生まれ、スマートフォン(スマホ)が当たり前になった現在でも、ちっちゃいノートPCにはなぜか引きつけられる。特に造りがしっかりと小さいものに出会うと、とたんに落ち着きがなくなる。歴史的にみると、この手のPCは世界市場で黒歴史の連続。盆栽の文化があるからかもしれないが、日本でしか売れないものらしい。

 仕事柄、外出先で文章を書いたり写真を加工したりする機会が多い。ノートPCは必需品だ。とはいえ、大きくて重いノートは持ち歩きたくない。いい歳をしたおっさんなので、重いノートは腰にくる。歳は入力にも影響する。文字入力はキーボードが必須。フリック入力などやり方すら分からない。そうなると、ちょうどいい小ささのノートPCはぴったりなのだ。

 文字入力マシンの大傑作「ポメラ」のプレスリリースが届いたときには、「とんでもないものが登場した」と編集部全体で騒然となった。当然、初号機を発売直後に購入してレビューし、しまいには開発者に会いに行くまでの入れ込みよう。とても気に入って、しばらく使っていた。

 しかし、ちょっと足りない。小説のような創作なら、書くことに集中できるので有効かもしれないが、実用文章を書く際には資料などを参照することも多く、どうしてもウェブブラウザの利用が不可欠だ。だから、やっぱりPCが必要になる。そこで、CHUWIのMiniBookだ。8インチの画面の割には大きめのキーボード、このバランスがちょうどいい。本社は中国の深センにある。

 だから、直接取材していないが今回、「スゴイぞ深セン」番外編とした。実は、去年もCHUWIのノートを買ってレビューを書いている。他に同社のタブレット端末も買ってしばらく使った。結構なヘビーユーザーだ。もともとCHUWIは、深センのタブレット中堅メーカーで、デザインがなかなかおしゃれで、品質もそこそこいいので気に入っていた。
 
ディスプレイが360度回転するので、裏側に回せばいわゆるテントスタイルにもできるし、
底とびったりつければタブレット的な使い方もできる

 Indiegogoで手に入れたのは、「MiniBook-Intel m3 8100Y」。出資額は4140HKD(香港ドル)だった。8GBの追加メインメモリーが156HKD、45W PD Chargerが8HKDで合計4304HKD。日本円にして約6万円。実は、クラウドファンディングでこんなに「多額の出資」をしたのは初めて。前述したように、万が一、主催者に逃げられたりすると、かなりへこむことになるのは間違いない。

 ただ、CHUWIはよく知ったメーカーだったため、たぶん大丈夫だろうと、思い切ってポチってしまった。Indiegogoでは結局、4000人以上が出資し9700万円ほどの資金を集めた。CPUは、IntelのCore M3 8100Y(Celeron N4100版もある)。解像度1920×1200の8インチディスプレイが、くるっと回るYogaスタイルで、メインメモリーが8GB(+8GBまで増設可)、ストレージが128GBのeMMC。M.2 SSDスロットが一つある。充電はUSB TYPE-Cポート経由で行い、USB PD2.0対応。およそ90分で満充電可能だ。

 少し遅れて、日本のクラウドファンディングサイトMakuakeでもプロジェクトを開始。目標額50万円のところ、すでに4600万円を調達、大成功のプロジェクトになった。スペックで細かな変更があったり、ケースなどのおまけがついたりするようだが、ほぼ同じ製品だ。CPUが8100Yで、メモリ8GB、ストレージ256GBモデルが税込み5万7815円、というのが最安プラン。1月末の発送予定だ。プロジェクトはすでに終了しているが、いずれどこかの販売店で購入できるようになるだろう。
 
右上の電源ボタンは、指紋認証機能付きでログイン時にとても便利。
ただ、キー配列はかなり特殊。慣れが必要だ

 使ってみた感じでは、なかなかいい。まずはキーボード。キーの大きさは結構大きくえてタッチもよく、基本的には打ちやすい。ただし、今回手に入れたのは英語キーボードモデル。これはかなり慣れが必要だ。ちっちゃいノートにはあるあるの変態的配列だ。漢字切り替えが「ALT+`」。これはこれでいいのだが、「`」キーが「8」の上で右側にあるのでかなり違和感がある。また、音引き「ー」が「9」の上にあり、これもかなり苦しい。日本語キーボードモデルもあるので、そちらではだいぶ使い勝手がいいことを期待したい。

 そのほか、スペースバーが真ん中で切れており中心に小さなトラックパッドがあるが、漢字かな変換時に思わずこのパッドを押してしまったりすることもあった。「、」「。」もキーの大きさが半分で打ち間違いやすい。「DEL」キーも「P」の右隣にあったり、ホームポジションで右手の小指がすぐに「Enter」だったり、という配列にも慣れが必要だ。また、ファンの音が気になる。つねにブーという小さな音がしており、静かなところで使用する際には結構気になるかもしれない。
 
左右のスペースバーの中央にミニトラックパッドがある。
使い勝手は何とか及第点だ

 左右のスペースバー中央にあるミニトラックパッドは、意外に使える。カーソル移動のスピードを調整すれば、何とか使えるようになった。右上に配置された電源ボタンに指紋センサーが仕込んであり、電源投入時やスリープからの復帰時にいちいちパスワードを入力する手間が省けるのはいい。

 キーボード配列が変態的なのは小型化するのにいろいろと無理をしているからだ。その犠牲を払っても、実測677gと軽く、横201mm、縦128.6mm、厚さ19.3mmというコンパクトさは何にも代えがたい魅力がある。スピードもまずまず、入手した8100Y・16GBメモリモデルでは、Chinebench R20の値が445だったので、決して速くないが、モバイルPCとして十分合格だろう。あとは耐久性だ。毎日持ち歩いてのヘビーユースに耐えてくれることを願う。(BCN・道越一郎)